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「どう言っても聞かないんです」 “正論”が通用しないわけ。

相談者:A子さん(30)がやってきました。
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事例:A子さん
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親元を離れて暮らして10年近くになりますが、正月には家族が集まるようにしていたんです。今年も年に一度のイベント的な感覚で家族が実家に集まりました。

いつもなら何気ない日常の会話で過ごすのですが、今年は父親が突然「実印持ってきてくれ」って言うんです。何の話かと思いました。
聞いてみると、別荘を買うと言うのです。実家にはそんな余分なお金ありません!

父は「ローンを組むから大丈夫だ。実家を担保に入れれば借りられる。実家の一部がお前の名義になっている。だから実印持ってこい。」

もはや意味が不明です。一体どうしたと言うのでしょう!?
「何考えてんの! ウチを担保にしてどうすんの! 万が一返済に無理が生じた時、お家なくなっちゃうんだよ!?」

父は大丈夫だ。死んだらチャラになるローンだ、お前には迷惑をかけないの一点張りで、会話ならないんです!

「一体いくらの物件で、どこの銀行のローンで、金利はいくらなの!どんな物件か謄本出しなさいよ!」と、もう喧嘩です。父も頑固者で「うるさい、俺のやることに口を出すな。言うことを聞け!」と怒鳴って不貞腐れてしまうんです。どうしたらいいんでしょうか。。


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解説
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はい。
お父さんのおっしゃることは確かにおかしいですね。
A子さんが思わず激昂するのもわかります。
でも会話もままならないこの状態では解決の糸口がつかめません。
まず、お父さんとの対話を取り戻すことが大切です。

それにはA子さんが振り上げた拳を下げなければならないのです。
A子さんは「お父さんが間違っているという絶対的確信の元、相手の過ちを指摘し正さねばならない」と思っています。だからこそ、非の打ち所のない論理的な指摘を矢継ぎ早に放ちます。

この状態を「正論攻め」といいます。
正論は一見論理的に正しいのですが、エネルギーが怒りベースで発信されています。拳を振り上げた状態なので、聞かされる側はとても聞く耳を持てなくなるのです。折角正しいことを話しても、伝わらないのです。
この時、なぜ怒りがこみ上げて拳が上がるのでしょうか。

それは不安が根底にあるからです

A子さんにこの点を問うと、「実家がなくなってしまう」「両親が路頭に迷うかもしれない」という不安や、ローン対する不明瞭さから不安に襲われたかもしれないと話してくれました。

「正論」の後ろには、不安や自信のなさが隠されているのです。
それを認識し、心の中心にある言葉に言い直す必要があります。
この場合「突然のことでびっくりした」「状況がよくわからなくて不安になったよ」「お父さんの住むところがなくなるかもしれないと怖くなったよ」というふうにです。

そして、相手の気持ちも聞いてあげなくてはいけません。
理解してもらいたかったら、理解する必要があるのです。

このようなガイドをしたところA子さんは「父と話してみます」と帰って行きました。


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A子さんの後日談。
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A子さんの気持ちをお父さんに伝えたところ、少し落ち着いた様子で不動産の資料を見せてくれたと言います。

そしてお父さんの気持ちも聞いたそうです。
お父さんは別荘を持つことがずっと夢だったこと、最近の株高で頭金くらいの利益が出たこと。さらに先日友人を亡くして、自分も元気なうちに夢を叶えないと楽しめないという焦りがあったことを話してくれたそうです。

物件資料の精査の結果、やはり購入するに値しない物件であることがわかり、お父さんも購入を取りやめて一件落着しました。
他のいい物件や、老後の楽しみを探そうねと話しているそうです。

まとめ
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不安は怒りに転化してしまったりするものです。
さらに正当化して、正論攻めをしたりします

僕も心配性な部分があり、そういうモードに入ってしまったりします。コミュニケーションが上手くいかなくなってから気付くのですが、自分の不安に向き合ってから、それをシェアするようにしています。
そうすることで、より建設的でスムーズな会話に戻すことができます。

また、正論で攻めてくる人を見たら、その人は不安や恐れを抱えています。その人の立場になって、何が苦しいのか感じてみて下さい。予想外の姿を見つけることができるでしょう。

本当の気持ちを話すことさえできれば、それが最もパワフルなコミュニケーションになるのです。

ではまた。

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感情に振り回されず人生を自分のものにしていく
「感情の学校」を主宰しています。
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