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ベンチャーか大企業か 〜 ビジネスをスケールさせるという視点から考える

就職する際にベンチャーに勤めるか、大企業に務めるかというのは一つのテーマだと思います。私は数十人のスタートアップから数千人の大企業まで務めたことがあります。その中で少しずつ違いが見えてきたのでベンチャーと大企業について、気が向いたら書いていこうかなと思います。今回はビジネスをスケールさせる戦略の違いについて。

なお、企業ごと・業種ごとに違いがあるので一概にベンチャー・大企業と分別できるものでは無い点はご留意ください。また、主にIT業界を前提として書いています。

ビジネスのスケールアウトとスケールアップ

就職を希望する学生・転職希望者の中には、その企業の中で大きなビジネスをしたいと考える人も多いと思います。では大きなビジネスとは何でしょうか。作ったサービスがたくさんの人に使われることでしょうか。大きな取引先を相手にすることでしょうか。いずれにしろ金額が一つの指標になってくると思いますが、ここでは前者のような戦略を「スケールアウト」、後者のような戦略を「スケールアップ」と表現します。スケールアウト・スケールアップはシステム運用でよく使われる言葉で、例えばサーバーの負荷が高いときの対策としてサーバーの数を増やすのがスケールアウト、サーバーのメモリやCPU性能を向上させるのがスケールアップです。

それぞれの規模ごとの戦略

会社の規模によってスケールアウト・スケールアップの戦略の取りやすさが変わってきます。数人の会社ではスケールアウトの戦略のほうが取りやすいと言えます。例えばソーシャルゲームが流行しはじめたときに小さなゲーム会社がたくさんあり、覇権争いをしていました。また、最近ではYouTuberが個人や数人の規模で多くのユーザーを獲得して収益を得ています。一方で大きな会社というのは会社の名前を使って大口の取引先を獲得して収益を得ることができます。大企業となれば部長権限で1000万円程度の予算をすぐに出せる場合もあります。

もちろん例外もあります。例えば私の前職は数十人規模のAI開発会社でしたが、大手のアパレル企業や電力会社との取引がありました。ただ、大企業の立場から見ると小さな会社というのは常に比較・評価の対象であり、他に有利な取引先があればそちらに発注をすることになるというのは事実としてあります。小さな会社から見ると大口の取引先は貴重なので強気には出にくいです。

どちらに就職するのがいいのか

個人が就職することを考えたときにスケールアウトするビジネス、スケールアップするビジネス、どちらの方が正解ということはなく、それぞれの楽しさがあります。私はどちらも経験しました。ゲーム会社では1日のアクティブユーザーが数万人のゲームを開発・運用していて、電車の中で自分が作ったゲームをプレイしている人を見るととても嬉しかったです。また、大企業に務めていて、日本でも有数の企業を相手に提言書を作るという仕事の中で自分のバリューを発揮できるというのは、影響力のある仕事をしていると感じられて楽しいです。

システム開発に限って言えば、技術的な仕事がしたいのであればどちらかといえばスケールアウトするビジネスのほうが楽しいかもしれません。負荷分散や不正ユーザーの対応など、大規模なシステムならではの面白みがあります。逆にスケールアップするビジネスでの楽しさはやはり自分の責任下でのビジネスオペレーションにあると思います。

大事なのは自分の判断基準を持つこと

最近はプログラミングスクールや技術系のYouTuberの影響で「ITエンジニア」と呼ばれる職種に興味を持つ人も多いようですね、彼らの中では「自社開発」「ベンチャー」「Web系」などが正義とされているようですが、私はBtoC・BtoB、大企業・ベンチャーと務めてきた経験があるのでそれぞれの楽しさがあることを知っています。いずれにしろどこに楽しさを感じるかは人それぞれなので、影響力のある人のポジショントークには騙されず、多くの情報を集めて判断するのが良いと思います。

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