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「大丈夫です」社員

問いかけに対して何にでも「大丈夫です」と応える人によく出会います。

例えば会社の中で上司から、
「あ、そう言えばアレ、どうなってる?」
と話しかけた時の返事として
「大丈夫です」
と返してきて、そこから先に話が進まない…
私はこのような応答を繰り返してる人を「大丈夫です社員」と呼んでいます。

冷静に考えれば、この場合の上司の期待する応答は進捗報告であったり、いつ完了するかであったり、何か問題が起こっていないかの確認なのですが、それらは何一つ出てきません
上手くいってるから大丈夫なのか、上手く行ってないけどなんとかなるから大丈夫なのか。良い状況なのか悪い状態どうかすら曖昧にぼかされてしまってます

「え?大丈夫ってどう言うこと?」と問うても
「大丈夫です、できますから」の繰り返しになるので、そう言うのであれば…とそれ以上聞かないのですけど上司側にはモヤモヤが残るのではないでしょうか?

大丈夫社員の中では何が起きているのでしょうか?

「大丈夫」が意味するもの

コンビニで「袋どうしますか?」とか「温めますか」とか聞かれた時に、「要りません」と返さずに「大丈夫です」と返事してるには私だけではないだろうと思います。
「袋要りません」と言いにくいわけでも「そのままで良いです」と言えないわけでもないのですけれど、面倒くさいから「大丈夫です」で済ませていることに気づきます。

「大丈夫」は元々は仏教用語らしいですが、中国で成人男子を「丈夫」と言い、特に立派な男子を「大丈夫」と言っていたのが日本に伝わった時に「立派な男子」の意味として伝わり、そこから派生して「非常に強い」「非常にしっかりしている」「非常に健康である」の意味。 さらに「間違いない」「確かである」の意味でも使われるようになったと言われていますね。モノでも壊れにくいものを「丈夫」と言いますよね。
そこにさらに「大」が付き、さらに物事が優れている様子を表現している。

そして、仏教では「偉大な人」「立派な人」という意味で菩薩を「大丈夫」と呼ぶようになったということがあり、宗教的な意味ではかなり偉大な人のことを指しているようです。

大丈夫であると言っているからには、その人の中に揺るぎがなく、周りは安心してみていられる、信頼していられる状態ということになるはずです。

でも実際には、コンビニでの会話にあるようにとても軽い調子で「I am OK」を伝えているだけになっているのではないでしょうか。

「大丈夫」による会話の拒絶

会社組織の中で比較的若手の方に何を聞いても「大丈夫です」という人がいることに気づいたのは数年ほど前でした。

こちらから決して単純ではないことを説明していて、聞いている本人の反応が薄かったりした時に気になって、
「ここまでのところは良いかしら?(理解できてるかしらという意味で)」
と確認をとりに行った時に
「大丈夫です」
と返事が返ってきます。理解しているようではなかったので聞いたのですけれど、大丈夫と言われてしまうとそこからさらに追求できません

で、本当に理解していたのかと思って色々と質問をしてみると、全然理解をしてなかったり、違った理解をしたり、何を行動すれば良いのか分かってなかったりということが起きます。
ぜんぜん大丈夫ではない、というわけです。

「あの件、終わった?」
「いえ、まだです。」
「え、そろそろまずいんじゃ無いの?どうなってるの?」
「(上司の顔を見ずに)だ、大丈夫です」

上のような会話があったとして、側から見るとかなり不味そうな感じがありますけれど、本人はとにかく一旦上司との会話を切りたいのだろうと思います。
それはたまたま今忙しくて答えられないのか、落ち着いて整理してからじゃないと答えられないのか、それともこの上司とは極力関わりたくないのか…
いずれにしても会話を続けることへの拒絶がそこにありはしないでしょうか。

これが昂じると、やり取りがさらに圧縮されて、
「あの件、終わった?」
「だ、大丈夫です」
となり、言葉通りに受け取ると本当に大変なことになるかもしれません。

大丈夫、を越えて関わる

口では大丈夫と言いながら、実は本人にとってはぜんぜん大丈夫ではないということは沢山あります。
それどころか周りには大丈夫ですと言いながら、メンタルになってしまう人も居ます。

本当に大丈夫なのかな、と感じたら相手のいう大丈夫を越えて関わってゆくことは実は大切なことであり、相手もそれを望んでいたりします。
でも、大丈夫ではない、やばいと思われて叱られたり追求されるのが嫌なのでその場しのぎの大丈夫にして自分の殻に閉じこもっています。

大丈夫を越えて関わるためには、追求するやり方ではないアプローチが必要でしょう。
それは北風と太陽の寓話で言うところの太陽のアプローチになると思います。

太陽のようなアプローチとは、相手が大丈夫だと言うからには大丈夫なことにして、相手に期待をしていることや気遣っていることを告げて、相手が自分の気持ちを素直に出せるようにすることだと思います。
具体的には、
「いやぁ、いつも忙しそうに遅くまで一人で頑張っているから気になっててね」とか
「この仕事は結構複雑だし大変だと思うのによくやってるなと思ってるんだよ」とか
「この仕事がうまく行くと、君の評判も上がるから期待してるんだよ」とか
をニコニコしながら声かける感じでしょうか。

これはつまりタスクの進捗を聞くのではなく、相手の感情に近寄ってみる、ということかもしれません。

また「大丈夫ではないのだけれど、あなたの関わりは不要です」という意味で言われているとしたら、これは大問題ですね。
まずは相手との信頼関係を立て直してからでないと関わりを持つことが逆効果になってしまうかもしれないですね。

言葉として「大丈夫」を交わすだけではない、心と心が繋がって大丈夫な人間関係、作ってゆきたいですね。

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