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コメンテーター津良野房美#39最終話

「えーっ!どうして?」

房美は驚いて聞き返した。

「さっき局から電話があって、急遽明日仕事になっちゃいました!」

百合絵はそう言うと流しのタクシーに手を挙げた。
タクシーが止まり、ドアが開いた。

「じゃ、ポンタさん!房美さんの事よろしくねっ!」

百合絵はそう言うとタクシーに乗り込んだ。

「高松空港までお願いしまーす」

と百合絵が言うとタクシーのドアが閉まった。

「ちょっとー!百合絵ちゃん!」

房美はタクシーの窓を叩く。

百合絵はタクシーの中でバイバイをしている。
そしてタクシーが動き出すとピースサインをした。

ポンタと房美は二人取り残され、呆然と百合絵の乗ったタクシーを見ていた。

すると、タクシーは少し進んだところで突然ブレーキランプが点灯して止まった。

タクシーのドアが開いた。

百合絵が降りて来て、こちらに小走りで駆けてくる。

「ヤバイ!ヤバイ!
忘れるところだった!」

と百合絵が言う。

「ポンタさん!房美さん!
スマホ貸してください!」

ポンタと房美は訳わからず、黙ってスマホを百合絵に差し出した。

百合絵は、右手にポンタのスマホ、左手に房美のスマホ、両手で操作し始めた。

ものの数十秒で百合絵は

「はい!コレでオッケー!」

とポンタと房美にスマホを差し出した。

「全く二人とも、じれったいんだから!
じゃあねー!」

と百合絵はまた止めてあるタクシーに向かって走り出した。

LINE交換しといたからー!

と百合絵は言いながらタクシーに乗って行ってしまった。

ポンタと房美はしばらくその場に佇んでいた。

房美は百合絵に渡されたスマホを見た。

LINEの新しい友達に「本田武史」と入っていた。

「そうか、ポンタさんは『ほんだたけし』なんだよね」

房美が言った。

ポンタも自分のスマホを見た。

新しい友達に「山田花子」とある。

"やまだはなこ?"
ポンタは顔を上げて房美を見た。

「私の本名ですよ」

と房美が微笑む。

「そうか!房美は芸名だよね!
、、、
でもこれからも『房美さん』って呼んでもいいかな?

ポンタは言った。

「もちろん!
私もポンタさんでいいよね!

「もちろん!」

「ハハハハハッ、、、」


月あかりに照らされた讃岐富士が二人を包むようにそびえていた。



終わり

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