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かっこいい人は「大企業からベンチャーに転職した」って言う (?)

かっこいい人は「大企業からベンチャーに転職した」って言う。多くの場合は「(一生安泰の)大企業から(あえて)ベンチャー企業に転職した」っていうニュアンスが含まれていると思う。Wantedlyもnoteも大体この論調。

優秀な人はやはり新卒で大企業に行くことが多いだろうし、当事者もきっとそう認識している。僕はそういう人生を送ってきていないので、皮肉ではなく普通にかっこいいと思う。

「今の会社は嫌いじゃないけど、『このまま一生同じ仕事をするのか』と考えてエリート街道と安定を捨ててあえてベンチャー企業に転職した。」と始まり、「ギャップを感じながらも自由な社風の中でやりたい仕事ができている。」と収束する。とてもきれいなストーリー。

僕は誰かの転職ストーリーを読むのが好きなのだけど、最近は少し飽きてしまった。「"あえて"大企業を捨ててベンチャーに転職した。」という記事は多くて、当事者として一つの挑戦であることには変わらないのだけど、記事としては王道すぎて当たり前のことだと感じてきてしまったのだと思う。

そう感じるのは、もしかしたら僕がベンチャーから大企業に転職したという逆パターンの経歴だからかもしれない。ゲーム会社やAI系のスタートアップに勤めていたとき、そこには普通に転職してくる人・転職して行く人がたくさんいて、転職は環境を変えるための比較的身近な手段だと思っていた。

大企業に入社したときのギャップの一つは、大企業ではその会社でキャリアを築いてゆくことがおそらく主流であるということだった。たしかにそれを想像させる魅力的な環境が大企業にはあった。

その上で、大企業とベンチャーのどちらでキャリアを築くのが良いかという議論は、優劣の問題ではないと思う。大企業からベンチャーに行った人のストーリーがかっこよすぎてそれが正解のように見えてしまうが、両方経験した身としては、どちらも素晴らしく、結局は企業によるという感想を持つ。

ベンチャーは自由で大企業は不自由ということは無く、自分のスキルの範囲や担当する立場によって与えられる裁量は変わってくる。与えられた仕事しかできないベンチャーもあればどんどん仕事を作ることができる大企業もある。これはやはり企業による。その転職がキャリアアップの転職なのであれば、どちらからどちらに行ってもきっと与えられる裁量が増える。

一番大事なことは、今どこで仕事していようとも、一生懸命働いて、貢献して、スキルを磨くことだと思う。そしていろいろ試行錯誤して、次のステップに進むために必要なのであれば転職は一つの手段だし、残るのもありだ。

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