12月はこのように始まった

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銀座の画材屋さんにきた。いままでの人生ではあまり画材に関して用はない暮らしをしてきた。絵を描くことが嫌いではないけど、なんとなく、違う、明確に不安があったなと思う。評価されることに直結するからだ。

そういう意味では、絵を描くことを素直に好きと言える人を羨ましく思う。絵しか表現手段がない人もいて、苦しみながらもそれしかないんだーって、そういう人もいるから、一概に幸せばかりじゃないのかもしれないけど。


なにせ自分を表現する方法として、僕はまだ画材を上手に扱えたことがない気がする。いま一緒に庭も蔵もはなれも一緒に、過ごしやすい場所にしようと作戦を練ったり、片付けたりしてくれている、住人のさいかちゃんから提案があったので、とにかくまずは見に来ることにした。


「行くたびに、いつも背中がしゃんとするよ」
「ラブがあるんだよね、ほんとに」


最近ふたりで話しているテーマは「made with love」であり、今後もずっとそれについて話していくことになりそう。ちょっとしたコーヒーの入れ方をちゃんと朝からこだわる彼女のコーヒーは美味しい。

はなやぎの掃除をさいきん色々な人が手伝いにきてくれるようになったけど、ちょっとしたおもてなしを丁寧に、ただものすごく気を使わせることなくやってくれている。このことをとてもありがたいなと思っている。

で、そんな彼女はいつも「made with love」なんだということを伝えてくれていて、そのおもてなしに助けられていて、今後もそういう居場所にしていけるといいなと思っているけれど、僕にまだそのセンスがないと感じる。


なんか参考になる場所がないかなというところで提案があった。

「月光荘にいってみて」


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おしゃれな画材屋さん。いい感じである。たしかにいい感じなのである。

ものを置いてある量は、うん、割とたくさんありそうだけど、もっともっと沢山の品揃えを誇っている画材屋さんはある。それでもなんだろうか、少し工夫があるような気がするけれどなんだろうなと思っていろいろ見てみる。


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細かいところに目を配ると、ああちょっとした飾り。

おそらく絵の具を使って書いた小さなイラストがついた飾りや、スケッチブックを模した飾り、プレゼント箱など、細かくてかわいいものがいろいろとなんとなく普通に置いてある。

ここには合理性というものだけで構成するなんてものはない、遊び心、楽しむ心、喜ばせる心、「これ、いいでしょ?」って問いかけられるような雰囲気がある。たしかに。


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ちゃんとGEKKOSOって書いてある。そして事実としてこのスケッチブックはちゃんとしたサイズで売っていて、しかも決して高いわけではない。

そりゃそうだ、美術学生なんて金のない人たちがめちゃくちゃ多い中で、そんなにバカみたいな高いものは売っても買えないわけだから。うん。


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さりげないイラスト。たっぷりの余白がとてもいいなあと思う。


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パレットみたいなイラスト。鳥なの?筆なの?だれだ?おもしろい。


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これが創業者の「月光荘おじさん」であり、長生きしてたくさんの芸術家さんに素敵な画材を提供したひと。ものすごく一生懸命に仕事をしてきた職人気質の人だったらしいけど、この月光荘おじさんの交流録みたいな素敵な本が売っていたので、迷わずすぐ買ったら店員さんが驚いていた。


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なにがいいって、なにかしらに「ことば」が大事にされていることが伝わることだ。ものすごくことばを大事にしてきたんだなと感じる。

それが散りばめられている。このお店にはデザインもあるし、ことばもあるし、楽しさもあって、奉仕の心もあって、美しくしておきたいという誇りもある。楽なことでは決してないし、妥協したらすぐに緩んでしまうくらいの気持ちを、しゃんと保ち続けている。保つための努力がある。


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このカードたち素敵すぎた。7枚くらい買った。めっちゃ参考になる。
ちょっとしたことばをはさむだけで、人はやさしくなれると思う。


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絵の具ひとつひとつにことばがある。
そしてほんもののうつくしさと言い切る強さと誇りがある。


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ホルンのマークも意味がある。ホルンは友達を呼ぶんだと。
音楽のあるところに人は寄ってくるから。なるほどー・・・。


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がま口のぽちが閉められなくなってしまったので、友を呼ぶホルンが刺繍されたこのバッグを代わりに買うことにした。月光荘のこだわりを忘れたくないなと思ったので、毎日身につけるのはちょうどいいなと思った。


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これがそのホルン。盗まれたこともあったんだけど、どうか返してくださいっていろんなとこで書いてお願いしたら、帰ってきたらしい。愛されてる。

盗っちゃった人にすら愛が伝わって、申し訳ない気持ちにさせちゃうのか。


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昨日のイベントで話したメンバーのいくらかと一緒に、主催の友達の家に泊まってすこし語ってから、今朝を迎えてから、すこし一緒にいた子の過去の話を聞いて、共感し、励まし、勇気をすこしたぶん渡して、未来が幸せになるように祈って、というふうに朝が始まった。

そのあと月光荘にきて、しばらく画材を眺めて、バッグとかスケッチブックとか本とかいっぱい買って、下のカフェでコーヒーを飲んでたら、三代目の社長にもお会いしてすこしお話しさせてもらえて。

そのまま、そこが経営する飲食店の開店時間14時になったので、紹介されるがままにそこでまた時間を過ごして、ごはん頂いて幸せな気持ちでしばらく東京の街をあるいて、色が変わっていく四谷駅あたりの、夕暮れと三日月を撮ってみて。都会の空も素敵なもんだなと思ったりした。田舎がいいけど。


とてもいいはじまり。いい予感がする。
いやだいたい良いことしか起こってないけどね。
自分の感情だけがただ忙しいだけで。笑

急に読者の方からサポートもらえてマジで感動しました。競馬で買った時とか、人にやさしくしたいときやされたいとき、自暴自棄な時とか、ときどきサポートください。古民家の企画費用にするか、ぼくがノートで応援する人に支援するようにします。