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#イタリズム フォトコン審査結果と講評。

おばんです。
仙台で写真を撮っているイタリーさとうです。

トップ画は「インスタント神社」でした。


先月行った @kentanahashi さんとのコラボ企画として#イタリズム のフォトコンを開催しました。

まずはたくさんの方のご参加と、楽しい投稿誠にありがとうございました!「思わず何か言いたくなる」写真と言葉の遊び。毎朝投稿し続けていて、zookomiさんからハッシュタグ作ろう!との声をいただき、C_FLATさんが名付けてくれた「#イタリズム」。
みなさんの一声と面白い投稿に支えられています。ありがとうございます!

さて、twitterで発表した通り審査結果は以下のようになりました。

○金賞・あきゃさん(@akya_pic)
○銀賞・薄明さん(@_hakumei_)
   ・荒たさん(@10wachamoex)
○銅賞・isemottyさん(@isemotty)   
   ・ヤマトさん(@photo_by_Yamato)  
   ・ぅ-さん(@uuuuu250)
○ken賞・わたろさん(@wataro_photo)
○イタリー賞・5103さん(@5103_miko)

受賞者のみなさんおめでとうございます!

選考基準としては

・面白さ(写真と言葉)←まずここ。
・視点
・共感
・分かりやすさ
・写真の質
・新しさ

などなど、kenさんと候補作を持ち寄り、お互いの意見を聞きながら総合的に決めました。
それでは実際の受賞作品とともに、私からの講評(恐縮ですが)と感想コメントを連ねていきます。余談多めです。

・金賞 あきゃさん

「憧れの先輩を遠くから見つめる木とそれに付き合う友人の木」

電柱に寄りかかるように立つ、木の面白さ。添えた言葉によってグッと物語性が引き立っていて、言葉によって与えたシチュエーションもわかりやすく想像しやすい設定で面白い!言葉を読んだあとに写真を見ると、もうその状況にしか見えない説得力のある作品です。写真と言葉が見事に噛み合って、誰が見ても共感できるところも金賞としてふさわしいと思いました。「言葉によって写真の見え方が変わる」イリュージョンが起きていて、イタリズムの真骨頂といっていい作品だと思います。

イタリズムでは写真と言葉が補完し合う関係、言葉が写真によって生きてきたり、写真だけでは入り口のわからないものが言葉を添えることで中に入ることができるような、そんな関係が理想だと考えています。

ボケとツッコミのような感じとも似ているのですが、なおかつどちらか一方の力が強いわけでなく互いに働き合う関係です。

そういったことを踏まえても、この作品は理想的で、私も思わず「やられた!」と思うほど、素晴らしかったです。
(自分ももっと面白いの撮らなきゃ!)

・銀賞 荒たさん

「着せ替えスカイツリー」

着眼点が素晴らしいです。荒たさんオリジナルの発想だなと思いました。この作品のグッとくるところは、スカイツリーも鉄塔もただそこにあるだけのもの。つまり真面目なんです。何言ってんだと思うでしょうが、これが素晴らしい。つまり被写体のどちらもふざけていない。そのまま切り取っても面白くならないはずなんです。それらを直線上に並ぶように切り取ったことで、意味が生じ言葉の世界観に共感できるところに落とし込んでいます。この切り取り方のアイデアと世界観の発想。スカイツリーも日替わりでファッションを楽しんでいるのかもなーと思うと無機質な建築物が可愛らしく見えて笑えます。

まるで三谷幸喜脚本のような作品だと思いました。
つまり、登場人物が全員真面目な人間が勘違いやすれ違うことバカなことが起きる。
これと対比的なのが吉本新喜劇。
登場人物が全員バカな人間なバカなことをする。笑

スカイツリーも鉄塔もただそこにあるだけなのに、切り取り方と言葉によって面白くなっているところに、私個人的には、三谷幸喜のような笑いと面白さを感じました。

・銀賞 薄明さん

「不機嫌そうにチラ見するパンダ」

対象物を「何かに見立てる」ということで面白さを再発見することがあります。その中でも動物や人など、顔に見立てるパターンはいくつか見られたのですが、薄明さんのこの作品がもっとも繊細でリアルな表情を物語っていました。笑

ただの網なのに。
ちょっと不機嫌そうですよね。
…ただの網なのに。
確かにチラ見してますもんね。
……ただの網なのに。

言葉そのままですが、こうも言葉通りな表情をされていて笑ってしまいました。絶妙。この一言に集約される作品だと思います。

・銅賞 isemottyさん

「恋する枯れ木」

イタリズムの投稿を眺めている時は、思わず笑ってしまう面白い投稿と身構えていただけに、こんなパターンもあるのかとハッとさせられた作品です。面白いとは別の軸にハートフルなパターンは新鮮で、新しいイタリズムだなと思い選びました。写真だけでも伝わるとは思いますが、「恋」と「枯れ木」という対比的な言葉選び、情熱と静寂のコントラストを感じてなんだか情緒があるなーとキュンキュンしちゃいました。
同じパターンや形式に沿うだけではなく、どう裏切るかというのも笑いにおいてはひとつのお約束だったりするのですが、この心温まるという裏切られ方は斬新でした!笑

ハッシュタグを用いてイタリズムで誰もが参加できる仕組みになったことで、意味が拡張したこと。その広がっていく喜びと自分にはない視点を見つけられた興奮が個人的に大変嬉しい出来事でした。

そんなことを考えさせられた作品でした!

・銅賞 ヤマトさん

「酒に呑まれた提灯」

「うまいこと言うねぇ。」自分がイタリズムの投稿をみるときに言いたい感想のひとつです。笑
もはや演芸場の最前列で見る常連の親父の気分です。
自分もいかに写真と言葉が噛み合ったうまいことを言うか考えています。親父ギャグの薄寒さととうまい!と感心する境目は極めて曖昧で、効果的に用いるのは大変難しいところです。その点でいうと、この作品はうまい!かつ面白い!写真と言葉がしっかりとつながっていて見事な作品でした。ただなんとなく撮ったのではなく、構図を作ってローアングルから狙って撮っているのも素敵です。ちょっと面白い状況をよく記録したいという意気込みが感じられて好印象でした。笑

・銅賞 ぅ-さん

「出るところを間違えたチンアナゴ」

面白い状況を撮れていて、なおかつ言葉で世界観を変えていることにも成功していて二度味わえる作品です。
いや、まずもってですよ。
この形状の風船をそのままゴミ箱に捨てることあります!?
人として!
せめて割って処分するとか、折りたたむとか、何かしら工夫して捨てると思うんですけども。
それがまるごとゴミ箱に捨てられている状況がもう面白くて、さらに言葉によって、違うイメージを連想したときにも説得力があってそう見えてくる。人が残した形跡、そうなった状況への想像がかき立てられる作品はとても好きです。

余談ですが、#イタリズムの投稿形式として、冒頭は挨拶を入れるというルールが一応あるんですね。
自分が投稿し始めたときからその形式で投稿していたという理由であまり意味はないのですが、これも裏切って違うパターンを探っていいポイントでもあります。

「こんぬつわ」

ぅ-さんはそこから遊んできました。
これが効果的になっているかどうかはほとんど誰も気にしていないポイントかもしれませんが(失礼な!)、私なりに拾います。
「こんぬつわ」は恐らく東北地方のズーズー弁に近い方言でしょう。
発音的には「こんぬづわ」がより正確ですが、寒い地域がゆえに口をほとんど動かさず、口を開かずとも発声できる言葉です。
吹雪いてる雪の中を元気よく「こんにちは!」と言うのはそれだけで消耗しますよね。楽に発声できるよう籠らせて「こんぬづわ」となったわけです。

と、なると、以下の文はこのズーズー弁に近い言い方で読み上げてみましょう。

「これは⤴︎ / 出るところを間違えた⤴︎ / チン⤴︎/アナゴ⤴︎」

こうなります。
チン・アナゴと言った具合に小気味よく切ったほうがそれっぽく発音できます。
⤴︎は語尾が伸びるように発声するイメージです。
ここまで解釈すると、言い方の面白さ、旨味成分が後味として出てきました。

以上、受賞理由とは別ですが、個人的な楽しみ方の話しでした(笑)

・ken賞 わたろさん

「たった一人の悪の組織に立ち向かうことを決意した男」

ken賞はこちら。
基本、自分はモノに向かうのでなかなか人を撮ることはしないのですが、こういう夢を売る世界の裏側みたいな瞬間は面白いですよね。恐らく遊園地のゲームコーナーでメンテナンスをする瞬間ですけども、両手にこの装備を構えている瞬間は「何かを覚悟している」ようにしか見えなくて世界観の提示でさらに面白くなっています。

・イタリー賞 5103さん

「銭湯の洗い場にいた人」

イタリー賞として私からは5103さんを選びました。
この賞はそれぞれの感性で面白いと思ったものを個別に選ぶといったかたちですが、個人的にはそこに加えて「もっと伸びるぞ!」という勝手ながら応援したいという気持ちも込めて選ばせていただきました。

5103さんのこちらの作品はわかりやすく、そんなおっちゃんいるわ〜という共感もできる世界観でとても好きです。

5103さんからは多数投稿していただいたのですが、どの作品も撮っている状況は面白い場面を切り取っていて、いいなぁ〜と思うものが多かったです。

さらに面白くなる余地があるのは言葉選びだなと!
チャレンジされた方も言葉をどうするかは非常に悩まれたポイントだと思いますし、私も日々悩んでいます。笑
ポイントのひとつに、できるだけシンプルにすることを意識しています。
例えば、上記の「推し達がステージに降り立った時のアリーナ席の様子。」は、もっと端的に「アリーナ席。」だけでもいいかなと思いました(自分なら)。

要は、「推し達がステージに降り立った時」という私が見ている限定的なシチュエーションは手放して「アリーナ席」とだけ説明し、どんな物語があるかは想起してもらえればいいやという考えです。
色彩豊なお地蔵さんがたくさん並んでいる光景がすでに面白いんで、写真に力があるとき言葉はちょっと添えるだけでも十分だなと思うときがあります。
なるべく余白の多い、物語を連想させるようなタイトルになると、より写真が引き立ち、写真と言葉がいい関係になるなと思いました。

以上!
自分が投稿で毎回大爆笑をとっているかのような立ち位置で、人の投稿をあれこれ言うのは大変恐縮ですが、それぞれにコメントをしました。


・全体講評

最後に今回の企画と投稿を振り返ってコメントします。
まず、「面白い」に順位をつけるのは本当に難しい!!
たくさんの投稿から30候補くらい選び、それぞれのいいところがあるのは承知の上、さらに絞り込むというのは大変難しいものでした。ぼくとkenさんでも面白い作品の評価が別れたりしましたが、受賞された方の投稿は共通して面白いといえる作品です。

 受賞者を振り返ると、やはり毎日写真を撮っている方が軒並み受賞されているなと感じました。単純に撮っている写真が多いのと、今回は#イタリズムとして始動してから、フォトコンまでの期間が短いこともあって「ストックの中から言葉を添えて投稿する」というやり方が多かったのではないでしょうか。そこに加え「日常を切り取る」スナップ写真を撮っている方はよりいい作品が生まれやすい環境にあったと思います。

 言葉選びについては、「わかる人にはわかる」的な見立てや言葉選びも多く見られました。そのような世界観の提示は「わかった人には絶大な効果あり」というメリットがある反面「わからない人にはさっぱり」というデメリットもあります。私もよく使いますが、バランスが難しいのと今回のようにコンテストの選考としてはより広くわかるものがいいなと考えたので外しました。
普段の投稿としては広くわかるものではなく「あなたにわかればいい!」というスタンスで世界観を出していくほうがやりやすいんですがね。本当、ここのバランスが難しいです...。

 最後に、私から#イタリズム を通してみなさんに伝えたいことは、

「面白い」という視点の楽しさです。

みなさんがカメラを持って写真を撮るとき、光が綺麗だったり、風景や、人物の魅力を撮ったり、無目的に撮ることがあるにせよ、何らかの「美しい」が目の前にあるはずです。その基準とは別に「面白い」を探す視点があるとより人生は楽しくなる、と信じています。

「面白い」を楽しめることは余裕の現れです。

先日、町を散歩しながら「面白い」を探している途中でスマホを落として画面がバッキバキになりました。
それからは歩くこと自体も苦痛で、何を探しても「全然面白くないわ!」という状態に陥りました。笑

「面白い」を面白がれているというのは余裕があるからこそです。
そしてその余裕こそが豊さなのかもしれないと思っています。
こういう話しをするつもりはなかったのですが、私はどこで車線変更を行いましたでしょうか?笑

はい!それはさておき!
これからも私は #イタリズム をつけて投稿し続けますので、みなさんも面白い何かを撮れたらぜひ投稿してみてください!

今回コラボ企画を提案してくれたken tanahashiさん。
プロフィール見たら面白いことに気付きました。

「日常で見落としがちな美しい瞬間を切り取る」

これ対して私の立ち位置は

「日常で見落としがちな面白い瞬間を切り取る」

ということだなと再認識。
もちろん自分も「美しい」を撮るんだけどね!
異なる視点を持ちながら写真を楽しむ、そういうことです。

改めまして、受賞者のみなさま、そして投稿してくださった全てのみなさま、見てくださったみなさま、コラボしてくださったkenさん。

誠にありがとうございました!
めっちゃ楽しかったです!!!!


合わせてkenさんの講評もご覧ください!


#写真 #イタリズム #日記 #コラム


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