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菅首相のわずか1年の退陣で考える、「自民党」という組織とは何なのか? ~3~ 自民党総裁とは? 自民党総裁選とは? 内閣総理大臣とは?

  自民党総裁は、「自由民主党党則第6条」および「総裁公選規定」により、「党所属の国会議員(衆議院議員、参議院議員)、党員、自由国民会議会員、国民政治協会会員による公選」が原則であり、実施される年の12月31日までに満年齢20歳となる日本国民で、前年や前々年の党員や会費を2年連続して納入していなければ、投票ができない。

  また党則には、第6条2項ただしがきにより、総裁が任期中に欠けた場合で、とくに緊急を要する場合は、「党大会に代わる両院議員総会」において、その後任を選出することができると定め、第6条4項で、総裁の任期満了前に、「党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求」があったときには、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙を行うことができるとする。

  国民政治協会を通して年間1万円以上の政治献金を直近2年連続している法人については、代表者1名に職域全体を代表する意味での投票資格が与えられるが、代表者以外の役員や会員・構成員については、居住地の地域支部を通じて自民党の党員となるか、自由国民会議、国民政治協会の個人会員となれなければ投票できない。

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自民党総裁とは

   

  自民党総裁は、自由民主党の国会議員および党員・党友などにより、総裁選挙により選出される。

    「総裁」の役職名は、自民党の前身であり、大日本帝国憲法下の帝国議会時代の二大政党であった立憲政友会と立憲民政党の党首職名から引き継いだ。

    自民党は、1955(昭和30)年の結党以来、ほぼ衆議院で過半数または第一党を維持してきた。

  そのため、初代の総裁である鳩山一郎氏から現職の岸田文雄氏にいたるまで、歴代総裁26人のうち24人が党首として国会での内閣総理大臣指名選挙において首相として指名されている。

       したがって、総裁選挙は内閣総理大臣を決める事実上の首相指名選挙として位置付けられている。

    自民党総裁は、総裁選挙により選出され、自由民主党則第6条1項が引用する総裁公選規定第1条により、「党所属国会議員、党員、自由国民会議(党友組織)、および国民政治協会会員(党への政治献金をまとめる一般社団法人組織)による公選」により規定されている。

    また党則第6条2項により、総裁が任期中に欠けた場合で緊急の事態により正規の総裁選挙が実施できない場合には、「党大会に代わる両院議員総会」にて、所属する全ての現職の国会議員(衆院・参院)および47都道府県連合の代表者による投票によって新しい総裁を選出する場合もある。

    あるいは、党の有識者や幹部などの話し合いにより新総裁候補を一本化し、両院議員総会の承認を受けて新総裁を決定することもある。

    総裁に立候補できる者は、総裁公選規定第9条により、党所属の国会議員(衆議院議員・参議院議員)に限定される。

    さらに候補者となるのは、党所属国会議員20名の推薦が必要である。

    この総裁の任期は、今までたびたび変更されてきた。現在の任期は3年である。また任期満了後に再び総裁選挙に当選した場合には、1974年以降には連続で合計2期(6年)までとする規定が追加された。

   その後、2017年以降に「連続3期(9年)まで」と変更になった。

  党則では、「総裁は、党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する」と明記されてあるとともに、「幹事長は、総裁を補佐し、党務を執行する」と記されてある。

    このような総裁と幹事長との役割についての規定は、自民党の結党以来、変わっていない。つまり総裁は党の最高責任者であり、幹事長は総裁の補佐を担う。

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