ある日があの日になった日。

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まるでアトラクションの乗り物のようだった。

無くなると聞いて乗りに行く人たち。ちょっと後ろめたい複雑な気分で列に加わった。乗船開始と同時に駆け上がる人たち。あっというまに客室に長い列。320円の「連絡船うどん」を食べる人たち。出航しても列は長いまま。盆を受け取った人が「愛想もなんにもねえな」と言って横を通り過ぎた。増員3人体制で作り続けても追いつかない。

窓の外にはヘリコプターがホバリング。あれ規定高度以下じゃねえか?港はテレビも新聞も待ちかまえ、船が着くたび絵になる人をつかまえる。もっと他に報道するものがあるだろ「桜」とか。

ほんとうにアトラクションの乗り物のようだった。大半の人が乗ってそのまま折り返す。悪いことではない。720円×往復。売店だけでなく、車や乗客の誘導も増員。年配客、家族連れ、カメラマニア...それぞれの楽しみ方をしているのがいい。うどんの長い列に並んで風景を見ない人だって、その人なりの楽しみ方だろう。


高松〜宇野の航路は直島経由で残っている。これがあればいいと言う人も多いだろう。長距離トラックも瀬戸大橋を通るほうが早くて便利かもしれない。

宇野と高松を結ぶ宇高航路。最盛期には昼も夜も24時間、30分おきに2社が運航していた。1時間の船旅の間、長距離ドライバーはつかの間の休息。うどんを食べたり仮眠したり。ドライバー専用の小さなユニットバスもあった。それらが「効率」の名のもとに競争力を失って今日に至る。

豊かさや便利さと引きかえに、わたしたちは人として大切な何かを失い続けているのではなかろうか。わたしたちが追求してきた豊かさや便利さを、そろそろ見直す時期じゃないだろうか。コンビニは24時間営業じゃなくていいし、元日にスーパーが閉まっていてもいいじゃないか。


湖のように静かな瀬戸内海。重要な海上ルートが東西に走る。関西から九州や外国を結んで通航する大型タンカーや貨物船。多くの大型船が毎日通る航路を南北に縦断するフェリー。

春のようなあたたかい日。とても12月とは思えない。デッキにたくさんの人たち。瀬戸大橋が見えると一斉に集まる。気のせいか船が傾く。フェリーの特等席はデッキ最後部。青海原に白い波を立てて船が進む。白い航跡が弧を描いて残る。やがて港に着いた。

65分間のアトラクションで740円。決して高くない。ふだん忘れていた自然の風や風景を楽しむことができる。あのうどん待ちの人たちは、みんなうどんにありつけたかしら。


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2019.12.15

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