見出し画像

文献「窒化アルミニウムの焼結」について

文献を読んで、覚えておきたいことをメモしておくためのnote。

窒化アルミニウムの焼結
Yogyo-Kyokai-Shi 77 [4] 1969

メモ

  • 窒化アルミニウム(AlN)は常圧で液相が無く2450℃で昇華分解する。

  • 1700℃、25時間焼結では、2µm以下の微粒子において収縮率が著しく上昇し、緻密化が進行。

  • 収縮率と密度は比較的短時間で急上昇し、以後は時間の経過につれて緩慢に上昇。

  • 高温での焼結ほど収縮率も大きく、収縮の進行も長時間にわたる。

  • AlNの理論密度ρ=3.25g/cc

  • 焼結前密度62.6%のものが、2000℃焼結では10分間で71.2%に急上昇し、以後は240分でも78.7%と緩慢。

  • 焼結温度が高いほど焼結は著しく、高い密度値を示している。

  • 焼結温度の高いほど高い抗折強度を示している。

  • AlNの焼結は粒成長を伴いながら進行しているが、粒成長は焼結温度が高く、焼結時間の長いほど大きくなっている。

  • AlNの圧縮性は粉末粒度に著しく依存しており、微粒領域では圧縮性は著しく低下。

  • 0.78µmは成形性が悪く、焼結前密度も試料中で最も低い値。しかし焼結性がきわめて良好であるので30分程度の短時間焼結で収縮率、密度とも急上昇し、他の試料よりも緻密になる。

  • 4.4µmの粗粒ALNでは焼結前密度は試料中で最も高いが、焼結性が悪いため収縮率および密度の上昇度合はきわめて低い。

  • 抗折強度も収縮率、密度変化と同様に微粒子ほど高い値を示している。

  • AlNの焼結における粒成長速度も原料粒度に依存し、その成長度合は0.78µmが最も顕著であり、粗粒になるにつれて緩慢になる。

  • 機械強度は気孔率が小さく、結晶粒径が小さいほど大きい値を示す。

  • 緻密化(気孔率の減少)に由来する機械強度の増大と、粒成長に起因する機械強度の減少の両者の兼ね合いにより焼結体の機械強度が表示される。

  • 高温、長時間焼結ほど緻密質焼結体を得るにもかかわらず、粒成長が著しいために緻密化の進行につれて機械強度を低減する効果も大きいものと思われる。

  • 密度は焼結時間の経過とともに増大しているが、240分と390分の焼結ではすでに飽和状態にあり概して同一である。一方、抗折強度は240分が最も高く、390分では逆に低下している。このことは焼結時間の経過につれて結晶粒が粗大化していることから理解できる。

  • 焼結の初期段階では緻密化により機械強度が増大するが、長時間の焼結によって粒成長が著しく進行し、結晶粒が粗大化する焼結の終期段階では機械的強度は低下することを考慮することが必要。

  • AlNは蒸気圧の高い物質であるので、局部的には蒸発、凝着なども生じて幾分焼結に関与しているものと思われるが、蒸発、凝着機構では収縮による緻密化を説明することはできない。

  • AlNの焼結では粒度依存性が著しく、比表面積の大きい微粒子ほど高い焼結性を示していることを考慮すると、粒界における拡散によって焼結は進行しているものと思われる。

結言より

  • AlNの焼結では収縮率、密度共比較的短時間で急上昇するが、以後は焼結時間の経過につれて密度変化は緩慢になる。

  • 2000℃までは焼結温度が高いほど焼結速度は大きいが、2100℃以上では一部AlNの昇華分解も生じて強固な焼結体は得られない。

  • AlNの焼結では原料粒径の影響が著しい。2µm以下でしかもより微粒子ほど高い焼結性が認められる。2µm以上の粗粒ではあまり焼結は進まず、強度的にも低い値にとどまっている。

  • AlNの焼結は粒成長を伴いながら進行する。この粒成長速度は原料粒径が小さいほど、また高温焼結ほど大きい。

  • 高温、長時間焼結ほど緻密な焼結体を得るが、同時に粒成長も著しくなり、結晶粒も粗大化するので機械強度を低減する効果も大きくなる。微粒のほうがこの影響を受けやすい。

所感(得られた知見を活用できるか、どう活用するか)

得られた知見を活用することができる。(個人の意見です)
ただし、本文献は1969年のAlN単味組成に関するものであり、現在主流とされる液相焼結AlNに関するものではない。

ここから先は

472字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?