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大切なのは苦境の中で新しい芽を探すこと

今日は久しぶりに店舗の売場変更作業があり片道2時間をかけて兵庫県まで出向いた。
私は量販店のバイヤーをしていて時々、このように店舗からの依頼を受けて自分が担当する売場の立て直し修正に向かうのだ。

今季こそコロナの影響でこういう機会は少ないのだが、それ以前は重なると毎週のように店舗での作業が入り肉体的にかなり疲弊することもあった。
しかし、常にデスクでパソコンに四六時中向かうよりも私は意外とこういう肉体系労働が嫌いではないのだ。

自分の理想的な売場ができた時に、ドヤアと売場を前にして自画自賛をしながら写真を撮影する瞬間が作業の疲れを癒してくれるのだ。


そんな風に今日は軽めの作業だったので15時過ぎには完成させて、時間が出来たのでMR(市場調査)に出かけた。

MRでは同業者の、客入りや客層調査、品揃え調査、価格調査などをするのだ。これは自身の品揃えを反省し修正するために必要なことなのだが、私は今日は兵庫のとあるイオンモールをMRしていたのだが、やはり以前よりもかなり客数がかなり減り活気がなくなっていることが感じ取れた。

3月〜8月の小売業の決算では

イオン 減収減益
ファミマ 減収減益

ニトリ 増収増益
ウエルシアHD 増収増益
クスリのアオキHD 増収増益
オークワ 増収増益
USMH 増収増益

代表的な企業を挙げてみたのだが業績が厳しかった社と良かった社の差がかなり激しいのだ。
イオンや九州・中国地盤のイズミのようにモールが軸となっている企業はコロナでの緊急事態宣言中に営業を止めていたり、客数減によりテナントが継続不可能になったことが要因だろう。

都市集中からモータリゼーションとともに郊外に大型店を建てて広域から集客するビジネスモデルもコロナが衰退に拍車をかけたのだろう。

ファミマやドンキはコロナによる都心店舗のインバウンドの減少による苦戦が響いたようだ。

片やコロナ化で好調な企業の代表がニトリやユニクロのようにステイホームによる「おうち需要」にいち早く対応した企業や、西松屋のようにビジネスモデル自体が密を避けるようになっている企業、しまむらのようにコロナによる先行き不透明による低価格品を求める層に対応した企業、そして「内食需要」に対応したスーパーマーケット、ドラッグストアも全般的に好調だ。


こうやって各業態の好不調がこれほどまで歴然と出ていることにウィズ・コロナでの人々のライフスタイルの変化が顕著に表れている。

リアル店舗では…
モールのような大型店から都市型の小型店へ。
来客の動機は衝動買いから目的買いに。
時間消費型からスピード購買型へ。
嗜好品から生活必需品へ。
そんな流れが加速している。

そしてそもそも多くの人がネットショッピングの利便性を大いに感じたはずである。
リアル店舗からネット店舗への流出もますます進むだろう。

そんな中で量販店の衣料品というものはますますシュリンクしていくのは不可避なのだと思う。


しかし量販店の肌着部門のバイヤーとして嬉しい話題があった。
先日同業のイトーヨーカドーさんが100周年を記念したロゴマークのパンツが完売したことがTwitter上でも話題になっていた。

バイヤーはおそらく何年も前から構想を練り、取引先と協業し何度も何度もデザイン案を修正しながらリスクを張ってこのパンツを製作したのだろう。
それが完売でネット上で話題になったとなったらバイヤー冥利に尽きる話だ。

ウィズコロナの時代、苦しい中でも必ずチャンスの芽はある。
それを真剣に考えながら自分の仕事を全うしていきたいと思う今日この頃である。

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