マガジン

  • お返事

    サイトやいただいたお言葉へのお返事になります。

最近の記事

2/21メルフォお返事(みきこさま)

みきこさん、先日はサイトのメルフォからお言葉をいただきありがとうございました…! サイト時代に通っていただいていたとのこと、懐かしいやらうれしいやらで、胸がいっぱいになってしまいました。あの頃、サイトにお越しくださる方に小説を読んでもらえるのがうれしくて、更新とか、ページデザイン選びとか、毎日楽しくやっていました。 わたし自身も環境が変わるなかで、サイトは倉庫化して、今では投稿サイトが主な活動場所になっているのですが、またお気が向かれたら、作品たちに会いに来ていただけたらうれ

    • 「お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた」謝辞

      「お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた」があした発売日を迎えます! 「お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた」 角川文庫(キャラクター文芸)より2024年1月23日発売 詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322308000468/ 現代恋愛、商業でやらせてもらえてうれしかったです! ふたりの物語をすこしでも楽しんでいただけるとよいのですが…! さて、今回もあとがきはないので、謝辞を。 装画のajimitaさま。御伽噺のようなロマンスあふれ

      • 花と王様(BLANCA)

         近頃、銀獅子の王レーヴェ=エスペリアの親友はいたく花の名に詳しい。  酒を嗜むとき、花瓶に飾られた白い花を見つけて、「あ、銀白華だ」といっぱしのことを言ってみたりする。意外に思ったレーヴェが、へーえ?と感心した相槌を打てば、「ねーレーン。もらってかえっていーい?」とすべらかな花びらをいとしむように撫でる。この男に花を愛でる趣味はなかったはずなのだが。苦笑交じりに、「いいぞ、いくらでも持ってけ」と手を振ると、彼は「ありがと、レーン」と笑みを蕩けさせた。  彼の親友がこうしてと

        • ハニー・ジンジャー (BLANCA)

           微かな水音がして、彼は目を開いた。  こほ、とひとつ枯れた咳をする。潤みがちの目をこすって無為に額に腕をやると、「起こしてしまった?」と恋人である少女が新しい氷枕を置きながら問うた。 「んー、うん。今なんじ?」 「もうすぐ、八時。あたま起こせる?」  少し手伝ってもらいながら半身を起こすと、彼女は慣れた手つきで枕を取り替えた。ぷらりぷらりと揺れる三つ編みを眺め、彼は熱っぽい息をつく。  およそ二十年ぶりくらいに風邪を引いてしまった。ほとんど初めてといっていい発熱は、思っ

        2/21メルフォお返事(みきこさま)

        マガジン

        • お返事
          3本

        記事

          Goodnight , My Lady.

           ブランカが怖い夢を見たときはいつも、朝食用に作り置いた薄荷水をこくんと一口飲み下すことにしている。  ブランカの怖い夢は北の吹雪とともにやってくる。  寒気が鋭くなって、吐く息が真っ白に染まるようになると、ブランカにはエディルフォーレの雪女王の悲鳴が窓の外からときどき聞こえるようになるのだ。  極寒の記憶。雪女王の悲鳴は憂いを帯びており、触れれば指先から身体の芯を凍りつかせる獰猛な恐ろしさがある。  だから、ブランカは雪女王の悲鳴が聞こえる晩は毛布にくるまって目を閉じるか

          Goodnight , My Lady.

          2023年まとめ

          2023年が終わってしまう~~! 今年のまとめです! 今年はこんなかんじでした。 1月 「お嬢さまと犬」2部連載開始 4月 「聖女と悪魔の終身契約」(富士見L文庫)発売 5月 「お嬢さまと犬」カクヨムコン8特別賞受賞 8月 「お嬢さまと犬」完結 あらためて書きだしてみると、「お嬢さまと犬」尽くしだったな…!? 8月までは連載もしてましたし、あわせて書籍化に向けた改稿や校正、番外編の連載もしたので、1年通してつぐみと葉のことを考えながら日々を送っていた気がします…笑 not

          2023年まとめ

          「お嬢さまと犬」あとがき

          「お嬢さまと犬」完結しました!  ここではおはなしについてあとがき的なことを書こうと思います。本編のネタバレを含んでいるので、気になる方は読了後にお願いいたします~! このはなし、振り返ってみると、当社比で超スピード執筆でした。 思いついたのが去年の10月だったんですが、とくにプロットも作らないまま執筆しだし(もともと公開予定もなく書いていた趣味の小説だったんですよね) ちょうど10万字近くになったときカクヨムコンがはじまりそうだったので勢いで連載をはじめ、その後も、改稿作

          「お嬢さまと犬」あとがき

          「聖女と悪魔の終身契約」謝辞

          「聖女と悪魔の終身契約」があした発売を迎えます! ちょうど職場環境が変わってばたばたしている最中でして…なんだか濁流のような日々のなか、きづけば、発売日になりました。 本作は商業作ではひさしぶりの西洋ファンタジーです。といっても、デビュー作の「BLANCA」は洋風な世界観でありつつもファンタジー要素はなかったので、魔物!退魔!みたいな西洋ファンタジーは初じゃないかと。 さかのぼりますと、わたしがサイトを持っていた頃、「蒼穹、その果て」という和風恋愛ファンタジー(文庫10冊ほ

          「聖女と悪魔の終身契約」謝辞

          拍手返信(1/9,1/18)

          1/9:すべてがしあわせに終わった訳ではないけれど~の方 蒼穹へお言葉ありがとうございます! まずあの長さへのおつきあいだけでもたいへんだったでしょうに~! 見届けていただけて感謝でいっぱいです…! 雪瀬、長きに渡ってえんえんと悩む主人公でしたが、桜やほかの登場人物たちも含めて、ラスト地点まで連れていけて、わたしもほっとしました。 久しぶりに蒼穹への感想をうかがえてとてもうれしかったです!ありがとうございました! 1/18:Twitterからこのお話のnoteを拝見し読ませ

          拍手返信(1/9,1/18)

          2022年まとめ

          年明けちゃったしどうしようかな~と思いつつ、あとになって、当時の自分が思い出せるので、記録代わりに綴ります。 2022年の創作はこんなかんじでした。 1月 「病的な恋のロンド」連載開始 2月 「神去り国秘抄」(富士見L文庫)発売    「白兎と金烏」後日譚連載・完結 6月 「病的な恋のロンド」完結 7月 「病的な恋のロンド」ネット小説大賞・コミックシナリオ賞受賞 11月 「お嬢さまと犬」連載開始(~12月第1部終了) 2021年が「花の声をきく」数話更新、以上!だったので

          2022年まとめ

          花と新風

           京都鴨川の桜は散りぎわだった。 「はー、桜ももう終わりやんなあ」  川面に重なる白い花びらを見渡して、硝子は大きく伸びをする。若草が萌える河原には、青いビニールシートがあちらこちらに敷かれ、子どもから大人まで花見を楽しんでいる。鴨川の両岸には桜が植わっており、上流に向かってうすべにの花霞が続いていた。 「ええ時期に来れたなあ。はい、硝子ちゃん」  水筒からお茶を注いでいた春が、紙コップを硝子に渡してくれる。受け取ったコップからは、紅茶のよい香りがした。「おおきに、春さん」と

          花と新風

          「病的な恋のロンド」あとがき

          「病的な恋のロンド」完結しました! 5か月ほど、文庫1冊程度の連載でした。もともとキャラ設定的に読んで楽しめるようなものでもなさそうだし、ひとりで書いて蔵にしまっておこうかなって思っていたんですけど、なんだかんだあり、こうして公開できました。爽と日魚子、ふたりの面倒くさい恋につきあってくださったみなさま、ありがとうございました! ロンドは去年、ちょうど白兎の改稿作業のあいまの息抜きに書いてました。はじめに決めたコンセプトは、商業では書くことを避けそうな性質や背景を持った男女

          「病的な恋のロンド」あとがき

          「神去り国秘抄」謝辞

          「神去り国秘抄」が発売になります。 今回はあとがきもあるんですが、こちらからも謝辞を! まずはweb版「白兎と金烏」を応援してくださったみなさま、ありがとうございました。 このおはなしは書籍化していただくまでの道のりも、ぜんぜんスムーズにはいかなくて、六年前、シリーズを始めるときに応募した第1回カクヨムコンに落ち、シリーズを終えるときに再び応募した第6回カクヨムコンも抜群の成績を取ってはいなかったので、これはもう選考突破は無理かな~~と思って、でもあきらめきれずにじゃあ富士

          「神去り国秘抄」謝辞

          「神去り国秘抄」について

          神去り国秘抄(白兎と金烏)が来月発売になります。 刊行に先立ち、おはなしや改稿箇所についてご案内します! 詳細:https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/322110000737.html 【あらすじ】 十年前に日輪が消えた国、照日原。その辺境の郷の姫・かさねは狐神の花嫁に選ばれる。だが花嫁とは、日照不足で不作続きの郷を救うための贄を意味していた。知らずに狐に喰われかけたかさねは、金目の青年・イチに助けられる。見返りとして彼が要求してきた

          「神去り国秘抄」について

          白梅の夢

           ――まいった。   うっうっと丸まって嗚咽を繰り返す塊に目を向け、草介は嘆息した。  四半刻ほどまえからずっとこの調子なのである。この調子――というのは、すこしまえに草介が長屋を借りた大家の末娘のことだ。これまでも何くれとなく部屋に上がり込まれて困っていたが、今日は腰高障子を閉めるなり、頬を真っ赤にしてわぁっと泣きだした。 「もう茶木のおうちにはかえりません! かえりませんものっ!」  煎餅布団が適当に畳まれたあたりにうずくまった紅は、肩を震わせてしゃくり上げている。どうや

          白梅の夢

          「白兎と金烏」書籍化+2021年まとめ

          年の瀬なので、2021年のまとめです。 9月 「花の声をきく」完結 以上 去年と比べるとほんと何も書いていないように見えるな…! 外に向けて公開できたのは掌編×5本というところでしょうか。 「花の声をきく」についてはあとがきでいろいろ語ったように記憶しているのですが、今年はおもに、1年ほど書いていた新作にピリオドを打ったり(そのうちどこかで公開したい…)、不毛な恋愛ものを書いて遊んでいたり、「白兎と金烏」の改稿という名の書下ろし作業をしていました。 そうなのです、Twit

          「白兎と金烏」書籍化+2021年まとめ