フリクリ オルタナ 第5話-3

【津金井市内】

希美とカナが歩く。

希美:ほら、あたしのかっこいい傘に入りなよ…

カナ:あ、大丈夫です…

希美:あいつ、バスケ部入ってるんでしょ?

カナ:はい、

希美:運動やっちゃダメなんだよ。ほんとバカだわあいつ…

カナ:…

希美:穴あいて生まれてきたんだよね~。心臓に。

カナ:…!

カナは、佐々木がマネージャーとして奮闘している姿を思い出している。
×  ×  ×

辺田の声:「ネタになるから」、って。「男がマネージャー!?」って。

矢島の声:なんだそりゃ、、

佐々木が試合でチームメイトに声をかける姿、ライガーバームを塗る姿。×  ×  ×

カナ:…

希美:…そんですぐ死んじゃうかもとか言ってたんだけど、結局まあ大丈夫だったんだけどさあ

カナ:…

希美:まあ、自分の命だから、アタシがどうこう言うこっちゃないんだろうけど…しかしあんた可愛いね

カナ:…あ、いえ…

希美:やっぱあれじゃん?オトコって、好きになる女好きになる女、実は全部母ちゃんをイメージしてるって言うじゃん?

カナ:…

希美、カナと肩を組み、

希美:こういうことか!ナハハ!

カナ:…

【津金井市内】

街に巨大なメカ(メオンのモチーフカラー。N.O誘発を目的としたメカ。)が現れ、ビルを破壊している。

ハル子:やめれっての!

ハル子がメカに一撃くらわす。
よろけつつ、ハル子に対峙するメカ。
×  ×  ×
人工島の塔からその様子を見る、メオンの姿。 

メオン:来たか。

×  ×  ×

ハルコ:なんなのあんた!

メオンの声:お前の見込みが正しいか、試したいだけだ

ハル子:だからって雑なんだよ!やることが!

メオン:ハハ、純粋なんだよ

メカの頭部から、佐々木がぶらさげられる。メカ、食べちゃいそう。

佐々木:なにこれ!ねえなにこれ!?

それを阻止しようとハル子がかかっていくが、メカにはじかれる。
ビルの影から顔を覗かせたカナが、

カナ:佐々木くん…!?

佐々木:…! カナ!

続いて顔を出す、希美。

希美:えー!門!あんたちょっとなにしてんの!

佐々木:げー!かーちゃん!

希美:早く帰って来な!

佐々木:カナ、頼む!

カナ:え!?なに!?

佐々木:その母ちゃんを見ないでくれ!

カナ:え!?どういうこと!?

佐々木:恥ずかしいから!

希美:こら!あんたなに言ってんだ!

佐々木:うるさいよ!早くその傘捨てろ!

希美:いいから帰って来い!

佐々木:なんだ帰って来いって!状況見えてる!?

メオンの声:ハッハッハ!どーだい!どーなんだい!?

佐々木:なにがどーなんだい!?

と、メカが佐々木を「パクッ」って口の中に入れる。(食べてはいない)

ハル子:おいい!!

希美:帰って来〜い。友達を選べ〜!

カナ:さ…佐々木君…

カナのN.Oが発動。頭に花が咲く。
×  ×  ×
学校の校門付近の盛り上がった地面から、ズボーーン!と飛び出したデ・コルピオが、そのままの勢いでメオンメカに突撃。ガコーン!!メオンメカ、吹っ飛んで倒れる。

コルピオ:モおおオオオおオオォォォオオんんン!

デ・コルピオの姿が明らかになる。メカ部分もあるが、地球の物ではない生命体。
デ・コルピオ、腕から繋がった鎖が途中で切れている。
(鷹匠モチーフ)

メオン:…こいつは…

ハル子:…鎖…?

メオンのメカと戦い始める。デ・コルピオ、優勢。めった打ちにされるメオンメカ。
メオンメカの頭部がヘコむ。中から佐々木の声が聞こえてくる。

佐々木の声:くらいよこわいよさびしいよ!

カナ:…待って…

とどめを刺そうとするデ・コルピオ。

カナ:…やめて…!!

と、デ・コルピオの腕に着いた鎖が空に向かって伸び、ジャギーーーン!と張りつめる。

ハル子:なんだあ!?

佐々木がメオンメカの頭部から転げ落ちる。希美がそれをキャッチ。

希美:むん!

デ・コルピオ、天に繋がった鎖を引っ張る。

コルピオ:ぬぐを~~~ん!

と、空から地響きに似たうなり声が聞こえ、雲の隙間から真っ赤な鳥が顔を覗かせる。

ハル子:ア・・

段々と姿を現す、アトムスク。拘束具(国連の)によって空からも引っ張られながらもゆっくりと降りてきたアトムスクが、アイロンに近づく。
アトムスクの姿を見たハル子、満面の笑み。
×  ×  ×
人工島の塔にサイレンが鳴り響く。
普段着のクラベロが、メオンの元へ現れる。

クラベロ:何があったんだ!?

メオン:(嬉しそう)愉快な奴らだ…

×  ×  ×
アトムスクの鼻先につけられた鎖を、デコルピオが引っ張る。

ハル子:わわわわひゃああああああ!!!(目がハート。)

思わずアトムスクの顔面に抱きついたハル子、真っ赤に燃え始める。

ハル子:あひゃ~~ん!!たまんね!たまんねー!

炎に包まれながら恍惚の表情、ハル子。
アトムスクはアイロンの取っ手を掴む。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・揺れる大地。
アイロンがミシミシと音をあげ、地面からはがれかかっている。

アトムスク:ォオオオオオオオ~~ン

アトムスクが熱を発すると、雨が止み、水たまりを蒸発させていく。
アトムスクの咆哮によって、街に突き刺さった「ピン」の頭が、次々と割れる。
それに反応して、ピンの麓に立っていた「ピン刺し」のマネキン達がMMメカへと姿を変え、飛び立つ。
ハル子がアトムスクをしばる拘束具を破壊しようとよじ登る。

ハル子:一生いっしょにいてくれや!…ん??

現れた「ピン刺し」がアトムスクに攻撃を開始。
弾幕に包まれるアトムスク。

ハル子:ごらああああ!

激ギレしたハル子、抱きつかせてもらってたアトムスクのエネルギーも手伝って、異常な強さでMMメカを撃退していく。(ここでようやくハル子が初代を彷彿とさせる、自由奔放な残酷さ。)
※お任せします。
バッタバッタとなぎ倒されるMMメカ達。
たまらずアイロンが豪快にサイレンを鳴らす。
と、空から降ってきたおぞましい数の「ピン」が、アトムスクに降り注ぐ。
ハル子は続けざまにピンを弾き飛ばすが、雨の様に降り注ぐピンの数に、追いつかない。

ハル子:くうう!!

ピンがアトムスクに直撃。何本かのピンはアトムスクの熱に溶けるが、やまずに次々降って来るピンによって、ハリセンボン状態の串刺しになり、力なくうなだれるアトムスク。

ハル子:…(愕然)

アトムスク:ゴアァァァアアア…

調子づいてさらにサイレンをかき鳴らすアイロン。蒸気もブッシュー!!
デコルピオにも、ピンの雨が降る。胸を貫かれたデコルピオだが、執念で鎖を引く力をゆるめない。
が、降ってきたピンが鎖を断ち切った。
力なくうなだれたハリセンボン状態のアトムスクは、拘束具によって空に戻っていく。

ハル子:ちょっと待ったあああ!

ハル子が飛び立ち、引き戻そうとするが、ハル子目がけて降ってくる、ピン。ハル子はそれを避けつつ、踏み台にしてアトムスクに近づくが、やがてピンに引っかかり、直撃し、届かずに落ちていく。

ハル子:…

ハル子の目線、遠ざかっていくアトムスク。

【どこかの地下 潜水艦ドック】

辺田が移住用の潜水艦に乗り込む。
カナたちからもらったアクセサリーを全身に身につけている。

【津金井市内】

おびただしい数のピンが地面に突き立っている。
その中を歩く、希美と佐々木。

希美:さっき燃えてた女、バスケの先生?

佐々木:…

佐々木は突き立つピンの数々と、アイロン型になったカレンユーデンを見ている。

希美:あたしの若かった頃を思い出すわ…

カレン・ユーデンのサイレンに共鳴する様に震え出す、ピンの頭。

【世界中のアイロン】

世界中のアイロンがサイレンを鳴らす。
同じ様に震え出した、ピンの頭が光りを放つ。
ピンとピンの間に線が引かれていく。

【潜水艦ドック】

その様子を映すテレビ画面をみる、いかにも金持ちそうな人々。「はは、本当に来た」「間に合ったみたいですね」。
その中に、辺田の姿。

【津金井市内】

津金井のピンとピンの間にも、線が引かれていく。
破壊されたビルの瓦礫の山も、その線上にあり、瓦礫が切断される。
その隙間から這い出して来たハル子。

ハル子:ぶはあっ!

ハル子の目の前に、カナ。

カナ:…わたしを…使ってください…

カナ:…

終わり


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