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家電開発者になり11年間、独身ひとり暮らしを続けている男による家電の選び方ガイド　～空気清浄機　シャープ編～

D社のいとうさん

空気清浄機の開発にも携わったことのある俺が、コロナ禍の今買うなら、どの空気清浄機を選ぶかという記事。第2回のシャープ編。もし前回が未読ならば、是非読んで頂ければ幸いだ。
（第1回：ダイソン編）

免責

このnoteの内容を信じて、何らかの商品を買ったとしても、君に起こるあらゆる出来事は、全て君の責任だ。幸福も不幸も全て君のものだ。

このnoteは、広告など第三者への利益を目的とするものではなく、君からいいねを貰うためだけに書く。その点にのみ、俺は責任を持つ。

プラズマクラスターは効果があるのか？

早速だが、皆が興味のある話題から言ってしまうと、効果は無い。シャープ社から効果ありまっせというプレスリリースは何度も出されているが、そのいずれもが、実際の家庭での利用シーンを模擬したようなものではなく、研究室で何倍もの濃度を作り出して、たまたま効果があるように見える結果を発表しているに過ぎない。

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先日もコロナに効くよというプレスを出していたが、速攻でTwitter民に看破されていました。集合知素晴らしいね。

もう少し学術的な見解として、仙台医療センター・ウィルスセンターの西村医師が、2012年に報告されている論文を紹介する。

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・通常の生活空間では殺菌効果は期待できない
・「極めて狭い空間で寒天培地上のある種の細菌」には殺菌効果はある
・ただしそれは、同時生成されるオゾンの殺菌効果で説明可能

という結論がなされている。通常の生活空間について補足すれば、現在の住宅には、改正建築基準法で常時換気（0.5回/h）が定められている。人が頻繁に出入りするようなオフィスやロビーはさらに空気の出入りが多い。空気清浄機に搭載してる程度の極小デバイスでオゾンや何かを散布したところで、かなり限定された効果しかないだろう。逆に言えば、ほぼ無害なので、安心ではある。

健康空気ビジネス

ではなぜ、家電各社がプラズマクラスターやナノイーといった装置を付けているかと言えば、それが儲かるからだ。健康は人々の関心が高く、手軽に健康になれる（なれそう）という期待が持てる商品は売れるのだ。もっと言えば、日頃から健康に対して不安な人々がいるのだ。先に紹介したTwitter民や、医師とは反対に、不安から企業の説明をそのまま鵜呑みにする人々が一定数いるのだ。

「それでも、全く効果がないということは無いんでしょ？」

そんな類のことを考えてしまう弱い人々に、僕ら家電屋は寄り添い、満足させる商品を作る。健康ではなく、気持ちを満たすための商品作りを行う。本当に効果のある健康器具より安く作れるからだ。メンヘラ女とDVセフレ男のような、心と利益を満たしあう共依存関係だ。それを大企業が大規模にやっているだけの話だ。エモいね。

プラズマクラスターNEXT搭載　KI-NP100

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シャープは過去に、消費者庁よりプラズマクラスター搭載商品が景品表示法違反（優良誤認）だと指摘されたことがあるが、カタログ表記の問題でありプラズマクラスター自体に問題は無いとし、プラズマクラスター搭載商品を販売を続けている。

その最新バージョンが、プラズマクラスターNEXT搭載のKI-NP100だ。プラズマクラスター全押し、カタログはウィルスに効きそうな書きっぷりで、シャープが想定しているターゲット層が透けて見えてくる。しかし、カタログやHPのどこを見ても法的に優良誤認に当たらないよう、丁寧に文言が選び抜かれている。スペック表にはウィルス除去性能について記載すら無い。もはや芸術的ですらある。神は細部に宿るのだ。

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ちなみに、競合のパナソニックは花粉対策、

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ダイキンは、除湿・加湿、と空気清浄機の国内上位3社でそれぞれ微妙に住み分けをしている。

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ウィルスに効きそうな雰囲気を前面に押し出した空気清浄機は、シャープだけだ。長年のロビーイングや、行政との折衝で培ったノウハウを持ってすれば、このコロナ禍を商機として乗り切る自信があるのだろう。

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シャープの広報氏によるヘイトコントロールなんかも、見事だなと思う。SNSが普及した現代において、こうした広報活動は必要なのだろう。

ただ、俺がプラズマクラスターの開発者だったら、血反吐はきながら開発を続けて来た商品に、こんな水を差すようなことを、この気軽さで言ってのける広報にむしろヘイトを高めてしまうが。

まとめ

シャープの空気清浄機を総評すると、

・プラズマクラスターは心に寄り添う機能
・ウィルス除去・抑制機能は訴求すらしてない

となる。君が、日々不安でしかたなく、空気清浄機に寄り添って欲しいな、と思うようなら検討してみても良いだろう。シャープから小まめに君を満足させてくれるプレスリリースが発信される筈だ。

第1回：ダイソン編
第3回：パナソニック編

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