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コーヒーについての私的考察 6.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

2012年、レフェクトワールをつくるにあたり、コーヒー(豆)をどうしようかと考えていたところ、ぼくらの業界の巨匠、仁瓶さん(ラトリエ・ドゥブテイユ)から「とても美味しいコーヒーをつくる人がいる。その人のコーヒーは、冷めても美味しい」というお話を聞き、ご紹介していただくことになった。

静岡で創作珈琲工房 くれあーるを経営されている内田さんがその人で、その後レフェクトワールでは、この内田さんが焙煎された豆を使用させていただいている。
内田さんをご紹介いただいた時点でぼくの中では、コーヒー = エスプレッソやカフェ・オ・レ、カプチーノのことであり、グアテマラやコスタリカってどこ? ゲイシャって何?といった程度の認識で、サードウェーブが云々といったことは頭の片隅にもなかった。

店のオープン前には内田さんにエスプレッソマシンの設定などをしていただき、コーヒーの淹れ方をスタッフに教えていただいた。
そして内田さんは次から次へと銀色の袋にパックされた豆を取り出され、「これが○○○という品種で○○の大会で金賞になった豆です。こっちが△△で銀賞を取った豆で・・・・」と説明をしながらいろんなコーヒーを淹れてくださり試飲をすることに。

豆に種類があるのは知っていたけれど、コーヒーの業界にもそんな国際的な大会(品評会)があるのか。やはり金賞の豆は銀賞の豆より美味しいのか?などと思いながら、ぼくは内田さんのその手慣れた所作を眺めていた。

内田さんに豆をお願いすると決まったとき、ぼくは京都へ帰る途中一度静岡で下車し、くれあーるさんを訪れたことがある。
その際、奥様にカプチーノを淹れていただきご馳走になった。
本当に驚くほど美味しくて、やはり餅は餅屋だな。プロのコーヒー屋さんは次元が違うと思いながら京都へ帰ったものだった。
そのくれあーるさんのご主人である内田さんが豆の説明をしながら淹れてくださっている上に、なんてたって国際的な品評会で金賞や銀賞を取ったという豆だから期待も高まる。
ぼくは、心持ちだけでも正座をして試飲を待った。

つづく


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