ピアノを好きになる

「私の好きなものってなんだろう?」と考えた時に、一番最初に浮かんでくるのは、”ピアノ”です。振り返ってみると、ピアノとの思い出も、ピアノの好きなところも、本当に沢山あります。長くはなりますが、ピアノとのエピソードと、ピアノの好きなところについて、書いていきたいと思います。

私がピアノを弾き始めたのは、3歳の頃だったと思います。同い年の友達が弾いているのを見て、憧れ(ということにしていますが多分負けず嫌い精神)から、私も彼女と同じピアノ教室に通わせてもらうことにしました。

大きな一軒家にグランドピアノが2台、玄関はいつもお花の香りがして、部屋に入ると、好きな家の匂い(友達の家に行った時に、好きな匂い…って思うことありますよね?)がしました。先生は姿勢が良く、いつもロングスカートを履いている上品な方でした。いかにも「ピアノ教室」という感じがして、息が詰まりつつも憧れを感じていました。

そんな素敵な教室に通っていたのですが、私はどうしてもピアノを好きになれませんでした。私が通っていたのは、クラシックピアノを習う教室だったのですが、必ずしも、「ピアノを習いたい」=「クラシックを弾きたい」が成立するとは限らないんですよね。そのことに私も親も気付かず時は進み、あっという間に小学生です。子ども向けの練習曲を終えた私は、ピアノを習っていた方にはおなじみの、ブルグミュラー25の練習曲、ツェルニー30番、ソナチネアルバムなどを進めていく訳ですが、これが楽しくなかったのです。本当に。ちなみにHANONも大嫌いでした。

小学生の私は、クラシックの魅力なんて全くわかりませんでした。聞く音楽といえばAKB48や嵐、それもテレビなどから流れてくるものを聞くだけで、能動的に音楽を聞くことは小学校高学年になるくらいまで無かったと思います。そんな小学生がクラシックを理解できる訳もなく…
とにかく練習が嫌いでした。好きな曲じゃない。難しい。弾けない。
ひどい時は家の電子ピアノを蹴って泣きながら練習していました。

ピアノの教室には、毎週木曜日に通っていたのですが、練習を始めるのはいつも月曜日。毎週ほとんど変わらない状態で教室に行っていたので、先生もそりゃ怒ります。その怒り方がとてもとても怖かったのです。私は練習不足でほとんど弾けない状態なのですが、先生は演奏をやめさせてくれません。ボロボロの演奏を(しょっちゅう止まるのでもはや演奏ではない)泣きながら必死に続けます。そしてしばらくすると、先生が無言で私の楽譜を閉じにきて、練習は終わり。
これが本当に怖かったので、毎週木曜日は朝からどんよりしていました。何故辞めなかったのかはよくわかりません。
(補足:先生が怖いのはただ私が練習しなかっただけで、先生はピアノ演奏だけではなく楽典、リズムとソルフェージュもしっかり教えてくださった素晴らしい方です。私の音楽の基礎はここで出来ました。)

そんな私でしたが、小学校4年生の時に合唱の伴奏をしたことで、「ピアノって楽しいかも…?」とようやく思うようになりました。伴奏者に立候補したのは完全に見栄です。それなりに難しい曲だったので、かなり練習しました。見栄の力って凄いですね。
そして、いよいよ合唱練習が始まり、いざ歌と合わせてみると、これが思っていた以上に楽しいのです。今までずっと一人でクラシックを弾いていたので、誰かと一緒に音を出すということが初めての体験だったし、伴奏のこまかい表現ひとつひとつで、歌の持つ魅力をさらに引き出せるような感じがして。それからは、まいちゃんという素敵な友達と一緒に、中学3年生まで、指揮・伴奏を(ほぼ)制覇しました(小5はオーディションで落ちた。誤差です)。伴奏を経験していなかったら、きっとピアノを弾かなくなっていたと思います。私とピアノを繋ぎとめてくれた大切な出来事です。

そして、さらにピアノの楽しさや魅力に気付いたのは、中学校に入って、ピアノのレッスンを辞めてからです(先生の都合で辞めることになりました)。中学校では吹奏楽部に入部し、クラリネットを吹き始めたのですが、ピアノ以外の楽器の性質を理解することで、ピアノという楽器の魅力に気付き始めました。
まず、一番大きな魅力は、一人でたくさんの音が出せること。クラリネットを始めるまではピアノ以外の楽器に触れてこなかったため、自分一人でメロディーと伴奏を演奏できるのは当たり前のことだったのですが、これが多くの楽器では当たり前ではないのです。
そして次に、音域の広さ。クラリネットも音域の広い楽器ではあるのですが、それでも4オクターブ弱です。一方ピアノは7オクターブ弱。広すぎる。

吹奏楽を始めたことで、管楽器の魅力にも気付きます。その状態で、『のだめカンタービレ』を読んだことが、ピアノをさらに好きになる決定的な出来事でした。その頃、管楽器は大好きだったので、オーケストラの演奏に興味を持ち、のだめカンタービレの作中で演奏されている曲が収録されたCDをレンタルして聴きました。
そこで初めて聴くピアノ協奏曲、ピアノソナタの音色は、驚くほど鮮やかなものでした。「ピアノってこんなに素敵な音が出るんだ…」と、そこでようやく気付くことができました。

そこからは一気にピアノを好きになりました。楽器そのもののフォルムが美しい。鍵盤の並びが綺麗。高い音が輝くのが好き。低い音が響くのも好き。一人で和音を鳴らせる。ペダルもある。なんでもできる。


長々とごめんなさい。更にもう2つ、ピアノをもっと好きになったきっかけを書きます。

こちらは、私が中学校を卒業した頃に好きになった、HOWL BE QUIETというバンドの、『GOOD BYE』という曲です。このバンドは、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、そしてピアノからなるロックバンドです。私はあまりバンド音楽を聴いてこなかったので(そもそも聴く音楽の幅がとても狭かった)、初めて”ピアノロック”に触れて、衝撃を受けました。「ピアノってこんな魅力もあるのか…」と、感動したものです。美しいだけではなく、ちょっと触れるだけで壊れてしまいそうな張り詰めたピアノの音色に、一気に惹かれました。
高校の時はこのバンドをずっと聴いていました。本当にずっと。今となってはもっと色々なジャンルの音楽を聴けばよかったと思うのですが、このバンドをずっと聴いていたことで、ピアノの一音一音をしっかり聴くことができ、その音が持つ魅力について考え、よりピアノを好きになりました。


次に、こちらのアーティストについて書きます。大学に入ってから、先ほど書いたHOWL BE QUIET 竹縄さん(Vocal.Piano.Guitar)のインタビューを読んでいて、竹縄さんが影響を受けたアーティストとして挙げられていたのが、この、『Ben Folds Five』でした。「どんなアーティストなんだろう、ちょっと聴いてみよう」と思って初めて聴いた時、本当にびっくりしました。かっこよすぎる。ちょっと聴くつもりが、気付いたらずっと聴いていました。
まず、ピアノがとても上手い。しかも、難しいフレーズを弾きながら、歌っている。ピアノは音数が多く、リズムも複雑なのに小難しい印象を受けない。惚れ惚れとしてしまいます。曲を聴いていると段々気付くのですが、かっこいいだけじゃないんですよね。可笑しかったり、切なかったりもするのですが、それを表現するピアノが本当に表情豊かで大好きです。
この前、所属するサークルでBen Folds Fiveの曲を演奏させてもらったのですが、弾いてみて、このアーティストもピアノも、ますます好きなりました。ピアノの譜面を見た時には、音数が多くて譜読みから苦戦したのですが(実は2ヶ月強かけて練習しました)、弾けるようになるとものすごく楽しいです。低音の鍵盤を和音関係なく思いっきり鳴らしたり、曲の最後で雰囲気がガラッと変わったり。そこでそのリズム!?その音!?と驚くことがたくさんありましたが、それがピアノの表情をますます引き出している感じがして、ピアノってこんなに楽しかったのか…と、もう一度感じるきっかけになりました。


ここまで長々と書いてきましたが、現在進行形でピアノへの愛は強くなっています。新しい曲を弾くたびに新たな魅力に気付く。本当に素晴らしい楽器だと思います。私の技量では、まだまだピアノで表現しきれないことだらけですが、それはつまり、ピアノには私の気付けていない魅力がまだ沢山あるということです。なんだかワクワクしてきたので、これからもピアノの練習を続けていきます。ピアノを始めて本当に良かったと、この文章を書いていて改めて感じました。もっと上手くなります。




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11
19歳 大学生
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