見出し画像

コメンテーター津良野房美#14

お嬢様育ちの新人アナ内藤百合絵は何不自由ない人生を送ってきた。

父は赤坂の一等地に自社ビルを持つ老舗の料亭を経営している。料亭に出入りする大臣クラスの政治家達とも付き合いがあり、百合絵は父親の強力なコネで現在のテレビ関東にすんなり入社した。

幼稚舎からエレベーター式に進学し、受験勉強とは無縁だった。
留学経験もあり英語はペラペラ、親譲りの記憶力の良さで成績もトップクラス。学校の教科書など一度読むだけで全部頭に入ってしまった。

おまけに美人だ。
学生時代に自分以上の美人は存在しなかった。学校一のイケメン、秀才、スポーツマン、ありとあらゆる男達を総なめにし、そこら辺の美人と言われる女をバタバタとなぎ倒しえげつないほどモテてきた。

自信満々で何も怖いものはない。
自分の望む物すべてが簡単に手に入る人生だった。


社会人になり、モーニングタイムのアシスタントにいきなり抜擢された。
学生時代からお天気キャスターでテレビに出ていたから緊張などするはずもない。
プロデューサーのオヤジも私のこと気に入ってデレデレ話しかけて来る。
こんな男お手の物だ。


しかし、百合絵は社会に出て初めての大きな挫折を味わった。

"津良野さんだけには敵わない
あまりにも美しすぎる
"


つづく

前のページ#13← →次のページ#15

1ページから読む


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?