あかりお姉ちゃん

私が物心ついたときには、あかりお姉ちゃんはいて、よくパパのかっこいいところとか面白い所を教えてくれた。
いると言っても心の中の秘密の友達みたいな不思議な存在。
パパもママも忙しい仕事でいつも保育園で帰る時も最後だったけれど、全然寂しくなかった。
だって、あかりお姉ちゃんがいたから。あかりお姉ちゃんはパパとママは世界をもっと良くするために戦っていること、寂しいって気持ちも大事にしてねとか沢山言って心の中で抱きしめてくれた。
そうすると心の中はポカポカで、先生に大丈夫? って心配されても寂しくなかった。

そんな日常の中、パパの昔のアルバムを見ることになった。
正直驚いた。あかりお姉ちゃんがいたからだ。
「あかりお姉ちゃん」
私がぽつりとその名を口に出すとパパは驚いて言葉を失った。
「灯をしっているのか?」
そう尋ねるパパに私はこくんと頷く。そしてパパは泣いた。嬉しそうだった。
あかりお姉ちゃんはパパの妹で、若くして死んでしまったみたい。
「灯はね、灯(ともり)を守ってくれてるんだね」
パパはそう言いながら泣いていた。私だけの内緒のお友達だったあかりお姉ちゃん。
あかりお姉ちゃんはパパの妹で、私を守ってくれるキュアッキュアならピンクだなって思ったのを覚えてる。

私の中のあかりお姉ちゃんにも話すとそうだよって言ってまた私を抱き締めた。
私が成長していく度、何度も訪れる嫌な事辛い事、あかりお姉ちゃんはいつも話を聞いてくれた。抱きしめてくれた。

でも私が15歳の誕生日になった時、あかりちゃんは
「もう私がいなくても大丈夫。今日から私は灯の中に溶けていくから……大丈夫。絶対の味方は貴方の中にいるよ」
そう言っていつもみたいに私を抱きしめて、溶けて入っていく。
その時に見えたビジョンはあかりちゃんが、魔法使いのせいでボロボロにされた事、あかりちゃんの最後の願いでパパは魔法省に入ったことが伝わってきた。
その日は嬉しいのか悲しいのか分からなくてママに抱きついて赤ちゃんみたいにずっと泣いていた。

そして大学を卒業し私が今日から働くのは魔法省だ。パパの管轄に入る事になる。ソシアおじさんや智寿留おじさんと一緒にルールを変える。
あかりちゃんみたいな悲しい最期がもう迎えないように。

あかりちゃん、私の最強の味方。私の中にいる。
大丈夫だよ。私はたくさんの幸せをもらってそしてそれを世界にも広げられるような人間になるから。
私と一緒に幸せになろうね。

end

時に選択とはボイスドラマ

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