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特別純米 とんださけ

4月6日、浅草から神戸に引っ越してきた日、新幹線から在来線に乗り換える新大阪駅の土産物売り場をあるいていました。ほとんどお客さんはおらず、各店の店員さんはマスクして店頭に立っています。

その中で、日本酒が気になって、売り場に入っていったら、
國の長 特別純米 とんださけ」というお酒がありました。
ポップには
「香りを抑え、米の旨味を引き立たせた味わいは、香り酒の苦手な方や、酒好きの方に好評を頂いています。」とあり、それに引かれて買ってみました。

亡くなった父が晩年、
「おれはずっと辛口の酒が好きだと思っていたが、最近甘口の酒が好きになってきた」と言っていました。実は私もずっと辛口が好きだと思ってきたのですが、最近甘口が好きになってきました。甘口といってもべたべたする甘さはダメなのですが、さらっとしているけど甘みを感じる。そんな味が好きになってきたのです。

家に帰って飲んでみると、「とんださけ」、まさにそんな味でした。まったくべたつかず、さらっとしているのですが、ほんのりと甘み・旨味を感じます。

「とんだ」は大阪府高槻市富田町の富田です。
摂津富田駅最寄り駅のマンションの販売に携わったことがあり、一時よく行っていましたがこの酒のことは知りませんでした。

酒が入っていた箱には「摂津富田の酒造りは、文明3年(1471年)奈良屋の生産に始まり、清水株(徳川幕府より下された江戸時代最高の特殊酒造免許)を有する紅屋を中心に大発展し、以後とぎれることなく現在まで最古の銘醸地として酒通に愛されています」とあります。

製造者の寿酒造のHPには「お米の旨み、甘みを生かし、あえて端麗辛口はつくりません」と書いてあります。スーパー等では「端麗辛口」を標榜する酒がずらりと並んでおり、おそらく今はその方がよく売れるのでしょうが、それを「あえてつくりません」と言っているのでしょう。

江戸の町にも知られた銘酒「富田酒」。芭蕉の弟子、宝井其角の作と伝えられる、前後どちらから読んでも同じに読める回文俳句が残っているそうです。

けさたんとのめやあやめのとんたさけ
(今朝たんとのめや菖蒲の富田酒)    (高槻市HP)

まあ、朝から「たんと」飲むのもいかがなものかとは思いますが、
この俳句を生かして、酒のネーミングをわざわざひらがなにしたのですね。

買ってきたのは、720mlで1320円(税込)でしたが、1800mlは2750円(税込)で日常酒とするにはちとお高いかと。時々楽しみたいと思います。