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結婚してぇな。

早いもので、気付けばもう2020年。とうとう二十歳の代になってしまった。親の仕送りを貰いながら大学生活を送っていればついつい忘れがちになってしまうが、幼い頃に想像していた二十歳と言えばもう立派な大人だ。親戚のちびっ子達から見ればこいつはお年玉くれるぞって思われる年齢だ。中身はガキンチョでも世間がそれを許してくれなくなるお年頃だ。

そんなこんなで人は大人になっていくものではあるけれども、その過程で誰もが一度は考える疑問があると思う。

“俺、結婚できるのかな”

もし自分が女子だったらもっと早くこの問題に関して考えていたのだろうか。ほら、やっぱいくら女性の社会進出が進んできたとは言え、専業主婦になるみたいな在り方ってまだ女性特有みたいなところあるじゃん?男性でも増えてはいるんだろうけど。だから結婚のことは女子の方が考えてそうだな〜っていう、他意はないですよ本当に。その辺社会学部のみんな教えて欲しいです。ハイ。

少し話がそれちゃったけど、大学に入って、自分たちと関わりの深かった先輩達が就職活動に勤しんでいる姿を見ると自然とその先を考える時間ってのができたりとかして。(22歳で就職したら一体結婚はいつ頃?つか、結婚て相手ありきのものだしなぁ。)とか考えるわけですよ。まあ今の日本じゃ相当難しい課題だよね。コレ。何せお金がかかるし、問題山積み。だけどもね、俺、ど〜〜〜しても結婚はしたいんですね。

男はポツリポツリと、その心情を吐露し始めた。









ピピピピッピピピピッ ピピ ガチャ。

朝のアラームで目が覚める。ダブルサイズのベッドには妻が少し前まで隣にいたであろう温もりと、微かなシャンプーの匂いが残っている。

その横には綺麗な寝顔でスヤスヤと眠る娘。

(休日だから、まだ寝かせておいてあげようか。)

天使のような横顔で眠る我が子にそっと微笑みかける。

リビングからはウィンナーの焼ける軽快な音と共に、美味しそうな朝食の匂いが鼻腔をくすぐる。

デスクワークで凝り固まった肩をほぐしながらリビングに向かうと、キッチンカウンター越しに朝食を作る妻の後ろ姿が。

「おはよう〜今日は朝早いね?」

問いかける俺。返事はない。聞こえていないのだろうか?

何度か呼びかけてみるものの全くこっちを見るそぶりがない。

「機嫌悪い?」

応答はない。

「何かあるなら話して…」

肩に手を置いたその瞬間だった。

妻の首が180度グリン!と回転し、血走った目を見開きながらこちらを凝視する。

「どうしたんだよ!!!!おい!!!」

驚いて呆気にとられる間もなく妻だった“モノ”は細かく尖った歯がびっしりと生えた口を大きく開く。

「おい!返事しろって!!何があったんだよ!!」



ダメだ!!噛まれる!!!!!!








ハッ!!!!



あれ?

あれ??????????

全然結婚生活じゃないんだけど?????


これ、嫁さんが朝飯作ってて、娘がお気に入りのクマのぬいぐるみをもって眠そうな目をこすりながら二階から降りてきて、一緒にソーセージと目玉焼きとパン食べて、今日はみんなでピクニックに行こうって話して、無駄にでけえゴールデンレトリバー連れて、近くの公園に行って、俺、娘、妻の並びで並木道歩いてなんか手繋いで娘がちょっと宙に浮くやつやりながら笑い合って、いい感じの木の下でサンドイッチ食ってるやつじゃないの!?!?!?!?!?


そうです。そうなのです。コレがホラー映画を見すぎることによって生まれる病“幸せなシーン冒頭五分間しか想像できない病”なのです。

どんな幸せな状況下でも、パンデミックが起こったり、核爆弾が落ちたり、平面世界への扉が開かれたりしてしまう、重篤な精神障害なのです。

この記事を読んだあなたがもし、ホラー映画を見ることが趣味ならば、映画の鑑賞はほどほどにすることをオススメします。合間にハートフルな作品を挟みつつホラーを楽しむのも1つの手です。

平穏な日常が、何よりも幸せですね。















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