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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第8節 いわきFC対大分トリニータ

2023明治安田生命J2リーグ第8節。いわきFCは4月8日(土)、いわきグリーンフィールドに大分トリニータを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。

■試合の見どころ

この試合で注目すべきポイントは

①相手ビルドアップへのプレッシャー
②右サイドの攻防
③相手1トップ、交代選手への対応

などだろう。

ここ2試合で勝利がない、いわきFC。自分達のプレーはできている。だが、それをなかなか勝ち点3に結びつけられない。この歯がゆさを、J1経験のある上位クラブに思い切りぶつけたいところ。

相手の大分トリニータは現在、5勝1分け1敗の勝ち点16でFC町田ゼルビア、東京ヴェルディに次ぐ3位。今季はスタートから好調ぶりを示し、徳島ヴォルティス、東京ヴェルディ、栃木SCに開幕3連勝。第6節で大宮アルディージャに0対3で敗れたが、至近の第7節ではジュビロ磐田に2対1で競り勝っている。ただし、ここまでの戦いぶりを見る限り、上位にいる町田、ヴェルディほどの迫力は見えない。1点差を勝負強くモノにしている印象だ。

いわきFCの前節を振り返ろう。

開幕3節で2敗1分けのスタートからベガルタ仙台、徳島ヴォルティスに連勝して勢いづくも、第5節で首位を走るFC町田ゼルビアに惜敗。そんな状況で、ファジアーノ岡山とのアウェーでの対戦を迎えた。

前節で左SB江川慶城が負傷。この穴を埋めたのは負傷復帰した石田侑資。今節は石田が右SBに入り、嵯峨理久が左SBに回った。プレスの要となるSHは前節に続き、右に加瀬直輝、左に永井颯太。CB遠藤凌&家泉怜依、ボランチ山下優人&宮本英治、2トップ有田稜&谷村海那、GK高木和徹は変動なし。

試合は序盤、岡山が大型FW櫻川ソロモンを軸に押し込む。しかし前半10分、MF永井颯太が圧巻のドリブルを見せる。カウンターから左サイドを切り込み、左サイドで2人をかわしてゴールに迫る。最後はMF宮本英治がゴール右隅に決め、いわきは理想的な時間帯に先制点をゲット。その後もインテンシティの高いプレーを続け、前半を終える。

後半に入り61分、いわきはMF永井に代え有馬幸太郎、石田に代えて特別指定選手のDF辻岡佑真を投入。辻岡は左SBに入り、嵯峨は本来の右SBへ。IPU・環太平洋大に在学中の辻岡は、大学のある岡山の地でのJリーグデビューとなった。

いわきはこの直後、FW谷村が左サイド抜け出してシュートを放つ。対する岡山は71分、FWルカオ、MF木村太哉を投入。ルカオと櫻川の大型FW二人をターゲットにパワープレーで攻勢をかけ、いわきを圧倒。そして後半アディショナルタイム、右サイドを駆け上がったMF木村に対し、辻岡がボックス内で痛恨のファウル。いわきは土壇場のPKで1点を献上。ほぼ手中にしていた勝利を逃し、試合は1対1の引き分け。

第7節を終えて2勝2分け3敗。ここ2試合で勝利のないいわきFCにとって、今節の大分戦は、是が非でも勝ち点3を奪いたい一戦といえる。

■戦力分析~大分トリニータ

大分トリニータは、大分県全県をホームタウンとするクラブ。名称の「トリニータ」とは、クラブ運営の3本柱である「県民・企業・行政」の「三位一体=トリニティ」に「大分」を加えた造語だ。

クラブは1994年に「大分トリニティ」という愛称で発足。わずか2年で大分県社会人サッカーリーグ1部と九州サッカーリーグを連覇。1996年に地元開催の全国地域サッカーリーグ決勝大会で2位に入り、ジャパンフットボールリーグ(旧JFL)昇格。1999年のJ2誕生とともに、Jリーグ参戦を果たした。

J2では初年度から優勝争いに加わり、2002年にJ2制覇。翌年から2009年までJ1で戦い、2008年に金崎夢生、森重真人、西川周作らを擁し歴代最高のリーグ4位に入りナビスコ杯制覇を果たす。2010年からはJ2とJ1を行き来し、2015年にはJ1経験クラブ初のJ3降格。しかし1年でJ2に復帰し、2018年には3度目のJ1昇格を果たす。

2021年に天皇杯準優勝。しかしリーグ戦は不調が続きJ2降格。2022年はJ2リーグ5位でJ1参入プレーオフに進出するも、1回戦で4位のロアッソ熊本と分けて敗退している。

2023年は下平隆宏監督2年目。大分U18から立命館大、ブラウブリッツ秋田を経て帰還したMF茂平、FC今治で昨季J3ベストイレブンを受賞したDF安藤智哉、左利きの大型DFデルラン、U18日本代表選出経験のあるSB松尾勇佑らを新たに迎えた。

フォーメーションは3-4-2-1。第7節のスタメンはGK24西川幸之介、DF3デルラン/19上夷克典/31ペレイラ、MF18藤本一輝/6弓場将輝/28野嶽惇也/16茂平、MF5中川寛斗/10野村直輝、FW13伊佐耕平。

特徴はポゼッション型の攻撃スタイル。磐田戦で再三の好セーブを見せたGK西川を起点に丁寧にビルドアップし、弓場、野嶽ら中盤がボールをつないでくる。前線から激しくプレスをかけるいわきFCのプレースタイルとの相性は決して悪くないが、DF、中盤ともに相手プレスを回避するスキルは高い。いわきは両SHとボランチ二人を中心にしっかりプレッシャーをかけ、ピッチ中央での自由と時間を奪いたい。

ただし、難しいのはその後だ。

大分攻撃の最大のストロングは左サイド。左WB藤本はリーグ有数の推進力を持つサイドアタッカー。彼を自由にプレーさせれば、簡単にゴール前までボールを運ばれてしまう。そして藤本と交代で入るMF高畑奎汰は、今季すでに2点を挙げているレフティ。藤本&高畑vs右SH&右SBの攻防は、この試合最大のカギだろう。

また、ワントップに入る伊佐は攻守で体を張るベテラン。開幕からノーゴールが続いたが、磐田戦で今季初ゴールとアシストを記録し、チームに勢いをもたらしている。CB遠藤&家泉を中心にしっかりと封じ、ハイラインを保ちたい。

■「全員で乗り切っていきたい」村主博正監督

「前節のファジアーノ岡山戦の引き分けに終わりました。相手が3バックで幅を取り、ロングボールを使うなどの対策をしてくる中、奪ったボールを素早く先制点に結びつけられたのは非常によかったです。追加点が取れていればもっと展開を楽にできたのですが、仕方ありません。

後半の早い時間帯からパワープレーで押し込まれましたが、選手達は我慢強くやってくれました。負傷者が出ている中、後半途中から起用した辻岡佑真のプレー内容は全体を見ればそれほど悪くなかった。失点につながるミスをした点はしっかり反省してほしいですが、今後も前向きにプレーさせてあげたい。勝利を目指す中、経験の少ない若い選手達を育て、成長させていく。それがこのクラブのやり方。時には我慢も必要です。辻岡には、今回のことを成長につなげてほしいと思っています。

大分さんはボールを大事にするチーム。ビルドアップにこだわってやってくるので、やりにくい相手ではありません。ただし、どの選手も技術は非常に高い。サブにも長沢駿選手、町田也真人選手、梅崎司選手など能力の高いプレーヤーが控えています。悪い流れになっても、それを変えられる力のある選手がそろっており、決して気を抜くことはできません。

前節、流れの中から先制点を取れたのは非常によかった。今節もいつも通りのプレースタイルを貫き、どうにかして勝ち点を取りたい。今は負傷者が多くて苦しい状況ですが、今いる全員で乗り切っていきたいと思います」

■まだまだ行方の見えない混戦のJ2。

明治安田生命J2リーグは4月1~2日に第7節が行われた。

第6節でいわきに競り勝った首位のFC町田ゼルビアは、ホームで藤枝MYFCと対戦。オーストラリア代表帰りのFWミッチェル・デュークのゴールで勝利し、J3からの昇格組からいわきに次いで勝ち点を着実に奪った。町田は6連勝。第7節を終え、6勝1分けの勝ち点19で首位をキープした。

2位は勝ち点16で東京ヴェルディ。第7節はホームで大宮アルディージャと対戦し、1対0で勝利して4連勝。15年ぶりのJ1昇格を射程圏内にとらえる。

大分はヴェルディと得失点差で3位。そして4位は4勝2分け1敗の勝ち点14で天皇杯王者・ヴァンフォーレ甲府。5位は3勝3分け1敗の勝ち点12でブラウブリッツ秋田、6位は3勝2分け2敗の勝ち点11でザスパクサツ群馬。そして群馬と並ぶ3勝2分け2敗の勝ち点11で7位につけるのはV・ファーレン長崎。開幕の連敗スタートから立ち直り、2分けをはさんで3連勝。

勝利を逃したいわきFCは2勝2分け3敗の勝ち点8で15位。大分戦の後は4月12日の水曜開催(アウェイ)でツエーゲン金沢と対戦。大分戦の8日後の16日には、ホームでザスパクサツ群馬と戦う。

例年になく力量差の少ない今年のJ2。昇格争いの行方はまだまだ見えない。プレーオフ圏内と最下位の勝ち点差はまだ7。どのチームにも浮上のチャンスがあり、上位チームも、いつ足元をすくわれるかわからない。

明治安田生命J2リーグ第8節・大分トリニータ戦は4月8日(土)14時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

今節は開幕戦に次ぐ土曜日開催。果たして下克上なるか。ぜひ、いわきグリーンフィールドへ!

(終わり)

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