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ep8 だからトイレマップを作りたい

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自分の半生を振り返る理由

ep(エピソード)1から7まで、私の半生を振り返ってきた。

「保育園のかけっこ」から「小学校の学級新聞」

中学の「いじめ」

「高校受験の失敗」それで分かった「通信制で学べる自分」

「パソコンが武器」になることが分かりそこから「みお七ヶ浜」で働き、

「東日本大震災」で自分を見つめ直し、そこから「愛さんさん宅食」で働き

さらにスキルアップしようと思い「プログラミング教育」をし、「イトナブ石巻」に就職する。(詳しくは、各々のエピソードを是非ご覧ください)

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この1つの小さな人生のあゆみで私は伝えたいことがあった。

それは、「障害」があると言うだけで、なぜこんなにもチャンスが狭められ、人生の選択肢が限られていると言う現実である。

確かに私は「ラッキー」な人生だ。

つまりみお七ヶ浜に入り、それからいろんな人に巡り会わせていただき、今はwebエンジニアをしている。

「ラッキー」が巡り合わさり、今こうして仕事をさせていただいている。

しかし、すべての「障害のある方」がこうした言わば「ラッキー」を見つけることが出来るだろうか。

考えれば考えるほど、私は悲しい現実を思い浮かべることしかできない。

私はこの2020年の夏にそうした現実を「分けられた世界」と名付けることにした。

私たちはこの2020年の夏に「分ける」事を意識したのではないだろうか。

そして「分けられた」方々は、今までには感じたことがない「差別」を受けることになった。

しかしさらに発展させて考えて欲しい。

今年以前に既に「分けられた世界」で生活してきた人がいたという事実を。

もちろん「障害者」だけがそれにあたるのではない。

「勝手」に作り上げられた「普通」とどこか違うだけで、私と同じようにチャンスが狭められてきた人がいる。

つまり、私の半生を振り返り訴えたかったことは「分ける」という残酷さはずっと昔からあったと言う事実である。

「分けられた」からこそ分かることがある

しかし「分けられた世界」にいたからこそ、誰かの痛みや苦しさが理解できることがある。

そして、webエンジニアという技術を身につけたからこそ、その技術を今度は活かして、私も感じてきた「分けられた世界」の境界線を少しでも薄く、消していきたいと強く思った。

私には、何が出来るだろうか。

そう考えていたときに一冊の冊子と出会った。「石巻バリアフリートイレマップ」だ。

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この冊子は宮城県石巻市にある多目的トイレの情報を地図の上にまとめた冊子です。

石巻市の社会福祉協議会が、中心となって、2018年の3月に発行した冊子だ。

まずなぜ、この冊子があるのか、説明すると「車椅子の街のトイレ」という深刻な問題がある。

車椅子ユーザーの方は、街のトイレが自由に使えなかった時代があったことは、ご存知だろうか。

彼らは、車椅子に乗っているだけで、街のトイレが使えないという現実がある。

それは、一般のお手洗いが、障害故に使うことが出来ないという現実もありますし、加えて車椅子に乗ってる方が、街のトイレの入り口さえも通れないという現実もあった。

こうした事柄を突きつけた結果、大半の車椅子ユーザーは、街に出ることをためらうようになった。

つまり「障害者の社会参画」を遅らせることになった。

社会が産んだ「大罪」である。

しかし社会もいい方向に進もうとしている。

今は、駅や公共の建物、小さなコンビニまでにも「多目的トイレ」が設けられるようになった。

「分けられた世界」の境界線を少しでも薄くしようという流れが産んできたのだ。

しかし一方で、車椅子ユーザーの個別の事情に関しては、まだまだ対応できていないところがある。

例えば、車椅子は基本的にオーダーメイドである。

つまり車椅子は大きさがバラバラである。

一方多目的トイレの大きさも決まっていない。

この事実はこうしたことを産む。

「車椅子ユーザーが、使おうと思っても使えない多目的トイレ」が生じてくる。

こうした問題を防ぐためには、個別の多目的トイレの情報を詳しく提供していく必要があると私は考えた。

「石巻バリアフリートイレマップ」という冊子ベースの提供方法も悪くはないのだが、Web化することによってよりたくさんの情報を渡すことが出来る。

車椅子ユーザーは、自分の車椅子の横幅を把握している。

つまり自分で行きたい場所の多目的トイレの情報を事前に確認することによって、車椅子ユーザーの方が自信を持って街に出ることが出来る。

その自信は、障害者の社会参画に繋がる。

そうした人が増えることで、「分けられた世界」の境界線は徐々にだけど薄くなるのではないだろうか。

多目的トイレは障害者のものではない

私は、このプロジェクトを障害がある方のために起こしているのではない。

確かに私自身も「分けられた世界」にいた。

「分ける」事で生み出されてしまった「苦しさ」を理解できるところもある。

この社会は「つまらない」ことで、たくさん「分けて」来たのではないだろうか。

今一度、私たちの社会を見渡して欲しい。

この社会には、大腸ガンという大病をしただけで、通常のトイレが使用できない人がいる。

子供が小さいだけで、街先に出掛けることをためらう人もいる。

そして「普通」のトイレに入れない人もいる。

私たちは、これら方々の「不便さ」を考えたことがあるだろうか?

きっと、当事者になったときに、初めて分かるということがあるかもしれない。

それまで、気づかないこともあるかもしれない。

私は、たまたまそれに気づくことが出来た。

その確信を増すために、自分の半生を書かせて頂いた。

だから、次の結論にいたるのである。

「多目的トイレ」は、「勝手」に作り上げられた「分けられた世界」の境界線を薄くする重要なツールだ。

これから、「分けられた」人が自信を持って歩んでいけるためには、このツールを活用できるように整えていくことが大切であると私は思っている。

そうしていくためには、webという情報伝達手段によって伝えて行く必要がいるのだ。

だから私は、まずこの石巻からトイレマップを作っていきたい。

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あとがき

このnoteの連載を始めたのは、私と一緒にトイレマップを作成してくれるボランティアスタッフを募集しているからです。

下記の面で助けて頂ける方を募集しています。

・サイトのデザインをしてくれる方
・データーベースの設計をサポートしてくれる方
・石巻市内の多目的トイレの写真を撮影してくれる方

もちろん、これらを自分すべてで出来るのであれば、何の問題も無いのかもしれません。

しかし、様々な面において「限界」がどうしてもあります。

加えて、私はこのプロジェクトは、1人でするものではなく、そして「石巻」という1つの地域でするものでもないと思っています。

専門の技術を持った人に加え、自分と同じように障害をお持ちの方たちにも、このプロジェクトに参加していただいて、日本の各地に「トイレwebマップ」を広めていければと思っています。

それが各地の障害がある方への社会参画に繋がることを強く願っています。

このプロジェクトにご関心がある方は下記にご連絡ください。

連絡先:
一般社団法人イトナブ石巻 Social部門
担当:Pen(菅原洋介)
yows1031@gmail.com

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