
新しい1通りが出現するかどうか【大学受験に向けて考える練習】
2025年の正月休みが過ぎ、1月が始まりました。
1月は、共通テストや私立大学の一般入試と大学受験が活発です。
そこで、初めて見る問題を観察して考えて答えを求める練習となる内容を投稿しようかと思います。
公式を使ってすぐに答えが出るときは良いのですが、よく考えないと誤った解答になってしまうこともあるのが大学受験レベルの問題です。
特に何通りかを求める問題は、公式を覚えただけではすぐに正解できないことが多いので大変です。
そこで、常日頃から、問題の内容を深く考察する練習が大切になってくるかと思います。
そんな考えて解答をする問題を少し述べてみます。
新しい1通りが出現するかどうか
【問題1】
区別のつかない●2個と区別のつかない■4個という6個のカケラを1列に並べます。
そして、1, 2, 3, 4, 5 から2つの数字が書かれた、それぞれの同じ数字どうしの区別がつかないシールから 2 種類を選び、●と■のそれぞれが同じ種類のカケラが同じ数字となるようにシールを貼ります。
ただし、●と■には、必ず異なるシールを貼ることとします。
そうしてできた6桁の整数が何通りかを求めてください。
2個の●と4個の■を一列に並べるだけだと、高校1年のときに学習した公式で、何通りかをすぐに計算できます。
$$6!/2!4!$$ より、15通りのカケラの配置ができることが分かります。
具体的には、次の15通りの列が考えられます。

ここに数字が書かれたシールを貼るわけです。
例えば、●に 2 のシールを、■に 5 のシールを貼ります。
すると、次のように15通りの6桁の整数が得られます。

ここから、考察をして何通りかを計算します。
この全て書き出そうとすると、多過ぎて書き出せないところが大学受験です。
すべてを描けないのなら、考えて答えを導き出すというわけです。
シミュレーション
今、●に 2 を■に 5 を配置しました。
ちょっとイメージしてみます。
●に 3 、■に 4 を配置すると、異なる15通りの6桁の整数が新しく出現します。
ということは、
1, 2, 3, 4, 5 の異なる 5 つの数字から異なる2個の数字を選んで●と■に配置するのだから、
$${_{5}P_{2} \times 15}$$ 通りじゃないかという予感がするかもしれません。
ただ、$${_{5}C_{2} \times 15}$$ 通りかもしれません。
これら二つの公式を使い間違えると、解答が誤りになってしまいます。
「●に 2 ■に 5」と「●に 3 ■に 4」というように異なる数字のシールを貼ると、新しい1通りたちが全部で15通り出現します。
ここまでは、Pを使う公式、Cを使う公式のどちらも同じ考え方です。
しかし、
「●に 2 ■に 5」と「●に 5 ■に 2」と●と■で数字を並び替えたときに、新しい1通りが出現するのかどうかが、Pの公式とCの公式の違いになります。
新しい1通りが出現するというのがPの公式、●と■で数字を並び替えても新しい1通りの整数が出現しないというのがCの公式です。
ここまで踏み込んで考えないと、どちらの公式を使うべきかが分かりません。
ここの見分けが決め手になる問題です。
今度は、「●に 5 ■に 2」と選んだ数字は同じで、それらの数字を並び替えてみます。
新しい1通りが出現した

552222という6桁の整数だと、●の所に 5 のシールを貼ったものです。
この1通りは、先ほどの「●に 2 ■に 5」のときの、どの15通りの整数とも異なります。
「●に 5 ■に 2」の他の6桁の整数についても、「●に 2 ■に 5」のときと重複していません。
「●に 5 ■に 2」から出現する6桁の整数は 5 が 2 個しか使われていませんが、「●に 2 ■に 5」から出現する6桁の整数は 5 が4個使われているためです。
これで、●と■で数字を並び替えたときに、新しい6桁の整数が出現するので、Pの公式の方だと分かりました。
$${_{5}P_{2} \times 15}$$ 通りの6桁の整数が出現することが分かりました。
※ 細かい計算は省いておきます。
もう1つ注意深く観察して判断する問題を扱ってみます。
新しい1通りを注意深く考察する他の問題
【問題2】
●1個と■1個と▼1個という3個のカケラを1列に並べます。
そして、1, 2, 3, 4, 5 の数字が書かれたシールから3種類を選び、●と■と▼に貼ります。
ただし、●と■と▼のどの2つも必ず異なるシールが貼られているものとします。
そうしてできた3桁の整数が何通りかを求めてください。
●と■と▼の3個のカケラの並べ方は、
$${3!=6}$$ 通りです。
例えば、●に1,■に 2、▼に 5 のシールを貼ります。
3桁の整数が 6 個できることになります。
$${_{5}P_{3}\times 6}$$ か $${_{5}C_{3} \times 6}$$ かの判断になります。
1, 2, 3, 4, 5 の数字から選んだ相異なる 3 個の数字が、1つでも異なっていると異なる3桁の整数です。
ここで、貼るシールの数字を並べ替えて、
「●に5,■に 1、▼に 2」 のシールを貼ってみます。
再び、新しい1通りが出現するかどうかをシミュレーションです。

「●に5,■に 1、▼に 2」 のときに出現する3桁の整数を見てみます。
512 だと、「●に1,■に 2、▼に 5」のときの▼●■で既に出現しているため、重複となります。
「●に5,■に 1、▼に 2」 のときに出てくる3桁の他の整数についても、既に出現したものとなります。
つまり、選んだ3つの数字を並び替えたとしても、●と■と▼という配置する所も入れ替えているため、重複が起きてしまうということです。
これで、
$${_{5}C_{3} \times 6}$$ 通りの3桁の整数が、求める全てだと分かりました。
実は、ここまで話した内容は、次の記事の最後の問題で取りあげている問題の補足説明となっています。
当初は、気軽に解ける問題を例題にしたつもりだったんですが、よくよく考えてみると複雑な内容になってしまっていました。
今回の記事の内容を参考に、より複雑になった問題となっています。
この記事では、●2個■2個▼2個を並び替えた後に、5種類の数字から選んだ数字を配置することを考えています。
難しそうですが、先ほどと同じで、数字を並び替えたとしても、●と■と▼も並び替えた総数で考えているので、既に出てきたものと重複してしまいます。
C の方の公式を使うパターンになります。
それよりも、難しいのは、与えられた問題を、どう攻略するかを考えるところになります。
私立大学や国公立大学の記述を想定してチャレンジして頂ければ幸いです。
ちなみに、ややこしい2つの公式ですが、その証明についての記事も投稿しています。
大学の2年くらいの内容を使った厳密証明を最後の方で述べているのですが、はじめの方で、直観的にイメージできるシンプルな例をつけています。
では、失礼します。