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「仮名遣い」とは何か

恥ずかしながら、この日本語教師養成講座で勉強するまで、「仮名遣い」の正確な意味を知りませんでした。

仮名遣いとは、「平仮名で日本語を書き表す際の決まり」です。もちろん、平仮名についての決まりであることはなんとなく理解していましたが、送り仮名とかと混ざって理解していて、正確ではありませんでした。

音韻と一緒で、日本語については「国語」として何となく学んできているので、理論的に整理して学べていません。日本語教師として、学習者に教える際にはこれではいけませんし、勉強してみると、現在使われている「現代仮名遣い」は、発音された音に近い表記をするのが原則ということですが、日本語の長い歴史の中でまとめられてきた「歴史的仮名遣い」を取り入れているところもあるので例外が多く、多くの「遣い方」は感覚的にはわかっているのですが、理論的に「整理」しようと思うとなかなかやっかいです。

「現代仮名遣い」の全体像を理解しようとすると、テキストもわかりやすいのですが、整理の仕方が中途半端な面もあり、告示されている「現代仮名遣い」そのものを見た方がわかりやすそうです。

まず前書きが8つあります。その内の1と2に重要なことが書いてあります。

1、 この仮名遣いは、語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものである。

発音された音に近い表記をするのが原則ながら、一部「歴史的仮名遣い」を取り入れ、例外を設けることをうたいます。

2、 この仮名遣いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。

「よりどころ」であって、他の仮名遣い(具体的には歴史的仮名遣いと思われる)を禁止するものではないことを言っています。

3~7では、下記も対象から除くこととしています。
3、 専門分野や個々人の表記
4、 原文の仮名遣いによる必要があるもの、固有名詞。
5、 擬声・擬態的描写、嘆声、特殊な方言、外来語、外来音
6、 発音にゆれのある語
7、 点字、ローマ字

そして8では、「歴史的仮名遣い」を知ることは有用として、かなり歴史的仮名遣いに気を使っている前書きとなっています。

本文は第一と第二の二つだけです。

第一 語を書き表すのに、現代語の音韻に従って、次の仮名を用いる

発音される音に従うことが原則であることを述べます。

1、 直音
2、 拗音(きゃきゅきょなど)
3、 撥音(ん)
4、 促音(っ)
5、 長音(かあさん、にいさん、くうき、ねえさん、とうさんなど)

第二 特定の語については、表記の慣習を尊重して、次のように書く。

歴史的仮名遣いを尊重する例外について述べます。

1、 助詞「を」は「を」と書く(「お」ではない)
2、 助詞「は」は「は」と書く(「わ」ではない)
3、 助詞「へ」は「へ」と書く(「え」ではない)
4、 動詞「いう」は「いう」と書く(「ゆう」ではない)
5、 次のような語は「ぢ」「づ」を用いて書く(「じ」「ず」ではない)
(1) 同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」(ちぢみ、つづみ)
(2) 二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」(はなぢ、みかづき)
6、 次のようなごは、オ列の仮名に「お」を添えて書く(「う」ではない、おおかみ)

付記が一つ。

そして「付表」で現代語の音韻を目印として、この仮名遣いと歴史的仮名遣いとの主要な仮名の使い方を対照させ、例を示しています。

いわゆる「例示」を除けば、これがすべてであり、「規則」としてそれほど複雑なわけではありませんが、実態は「例示」がわからないと使いこなすことはできず、学習者に教える際は、原則と例示を分けて丁寧に説明することが必要となりそうです。