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天から降りてきたメロディ

初めて作詞作曲した曲は、家でアップルパイを作っているときに、突然天から降りてきた。


1. 友達が歌手デビュー

金曜日の夜。一週間の仕事を終えて、夜ご飯の後に梅酒を飲みながらまったり。

前に買ったパイシートを使ってアップルパイを作ろう!と思いつき、レシピを調べるためにパソコンを立ち上げる。たまたま開いたFacebookで、友達が歌手としてデビューした、という記事が目に入る。

その友達がダンサーなのは知ってたけど、歌手としてデビュー!?びっくりして、記事のデビュー曲YouTubeリンクをクリック。

す…すごい!

その音楽はもはやプロ。歌も上手だし、ビデオの完成度も高い。

当時の私は、コピーバンドでボーカルをやっていた時期が数か月あったが、バンドが解散した後は、音楽といえば、定時ぴったりに仕事を終えて急いで家に帰ってピアノを弾くのみ。

そのビデオを見て、賞賛する気持ち半面、「ダンサーだったのに歌手になれたなんて…いいな。私も歌手になりたい」という、悔しい気持ちが湧いてきた。

2. 音楽が天から突然降りてきた

ショッキングな出来事に翻弄されながらも、パソコンを開いたそもそもの目的だった、アップルパイ作りを始めた。型にパイ生地を敷いて、その生地にフォークを刺して穴を開ける。

トン、トン、トン

ステンレスのフォークの先がスチールの型にあたる音が響く。無心になって穴を開けていると、頭が空っぽになってトントントンという穴を開ける音に全神経が集中する。ぼーっと瞑想状態。すると、その音がドラムの音に聞こえだした。

突然、ドラムに合わせて「タラッタタラー♪」というメロディが、天から降りてきた。そのメロディをハミングしながら、生地に穴開けを続ける。

すると、突然、「グラス持ってさ♪」という歌詞がメロディにあわせて口からこぼれ出た。メロディとその歌詞はぴったりマッチ。

「タラッタタラー♪」に続くメロディも降りてきたので、忘れないように携帯の録音アプリで録音。続きの歌詞も浮かび、紙に書き留めた。

3. 初めての曲作り

次の日に、昨日降ってきたメロディと歌詞に、ピアノで伴奏を付けて曲作り。

まだ歌詞がついていない箇所は、メロディをハミングしながら思いうかんだ歌詞をつけて歌ってみる。歌詞は、実際友達を励ましているようにその話し言葉を書いただけ。スラスラと出てきて、悩むことなくすぐに作れた。

それまで、カラオケで歌うことやピアノを弾くことは好きだったが、作詞作曲をしたことはなく、したい、と思ったこともなかった。

なのに、昨日の今日。今考えると、びっくりする変化だ。

4. メロディと歌詞が降りてきた理由

音楽が天から降りてきたのはなぜか?自身で推測してみる。

友達が歌手デビューしたこと、自分も歌手になりたい!という気持ちは、少なからず影響しているはず。でも、フォークの音がドラムに聞こえたこと、突然メロディが降りてきたことは、今でもなぜだか推測できない。

歌詞が降りてきた理由は、友達を助けたいという気持ちだったと思う。

当時は、友達がパニック障害になって、私は、お見舞いにいったり励ましたりするばかりで、治す方法はわからない状態。どうにか友達を助けたかった。

明るい気持ちで、考えすぎないで、飲もうよ!と、友達を励ます気持ち。また、梅酒を飲みながらアップルパイを作っていたので、グラスが目に入っていたこと。それで「グラス持ってさ」という歌詞が降りてきたのではないか。

5. 音楽が持つ力

曲が完成したので、歌詞の元となった、励ましたい友達にその曲を送った。

後日、「毎朝、会社に行く電車の中で聴いているよ!電車の中で、パニック障害になるかもしれなくて不安だけど、この歌を聞いて何とか乗り越えてる。」友達がこんなメールを送ってくれた。

嬉しい

友達を励ましたいという思いでできた曲だから、その曲は癒す力を持っているのかどうかはわからない。だけど、その曲が友達の辛い時期を乗り越える手助けになった、その事実が嬉しかった。

6. 創作の神が降りてくる話

それから数年後、絵描きの友達が、あるイギリス人作家の作品づくりにまつわる話を話し始めた。

「その作家はね、創作の神が降りてくるのを待つらしいの。家の前の丘を散歩中に、物語が突然降りてくるんだって。降りてきたら、忘れないように、家に走って帰って、急いでその物語を紙に書き留めるみたいよ」

その話を聞いて、初めて作曲したときの体験を思い出した。まさに、それ!同じ体験。私も、天から音楽が突然降りてきたのだ。

ちなみに、その作家は、何度かその体験をしているらしいが、私は後にも先にもあの一回きり。「創作の神が降りてくる」という表現が妙にしっくりときた。

7. 最後に

突然、創作の神が降りてきてできた曲。人生で一回きりの、不思議な貴重な体験

友達を助けたいという気持ち

歌手になりたいという熱意

これで生まれた奇跡。

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