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アラフォー女子の厄災

 新しい本を出す準備をしている。昨年の夏ごろから準備を始めていて、第1稿目のゲラもあがっている。

 「極北」は、1年半前の本である。
 それに続く新しい本を作ろうという気持はあったのだが、どの小説を選ぼうか、迷っていた。
 高校の名門野球部を舞台にしたミステリを書いていた。野球部の関係者しか出てこない。のに、対抗試合の場面が一回も出てこないのだ。野球小説で(おそらく)いちばん盛り上がるであろうシーンが、一切ない。
 なぜか? 興味がなかったからである。
 ちなみに、こんな書き出しの小説である。

 スマホの充電が完了すると、空腹感が満たされる。空葉は、そんな奇妙な感覚を持っていた。
 電池の残量と自分が浅く深くつながっている。
 ある日、スマホの電池がぷつんと切れたことがあった。自分の息の根が止まったような気がした。あ。(自分が)死んだ。と思った。

 空葉というのが、野球部の部長である。

 これは、原稿用紙にして、250枚強の小説になった。全力で書いた。
 でも、それよりも、さらっと読めて、しみじみできるような本を作りたいな、と思った。
 まるで、絵本のような。

 そこで、思い浮かんだのが、noteに発表した「アラフォー女子の失恋」、「アラフォー女子の牛丼」(削除済)の2作品である。短いし、さらりと読める。しかもハッピーエンドである。ただこのまま収録しても、おもしろくない。主人公が別々なのは、いい。いや、それでいい。ただ、作品を串刺しにするようなテーマがほしい。そこで、もう1作書くことになった。冒頭に持ってきて、ほかの2作品を牽引するような小説である。この作品が、ほかの2作品のさりげない伏線になり、通奏低温になっている。そんな小説がほしい。
 私なりに考え、そんな小説を書いて、冒頭に置いた。
 「アラフォー」以外には、やはりnoteに発表した「ささやかな償い」(削除済)、「別れの季節は三月だけとは限らない」を収録。それぞれ、全面改稿した。
 今回は、ページ数は多くない。60ページ強。
 でも、紙を厚くして、絵本のような体裁の本にしたい、と思っている。

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