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読書記録(羅列版)その2

 こういう類の作業は思ったときにやらないと旬を逃す。
 積み残して先延ばししてもあまりいいことはない。何につけても熱はやがて冷めるものだし、冷めなければ冷めないで気持ち悪い。
 そんなわけで乱読した小説作法や創作指南を垂れ流す、ただの記録投稿のその2をまとめておくことにした。
 すでに忘れてしまっていて、記録から漏れているものもありそうな予感。でもそれはそれでその程度だったということだろう。

 UCバークレーを卒業後、出版社、テレビ局などで仕事をし、今は映画の製作・配給会社のストーリー・コンサルタント(どんな職業なんだ、これ?)もしている著者がストーリー作りに関して書いたもの。
面白いのは作家がどうやってゼロからストーリーを作るかではなく、読者はどんな物語を快楽として受け取るのかという立ち位置から書いてあること。
 通常の創作入門とは全く逆のスタンスで、その発想自体が面白い。
 でもそれってあくまで読まれる前提なので、手に取られるかどうかは全く関係がないという弱みも。「読んでくれれば間違いなく面白く感じる」というのは説得力があるのかないのか。
 書く前から読者を意識しすぎるのもどうかと思うのだけど、映画プロデューサーや配給会社からしてみれば、そういう視点が欠かせないのもわかる。
 ハリウッドでは学習済みのA.I.にプロットを読ませて、どの程度の興行収入が見込まれるかを判断させて、そのリターン予想によって制作にゴーサインを出すかどうか、どのくらいの予算ならペイするかを判断してるそう。その割にこの10年でハリウッド製作の映画って本当にクソつまらなくなったけど。

 小説家である三崎亜記が雑誌「ユリイカ」に連載していたものをまとめたもの。
 創作入門というよりは文学理論にやや踏み込んだポジションのものなので、ライトな気分で「小説書きたい!」って考えた人が読むには少々きついかもしれない。この本でいちばん伝わるのは、三崎亜記という作家がどんな人なのかということなんじゃないかと。
 僕は彼女の作品を割と好んで読んでいるので、なかなか面白く感じた。
 創作マニュアル的に即効性のあるアドバイスとかは皆無。そこに期待して手に取ったら大間違い。でも物語を作る、読むって、掘り下げた先にはこういうことが潜んでいるのも確かなのだよね、と思った。

 本の背が4センチ強もあるやたらと分厚い本だったけれど、これは面白かった。
 著者は「ハリウッド随一のストーリー・コンサルタント(まただ!)でスクリプトドクター(なんだこれは?)」らしいジョン・トゥルービー。
 ストーリー全般に関して、全体構造の分類したり、登場人物のパターン化や分析、プロットの展開分析、バックストーリー等々を映画作品を例に事細かに解説してある。
 ここまで細かくすれば、確かにヒット作になるかどうかはいくらかよく見えてくるよなあと思いつつ、先のリサ・クロンの著書同様、ここまで細かく分析を加えてるってのに、ハリウッドのあのザマはなんなんだ?という思いは拭えず。細かく分析すりゃ面白いものができるに違いないってアメリカ的合理主義の発想そのものが根本的にずれてるんじゃねーの?と思いたくなるものだった。
 でもここまで細かく分析しようだなんてそもそも思わなかったから、それを知っただけでも収穫だったのは間違いない。厚みの割に読みくだしやすいし。

また長くなってきたので、「その2」はあと2冊だけ。

 これから小説を書いてみたいと思ってる人には、イントロダクションとしてはいい参考になる。どうしても行き詰まってしまう人にもガイダンスとしてはいいかもしれない。
 行ったことはないけれど、きっと創作の市民講座ってこんな感じのことを喋るんだろうなーと、受講してる様子を想像してしまった。
 タイトル通り2週間分のチャプターが用意されてるから、素直に、言われるままに進めてみれば、小説を書くという体験はできるはず。
 出来上がったものが面白い保証はもちろんどこにもないけれど。

 日本推理作家協会によるミステリー小説の指南本。
 北方謙三を始め、当代きってのミステリー作家がそれぞれのノウハウや経験を書いたり語ったりで、参考云々以前に読んでいてとにかく面白い。
 読んで書かなくても元が取れる稀有な本。
 所々で作家が悶え苦しむ様子も想像できて、これがまた楽しい。
 チャプターごとに協会員の作家へのアンケート結果が載せられている。これもまた作家ごとにいろんなことを考えているのがわかって、面白いのだった。

気が向いたら「その3」もいずれ。

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