理念と活動をチェックする

私は、合同会社チーム経営という、ファシリテーターが集まる小さな組織で、さまざまな組織での組織開発を支援しています。
チーム経営では、年に2回、「パートナー会議」を開いています。株式会社でいう株主会のようなもので、1年間の実績をふりかえり、今後の取り組みを話し合います。

このパートナー会議で特徴的なことは、話しあいの最後に「理念と活動のチェック」をすることです。私たちは会社を設立する時に、ミッション(使命)や目的、価値観などをみんなで話し合って作り、ずっと大切にしてきました。

チーム経営のミッションや価値観は、次のようなものです。
https://teamkeiei.com/company/

◇理念
人が生き、成果があがる組織づくり

◇ミッション
人が一人ひとり大切にされ、その能力を伸ばし人間として成長していくことと、人々が知恵とチカラをあわせることで、組織の成果が向上することが両立する経営(チーム経営)が可能であることを示し、これに取り組む人、組織を増やしていくこと。

◇目的
LLCチーム経営は、グループプロセス・ファシリテーションを通じて、知恵とチカラをあわせられる場づくり(・聴く ・伝える ・支える ・真剣に関わる)を促進し、組織を活性化していくための、心(知識的・心理的サポート)、技(スキル的サポート)、体(環境的サポート)を提供します。私たちは、チーム経営を目指す人々のオアシスとなり、チーム経営を社会的に広めていくことを目的とします。

◇価値観
1.私たちは人間の尊厳・成長と組織の成果の両立を大事にします。
2.私たちは人々の対話的関係と場(プロセス)を促進することを大事にします。
3.私たちは共にあることで、みなさま自身が変革を成し遂げることを支えます。
4.私たちはよりよいチーム経営のあり方を追求し、学び続けます。

「理念と活動のチェック」とは、私たちの取り組んでいることや、これから取り組もうとすることは、この理念やミッションなどと照らし合わせてみると、どう感じられるかを自由に話し合うことです。
明らかに無視したり、違反したりすることはないのですが、「この行動はミッションからすると、どうなんだろう?」とか、「もっと価値観にあった行動を選べなかったのか?」といった、ちょっと心に引っかかるような違和感などがあれば、パートナーたちから発言がなされます。そして、その発言を大切にして、新たな取り組みをおこなっていくのです。

今回は、「人が一人ひとり大切にされ」というミッションの一説をめぐって、意見が出されました。コロナ禍において、私たちは同じ場所に集まって話しあうことができなくなり、オンラインミーティングを余儀なくされました。いろいろなオンラインミーティングをふりかえってみて、人が大切にされにくい話し合いの場になっているのではないかというのが、その発言の趣旨でした。

リアルな場だと、一人ひとりの姿勢や表情が読み取りやすいものです。「話についていけてないのでは?」「まだ、納得できていない様子だ」など、言葉が発せられなくても、メンバーの思いを察することが可能です。私たちファシリテーターは、それを感じ取ることが容易です。
オンラインミーティングだと、メンバーを気遣うことがおろそかになりがちで、発言を促せなかったり、ファシリテーターの権限が強まったりする傾向があります。「人を大切にする」ためには、そんなリスクのあることを十分に配慮していかないといけません。
みんながなんとなく気づいていることかもしれませんが、あらためて会議の場で発言されることで、私たちが十分心に留めることとして、記憶されたように思います。

理念は、組織の存在理由を明らかにするものであり、活動の方向性を示すものであり、なにかを判断するときのモノサシとなるものです。活動と理念が乖離しはじめると、私たちのベクトルは合わなくなり、判断基準が不明確なために合意がとりにくくなるでしょう。
年に2回だけですが、理念と活動をチェックする場のあることを、私たちは貴重なことだと感じています。


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