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北谷馨の質問知恵袋 「役員変更の登録免許税」に関する質問

今回は、「役員変更の登録免許税」に関する質問です。

Q:株式会社の役員変更の登録免許税(カ区分)は、「資本金の額が1億円以下なら1万円、1億円超なら3万円」と覚えていますが、資本金の額の変更(5000万円→2億円など)が生じている場合に、どちらの額になるのか迷います。

まず、質問文にあるように、役員変更の登録免許税の額は、「資本金の額が1億円以下なら1万円、1億円超なら3万円」です。1億円ちょうどなら1万円です。なお、大会社かどうかは関係ありませんので、負債の額が200億円を超えており大会社になっていても、資本金の額が1億円以下なら1万円です。

では、どの時点の資本金の額を基準にして判断するのでしょうか。
原則として、「役員変更の登記申請時点の登記記録上の資本金の額」で判断します。
例えば、

①2月1日に資本金の額が「5000万円→2億円」に増加した。
②2月2日に取締役Aが就任した。
③2月3日に取締役Aの就任登記(のみ)申請する。

という場合、2月3日時点で実体上の資本金の額は2億円になっていますが、登記上はまだ5000万円のままなので、「資本金の額が1億円以下」として、役員変更の登録免許税は1万円で済みます。
後日、資本金の額の増加の登記をしたからといって、「差額2万円払え!」ということにはなりません。

一方、資本金の額の変更の登記と役員変更の登記を一括申請する場合(試験ではこちらの方が多いでしょう)は、役員変更時点の(実体上の)資本金の額を基準に判断します。
先ほどの①②を前提に、資本金の額の変更の登記と役員変更の登記を一括申請する場合は、役員変更があった時点(2月2日)における実体上の資本金の額は2億円ですから、「資本金の額が1億円超」として、役員変更の登録免許税は3万円になります。

少し事例を変えて

①2月1日に取締役Aが就任した。
②2月2日に資本金の額が「5000万円→2億円」に増加した。

これを一括申請する場合は、役員変更があった時点(2月1日)における実体上の資本金の額は5000万円ですから、「資本金の額が1億円以下」として、役員変更の登録免許税は1万円になります。

応用事例として、次の場合はどうでしょうか。

①2月1日に取締役Aが就任した。
②2月2日に資本金の額が「5000万円→2億円」に増加した。
③2月3日に取締役Bが就任した。

これをすべて一括申請する場合は、役員変更のあった時点は2月1日と2月3日になりますが、資本金の額が2億円になった後に取締役の就任(③)がある以上、役員変更の登録免許税は3万円になります(別途①の分で1万円を払うということはありません)。

また、

①2月1日に取締役Aが就任した。
②2月2日に資本金の額が「2億円→5000万円」に減少した。
③2月3日に取締役Bが就任した。

これをすべて一括申請する場合は、役員変更のあった時点は2月1日と2月3日になりますが、資本金の額が2億円であった時に取締役の就任(①)がある以上、役員変更の登録免許税は3万円になります(別途③の分で1万円を払うということはありません)。
つまり、3万円になる役員変更が1つでもあれば、3万円になるということです。

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