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9.北海道電力の非化石電源比率


 国内八位の電力販売量である17.05億kWh(2024年5月実績値)の北海道電力が公表する電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみる。
 2022年、北海道電力は非化石電源比率の目標は未達成と評価された。                     

 経済産業省の制定する「電力の小売営業に関する指針(2024年4月)」に基づき、算定・公表された結果である。

9.1 電源構成

図13 2022年度における北海道電力の電源構成

 ただし、北海道電力は、カーボンFプラン、カーボンFプランプレミアムなど再エネ100%メニューを一部販売しており、再エネ100%メニューの販売には「非化石証書(再エネ指定あり)」の購入は必須である。
 
以下では、再エネ100%以外のメニューについて、電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を示している。 

 水力(3万kW以上)の5%は揚水分を含んでいない。「非化石証書」を使用していない部分は、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持つ電気として扱われる。

 再生可能エネルギー(FIT電気を除く)の7%は、水力(3万kW未満)・太陽光・風力・バイオマス・地熱を含む。「非化石証書」を使用していない部分は、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持つ電気として扱われる。

 FIT電気の8%は、FIT制度によって買い取りした電気で、調達費用の一部は再生可能エネルギー賦課金により賄われており、「非化石証書」を使用していない部分は、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持つ電気として扱われる。

 卸電力取引所の10%は、水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが調達された中に含まれる。

 その他の14%は、揚水分・廃棄物および他社から調達している電気で発電所が特定できないもの等が含まれている。

 一方、石炭34%、LNG他14%、石油8%であり、自前の火力発電の合計は56%である。再稼働に至っていない原子力は0%である。 

 以上から、北陸電力の扱う電力の実質的な非化石電源比率は、5%+7%+8%=20%である。卸電力取引所から調達分とその他の合計24%の中にも、再エネと原子力が含まれているようであるが、その割合は明確でない。

9.2 非化石証書の使用状況

図14 2022年度における北海道電力の非化石証書の使用状況

 北海道電力の「非化石証書(再エネ指定あり)」の使用は14%で、これに加えて「非化石証書(再エネ指定なし)」は0.1%未満のため、端数処理上0%と記載している。
 「非化石証書(再エネ指定あり)」とは、大型水力や卒FITを対象とし、「非化石証書(再エネ指定なし)」とは、原子力発電による電気である。

 実質的な非化石電源比率は20%であるにも関わらず、資源エネルギー庁が中国電力に課した目標値に従い、「北海道電力の「非化石証書」の使用率は14%である。
 残りの再エネ6%については、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持つ電気としてCO2排出量は高めに計算される。

9.3 2023年度のCO2排出係数

 電気事業者の自主的な取り組みとして温暖化ガス排出量の削減目標は、「2030年に温暖化ガス排出係数を0.37kgCO2/kWh以下」である。

 北海道電力は、上記の電源構成・非化石証書の使用状況に対応したCO2排出係数の2022年度の調整後排出係数は0.535kgCO2/kWhで、現時点ではCO2削減目標をクリアできていない。

 ただし、調整後CO2排出係数とは、固定価格買取制度(FIT)に基づき国から配分された環境価値(余剰非化石価値相当量)や調達した非化石証書の環境価値等による調整を反映した後のCO2排出係数である。

 次に、国内九位の電力販売量である16.92億kWh(2024年5月実績値)の四国電力が公表している電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみよう。                     (つづく)


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