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2019年のSaaS予測 - Bessemer Venture Partners

ベッセマーベンチャーパートナーズによる"State of the Cloud 2019"が大変面白く、特に後半の2019の予測が自分の考えともフィットしたのでまとめました。(前半のSaaSマーケット・GRITについては別記事で)

感想

特に「2.Product has purse strings」「5.Low code / No code」の部分は示唆に富んでいます。

僕たちの会社(アルプ)では、サブスクリプションビジネスを中心とした複雑な決済や請求を柔軟に設計・管理できるSaaSを現在開発中ですが、まさにプロダクト開発・企画の効率性向上に寄与するSaaSの価値(プロダクトのためのSaaSニーズ)がどんどん高まっていくということ、そして、
エンジニアリングリソース/手作業のコーディングを必要としないサービス(Low Code / No Code)ニーズが高まっていることはすごく納得いくものでした。

特に、このLow Code / No Codeのトレンドは、エンジニアがより複雑な問題に集中できるようになるだけでなく、エンジニア以外のメンバーの作業効率化にも大きく資する点で価値が高く、間違いない世界の流れだなと思っています
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(以下、記事訳)

1. ROBOTS TO THE RESCUE

私たちは「ロボット」を世界の変革者と見ている。機械学習や人工知能は、特にヘルスケアや農業などの膨大な量のデータを扱う業界で開発されているあらゆるアプリ、プラットフォーム、サービスにとって不可欠なテクノロジーになる。

ロボットは、オートメーションのタスクよりも価値ベース(バリューベース?)思考に取組む人間の時間を節約、効率化するにとても有用。特に、ScaleFactorAda Supportなど、詐欺対策、カスタマーサポート、経理といったビジネス分野では。

2.PRODUCT HAS PURSE STRINGS

プロダクトはどのソフトウェア企業にとっても根幹の存在。しかし、過去には、ソフトウェアの購入にあたっては、プロダクトチームは、メインターゲットのお決裁者ではなかった。
彼らはヘッドカウント/人員のための予算は無限に持っていたが、ソフトウェアに対しては持っていなかった。これは近視眼的だったと思う。

プロダクトが組織の中心であり、会社のすべての分野(セールス、マーケティング、エンジニアリング、および顧客)に関わるならば、プロダクトの前提となる設計、計画、およびロードマップを管理、測定、および開発に役立つプラットフォームが必要。

3. OPENSOURCE MAKES MONEY

オープンソースコミュニティは常にシリコンバレーで愛されてきた 。彼らはいつも素晴らしいエンジニアで、イノベーションの最先端にいる。しかし、過去には、このエリアで商業化・M&Aの機会を見出すことは困難だった。

しかし、2018年には、ElasticとPivotalという2つのオープンソースコミュニティの歴史的なIPOがあった。また史上最大の3件のM&A、330億ドルのRed Hat、MuleSoft、およびGitHubもあった。そして、npm、Confluent、Hashicorpなどの非公開企業は、今もなおエンタープライズ向けのオープンソースを開発し、イノベーションを起こしている。

4. DEEPER VERTICALIZATION OF MOBILE

モバイルチャネルは、ホリゾンタルとバーティカルの両方向で発生すると考えていたが、特に、建設、HVACといった領域特化/バーティカル分野で急速に進化している。

たとえば、ServiceTitanは、フィールドサービスを扱う企業やその技術者向けに、ソフトウェアおよびモバイルソリューションを提供。

常に移動を必要とし、テクノロジーを必要とし、デスクを必要としない労働者が増えることは間違いない。そのため、様々なバーティカル分野で大きな変化が予想される。

5. LOW CODE / NO CODE

プロダクト、データサイエンス、SRE、QAなどのテクノロジー・エンジニアリング部門は、非常に重要なバイヤーと言える。今後、すべての企業がソフトウェア企業になるにつれ、これらのテクノロジー・エンジニアリング部門は予算や購買力が増えていくだろうし、業務遂行のためにどのソフトウェアを購入するかをどんどのん決定していくようになる。

たとえば、PagerDutyは、必要に応じてアラートが送信されることを保証する、信頼性の高いアラートシステムを提供し、IT部門とSREチームの作業をよりシンプルにする。
Periscope Dataは、データアナリストがSQLクエリをすばやく視覚化し、美しいダッシュボードを作成することを可能にする。

Low Code / No Codeのトレンドは、驚くべきDX(開発者の経験)を備えたテクノロジーを提供し、小さなタスクを解消してくれる。したがって、エンジニアはTwilioやAuth0のような企業の力を使って、より複雑な問題に集中できるようになる。この"No code solution"があることで、エンジニアリソースを必要とせず、知識労働者(knowledge worker / 非エンジニア?笑)の作業はより機能的、効率的に進む。ZapierやUiPathなどの簡単な自動化、およびSalesforceやWorkday上のビジネスアプリケーションなどがわかりやすい例だろう。


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BVP記事の前半、クラウドサービス/SaaSマーケットの現状 & GRITについてはこちらです。


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