ミクの日2020

個人的に3月9日はミクの日だと思っている。というか、私は初音ミクに思い入れがあって、初音ミクにとって3月9日のミクの日と、8月31日のミクの誕生日は勝手に少しだけ特別に思っているだけである。初音ミクは言わずと知れたボーカロイドの1つであり、バーチャルシンガーのアイコン的なキャラクターである。

私が初音ミクに出会ったのは2008年の夏頃ぐらいだと思う。初音ミクが発売されたのが2007年8月31日であることを考えると、それから1年経ったあたりぐらいだと思う。今が2020年の3月9日であることを考えるともう10年以上前の話だ。10年経った今でも初音ミクが自分の心の中に残り続けていることはある意味ではすごいことなのかもしれない(とは言っても一時期はあまりボーカロイドの曲を聴かなかったが)。ここ1年ぐらいで再びボーカロイドの曲を積極的に聴くようになって、ボーカロイド初期の頃と比較すると大きく変化したように思う。

まず1つ目の大きな変化は、ボーカロイドのソフトとしての変化だ。初期の頃からボーカロイドの曲を聴いていると、ボーカロイドの独特の機械感が受け入れられないという人が周りにはいたし、実際、ボーカロイドの歌は人間の歌とは大きく異なっていた(それがボカロっぽさとしていい部分でもあるのだが)。ただ、ボーカロイドのソフトは時とともに進化してかなり自然に聴けるようになってきたと思う。もちろん、完全に人間と区別がつかないというわけではないが、それでも初期の頃と比較するとその差は歴然だと思う。例えばボカロ曲で神調声の曲を挙げるとすれば何か?という問いかけられたとする。初期の頃からボカロ曲を聴き続けていた私にとっては、その答えは2012年に発表された freely tomorrow という曲で、当時の機械っぽさが抜けなかった初音ミクでもここまで自然にできるんだということを証明した名曲だと思う。しかし、最近のボカロ曲を知った上で freely tomorrow を聴くと、freely tomorrow の方が機械っぽく感じる可能性すらあると思う。それぐらい時代は進化している。そして、ボーカロイドの種類が増えたこともボーカロイドの進化と言えると思う。初音ミクに続いて、鏡音リン、レンや巡音ルカなどのボーカロイドが増えていったが、最近のボーカロイドはかなりバリエーション豊かでいろいろな選択肢があるようだ。

2つ目の変化は、ボーカロイドが歌う曲の変化だ。良くも悪くもボーカロイドが歌う曲のテーマが変化した。初音ミクが2007年に発売されてから、2014年あたりをピークに一気にボカロから離れていく人が増えた(そして自分もその1人だ)。なぜそうなったかは諸説ある。そして、その理由の1つにこの「ボーカロイドが歌う曲の変化」があると思う。具体的に言うと、ボカロ曲がボカロ曲である必要がないのだ。ボカロ曲を作る人をボカロPと呼ぶが、ボカロPが1人の作曲家として曲を作り、ボーカロイドというソフトを使って自分の曲を表現することが普通になってしまった。それが今のボカロ曲の現状であり、ボカロが衰退した原因の1つであると思う。この理由を「作曲家が作曲してボカロで表現するのは普通では?」と思うかもしれない。しかし、ボーカロイドが出た当時はボカロPはボカロのための曲を作っていたように思う。 ボーカロイドをある種のアイドルとして扱い、そのアイドルのために、そのアイドルに合う曲を作曲する。そして初音ミクはより初音ミクらしく自分のキャラクターを確立してアイドルとしてのアイデンティティを獲得していく。ボーカロイドが発売された初期の頃は、この相乗作用があったからこそ人気が出たのだと思うし、実際に有名になったのだと思う。そういう意味では、良くも悪くもボカロ曲は大きく変わった。どっちの曲が良いとか悪いとかではなく、曲の方向性が変わった。

他にもいろいろと変わったことはあると思う。ボカロ曲のメインステージだったニコニコ動画の変化とか、メディアミックス化による賛否とか、ボカロPが増えていってそれぞれの好みによって細分化されていったとか、動画として求められるクオリティがどんどん高くなっていったとか………。ただ、それでもまだまだ初音ミクがボカロとして続いていることは素直に手放しで喜べることだと思う。これからも1人のファンとして初音ミクを支えていけたら嬉しいなと。

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