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【あおもり紀行】第4話。津軽寧親公には感謝するばかり。中野もみじ山。

11月5日。
昨夜の雨が嘘のような、気持ちがいい晴れ。
そして、昨夜濡れたのはなんだったんだよ~という、心が曇り空な私。

中野もみじ山全景。2009年撮影

今日は12年振りに、黒石市にある中野もみじ山を狙う。川が丸く蛇行している姿はまるで巾着のよう。埼玉県飯能市にはやっぱり同じような蛇行している川があり、巾着田と呼ばれている。

グーグルで「中野もみじ山」を検索すると東京の中野駅周辺の地図が表示される。中野区立紅葉山公園があるからだけれども、何でもかんでも東京中心なのが腹立たしい。

9代目弘前藩主、津軽寧親(つがるやすちか)公が京都から楓の苗木を取り寄せて植えたのが1802年。津軽寧親公は弘前藩主になる前、分家の黒石領の5代目当主だった。弘前藩主になってから、弘前ではなく黒石に楓を植えたのは、黒石を愛していたからかもしれませんね。

それから200年以上、紅葉を楽しませてくれているのだから、津軽寧親公には、ただただ感謝するばかりである。

津軽寧親公が手植えした楓

中野もみじ山はメジャーな紅葉スポットのため、この時期は道が渋滞、駐車場は満車になってしまうほど混む。そのため、できるだけ早い空いている時間に行きたいけれども、秋は太陽の位置が低いため、あまり早い時間に行っても山の陰、日陰になってしまう。悩ましい。9時前に行ったがまだ日陰だった。

中野もみじ山に着くと屋台がお出迎えしてくれた。その中に見つけた「津軽おでん」の文字。津軽でしか食べられない「津軽おでん」。津軽以外で出会っても、それはただのおでんであって、この津軽の空気の中で食べるからこそ「津軽おでん」なのだ。

漂ってくる香りが津軽の味がする。もちろん1軒1軒、味付けは違うのだけれども、どこの屋台で食べても、津軽のおでんには他の地域やコンビニにはない、共通する味があるような気がするのだ。微妙の違いなのかもしれないけれど、それこそが「津軽の味」なんだと思う。

津軽おでんの特徴は、具は串に刺していること、つぶ貝、コンニャクは白、そして、大事なのがしょうが味噌のタレ。このタレが無ければおでんじゃないね!
ああ、津軽っていいなあ。
ゆっくり食べていたいけれども、混む前に撮らねばならぬ。もう口の中はヨダレであふれているけれど、ここはガマンだ。屋台をスルーして、帰りに食べる!

色鮮やかな紅葉が目に飛び込んできた。
見頃、ドンピシャ、来た甲斐があった!
県内の他の名所はもう見頃は過ぎていて、ここがダメならどうしようかとドキドキしていた。高いお金を出したのに、何も成果が無いのではと。
救われた感じがした。

気がついたらもう1時間以上経っている。
不動橋の手前の真っ赤な楓に心を奪われていた。

自分でも思うのだが、撮り過ぎる。
1つの場所で、適正露出、明るめ、暗め、横位置、縦位置など、たくさんのバリエーションを撮っておかないと気がすまない。

撮る時にこれだ!と決めきれないので、あれこれと撮ってしまう。その結果、SDカードや保存するハードディスクがすぐにいっぱいになってしまってお金がかかる。つらい。

中野神社入口の狛鶏

不動橋を渡った先はちょっとした山登りだ。階段を上り神社が見えてきた。
ニワトリ?

青森県の神社には狛犬ならぬ狛馬(とでも言うのだろうか)が多いけれども、狛鶏は初めて見た。
いや、正確に言うのなら12年前にも見ているはずだ。覚えていないだけ。まぁここでは初めてということにしておいてください。

ちなみに、狛犬の起源はエジプトのスフィンクスとのこと。古代エジプトやメソポタミアでは、神域を守るためにライオンの像が作られていて、それが大陸を伝わり、日本には朝鮮から伝来したため「高麗(こま)犬」と呼ばれるようになったそうだ。

今や、多様性の時代だから、鶏もいいね!
日本中どこでも狛犬だから、それでは社会に埋没してしまう。選択と集中。
個性を出さねばまいね!

この狛鶏は、津軽オリジナル文化の「一代様(いちだいさま)」だろう。

「一代様」とは、各干支ごとの守り本尊のことで、酉年生まれの人は、黒石市の中野神社と長谷澤(ながいざわ)神社、碇ヶ関の国上寺の不動明王が一代様となる。津軽の中でも、特に弘前市周辺の文化のようだ。

求聞寺の狛虎と狛牛

弘前市百沢の求聞寺には牛と虎がいるし、弘前市西茂森の天満宮にはウサギがいる。
検索したら、日本各地にはいろんな狛動物がいるようだ。

秋田県大館市の大館八幡神社:秋田犬
埼玉県富士見市の水宮神社:蛙
東京都の日枝神社:猿
東京都青梅市の武蔵御嶽神社、埼玉県秩父市三峯神社:狼
大阪府の枚岡神社:鹿

2009年10月に撮影した観楓台

中野神社を過ぎて、さらに登ると観楓台にたどり着く。「かんぷうだい」と読むらしい。検索したら他には出てこなかったので、この名は日本中でここだけのようだ。いいネーミングセンス。

観楓台の手前にトイレが設置されているのがありがたい。
黒石市いい仕事してます!

観楓台は広い山の頂上といった場所。山の頂上が平地というのは興味深い。人工的に平らにしたのだろうか。

赤や黄色の落ち葉が美しい。観楓台

観楓台にはその名の通り、たくさんの楓の木が植わっている。残念ながら見頃は過ぎていたが、落ち葉がまるでじゅうたんのようで、ふわっふわ。

子どものようにブワーっと巻き散らかしたい衝動に駆り立てられる。この落ち葉を集めて焼きいも焼いて食べたいなーなんて思ってしまった。

観楓台までの散策コース

後日、この記事を書くために中野もみじ山の地図を見たら、神社の東側にも散策コースがあることに気づいた。

今回は入口付近と中野神社、観楓台しか行かなかったが、他にも吊り橋やトンボの池、キビタキの広場、日だまりの森、木漏れ日の小径、楓と花の広場など、見るべきポイントがまだあったのか!

なんてこった。これではまた来年も行かねばならぬ。いい口実ができた(ムフ)。
これで妻を説得するとしよう。

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