Googleが75四半期続けてきたOKRの威力
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Googleが75四半期続けてきたOKRの威力

キングダム52巻を早く読みたい気持ちをグッと抑えて読んだ『Measure What Matters − 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』(ジョン・ドーア著)。OKRについての捉え方がアップデートされる良書でした。

著者は世界的ベンチャーキャピタル『クライナー・パーキンス』会長で、GoogleやAmazon、Twitterなど世界的企業に初期段階から投資を行ってきたジョン・ドーア。

彼がインテルでアンディ・グローブからOKRを学び、Googleでラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンらに伝えていく当時の話から、OKRはただの目標管理システムではなく、経営管理手法として大きな威力を発揮するものであるということが分かる内容です。

そこで、本書が書かれた時点でGoogleが75四半期も続けてきたOKRの4つの威力(『フォーカス』、『アラインメント』、『トラッキング』、『ストレッチ』)を、引用をもとにまとめていきます。

OKRの基礎的な内容については、前回エントリ『OKRを成功させるための3つのポイント』を見てみてください。


1. フォーカス(優先事項にフォーカスし、コミットする)

OKRがうまく機能している組織は重要な事柄に集中する。また重要ではないことも同じように明確にする。OKRはリーダーに厳しい選択をさせるのだ。OKRは、組織に所属する部門、チーム、個人に対して正確なコミュニケーションを行う手段となる。混乱を排し、組織が勝つために必要な優先事項への集中をもたらす。”

OKRが機能している組織は戦略が明確です。リソースは有限であることを理解しているからこそ、小さな的に焦点を定め、組織全体のパワーを集中させることで大きな成果を生み出します。

目標設定に関して、アンディ・グローブは絞り込むことの重要性を強く意識し、このようなコメントを残しています。

「OKRシステムが卓越した組織にもたらすものの1つが、フォーカスである。それは目標の数を絞り込むことでしか得られない。何かにコミットするのは、他のことにコミットする機会を放棄することにほかならない。もちろんこれは有限な経営資源を配分するうえで避けがたい結果である。計画を立てる立場の者は、プロジェクトの開始だけでなく打ち切る、「イエス」とほほ笑むだけでなくきっぱり「ノー」と言うための胆力と誠実さと規律をもたなければならない。すべてに注力しようとすれば何事にも注力できないことを理解し、その理解に基づいて行動しなければならない。」”

ちなみに、メルカリのバリューにある『All for One』はチームワークの意味で捉えられることが多いですが、メンバーの力を結集してフォーカスするという意味も持っていて、好きなバリューのひとつです。


2. アラインメント(アラインメントと連携がチームワークを生む)

アラインメントとは?本書では以下のような定義がされています。

“OKRは計画段階から実行段階へ移行し、管理職もコントリビューターも日々の行動を組織のビジョンと結びつけなければならない。これをアラインメントと言い、その重要性はどれほど強調しても足りない。”

OKRという透明性の高いシステムでは、CEO以下全員の目標がオープンに共有されることが重要です。そうすることによって、個人は自らの目標と会社の戦略を結びつけ、他部門との補完関係を理解して効果的に連携することができます。

Googleでは全員のOKRをオープンにすることで、市場主義的アプローチでアラインメントを行っているようです。以下、『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック著)より。

“目標はパフォーマンスを高める。しかし企業の上から下へ、目標を伝達するのに膨大な時間をかけるのは、むしろ逆効果だ。グーグルは市場主義的アプローチを採る。つまり会社全体のOKRが周知され。1人ひとりのOKRも可視化されるため、時間の経過とともに全員の目標が収斂していくのだ。とんでもなく的はずれな目標を設定しているチームは目立ってしまう。そして全員に関係する重要なプロジェクトは数が絞られているので、トップが容易に直接管理できる。”


3. トラッキング(進捗をトラッキングし、責任を明確にする)

“OKRの利点として見過ごされがちなのが、トラッキング可能であること。それによって設定した内容を見直したり、あるいは状況変化に適合させたりできるという点だ。従来の「ひとたび設定したらおしまい」というような硬直的な事業目標とは異なり、OKRは生き生きとした呼吸する生き物だ。”

OKRは毎日トラッキングする必要はないが、定期的なチェック(できれば週次が良い)が不可欠だと本書では書かれているが、これは完全に同意。私自身、四半期ごとのOKRに対して週次のPriorityを3つ〜最大5つに絞って設定、共有、振り返りを行っていますが、様々な状況変化にも対応できるという点でおすすめです。

また、目標を他者に共有することの効果については以下の記載がありました。

“カルフォルニア州で行われたある調査では、目標を設定し、さらに週次の進捗状況を友人に送った人は、目標を立てただけで他者と共有しなかった人より、目標を達成する割合が43%高かった。


4.ストレッチ(驚異的成果に向けてストレッチする)

OKRは、私たちをコンフォートゾーン(安全地帯)のはるか先に押し出す。実力と夢の境界にあることを達成する力に与えてくれる。新たな能力を解き放ち、クリエイティブなソリューションを生み出し、ビジネスモデルに革命的変化をもたらす。長期にわたって存続し、繁栄しようとする会社は、新たな高みへと手を伸ばしつづけなければならない。ビル・キャンベルはよくこう言っていた。「企業はイノベーションを続けなければ、死んでしまう。繰り返しではない、イノベーションだ」。”

個人的にOKRが及ぼす効果の中でもいちばん好きなストレッチ。MBOなどのトップダウンな目標管理では到達することのできない領域に、OKRが浸透している組織であればすんなりと到達することができます。

テック系ジャーナリストのスティーブン・レヴィは、雑誌のインタビューでラリー・ペイジの目標設定の考え方について、以下のようにコメントしています。

“ペイジは、何かを10%改良するのは他社と同じことをしているに過ぎないと見る。とんでもない失敗をすることはなさそうだが、ケタ違いの成功を収めることも決してない。だからこそペイジはグーグル社員に対し、競合よりも10倍優れたプロダクトやサービスを生み出すことを期待する。誰も気づかないような不便さをいくつか解消するとか、少しばかりコードをいじってささやかな性能向上を達成するといったことでは、ペイジは満足しない。1,000%の改善を達成するには、問題を新たな視点から考え直し、技術的に何が可能かを探究し、そのプロセスを楽しむことが必要だ。


おわり

改めてですが、OKRはただの目標管理システムとしてではなく、経営管理手法として正しく活用することで、大きな威力を発揮するものだと理解することができました。

「OKRを導入したけれど、いまいちうまく運用できていない」、「効果が実感できていない」と聞くことが多いですが、そういった企業の方には、ぜひ読んでほしい一冊でした!

よーし、キングダム読むぞーー

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Shohei Iwata

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