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制作日記No.96〈松村沙友理篇 解説その③〉

2021年7月19日(月)

お疲れ様です。いたがきブログです。

乃木坂46メンバーの卒業後をテーマに、僕の妄想を短篇小説集にしようと企んでいます。
タイトルは短篇小説集『振り向けば青春 ~あの後の彼女たち~』です!

(略して #短篇小説集ふりはる


ようやくその第一作目となる松村沙友理篇が完成しました! 無料で公開しています。

本日の日記はこのあいだの続き、〈松村沙友理篇 解説その③〉です。

▼バックナンバー
制作日記No.92〈松村沙友理篇 解説その①〉
制作日記No.93〈松村沙友理篇 解説その②〉

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▼オーディオコメンタリー③
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チャプター3の解説や裏話についてしゃべったオーディオ・コメンタリーです!

松村沙友理さんという実在する人物のセリフや内面の心理を、僕が勝手に書くことに対する苦悩がものすごくありまして、そんな話もしております。ぜひお聞きください。


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▼文字起こし③
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さあ、チャプター3を見て行きます。

この間接照明とか、電球色のスポットライトとか、ちょっと光に関する表現をこだわってみたいと言うか、全然言葉が出てこなかったのでネットで色々調べましたね。照明の種類とか、照明の色の名前、青っぽい明るさから赤っぽい明るさまでグラデーションがあってそれぞれに名前がついてるみたいな。それの中で電球色はいちばん赤みがかった色、いちばん暖かさを感じる色なんですよね。そういうのもあってここの描写を書くために2~3時間ぐらいは費やしましたね調べ物に。

この辺ねえ、「沙友理のことを全て知っていたいという気持ちが、沙友理の全てを知ることはできないと逆説的に証明しているのだ。それでも私は沙友理の全てを知っていたい。」、この辺に〈沙友理の夫〉の抱えているものを頑張って表現しましたね。『外側の人間』、病院の入院してる〈男性〉にも〈男性〉の苦悩はあるけれど、ものすごく『内側の人間』、〈沙友理の夫〉という人物にもその人なりの苦悩があるっていうのを表現したくって、そういう意味がこもってますこの辺には。

この〈沙友理〉の「驚きを含んだ沈黙だった」とその後の「その笑顔はどこか憂いを含んでいた」ってこう“含んでいた”って言葉が2個続いてるんですよね。「驚きを含んだ沈黙」っていうのと「笑顔にどこか憂いを含んでいる」って別々で思いついていざ書いてみたら、これ含んでるっていうのが2回続いちゃってんなって思って、どうしよう、変えようかなーって。ブログとか記事を普段書くときは同じような表現が2個続くのって無意識に避けてきてたんですよね。語尾をちょっと変えてみるとか、言い回しを変えてみるみたいな今まではそういうのを無意識的にやってたんですけど、それが小説になった時にそれをやるべきかっていうのをここでちょっと考えて。で、結局最初に思いついたこの言い回しを尊重するというか大事にするみたいな形でここは二つ続けて「含んだ」「含んでいた」ってなってるんですけど、まあなんか小説ならそれもアリなのかなと思ってこういう風になりました。

この辺の〈沙友理〉と〈沙友理の夫〉の会話は大変でしたねすごく。〈沙友理〉のセリフがけっこう多くって。この前のやつ(チャプター2)でも話しましたけど、〈沙友理〉の言葉を関西弁にするのか標準語にするのか、どっちにするとしてもそっからさらに「あー、それ松村沙友理が言ってるなー」って読んだ人が思えるような、どういう風にそれを表現すればいいのかすごく悩みましたし何回も書き直しましたこの辺の一個一個のセリフは。でもどんな感想を持っていただいてもすごく嬉しいですけどね。「こんなことさゆりんごは言わねーよ」って思ったならそれはそれで言ってくれると嬉しいな。ここはちょっとまわりの皆さんの持ってるイメージとは違うものになっちゃったのかなって分かるので。まあでも「あー、松村沙友理っぽいな」って思ってもらえるのが一番嬉しいですけど。

人の喋っていることを文字で表現するって難しいですね。すごく大変でした。最初はそっから逃げようとしてたんですけどね。〈沙友理〉のセリフは一切入れないようにしようと思ってたんですけど、それはやっぱ逃げでしかないなと思って。

あと一人称をこだわったというか、それぞれで分かれてるんですよね。〈沙友理の夫〉の一人称「私」は漢字で「私」で、〈沙友理〉が自分のことを「わたし」っていう時はひらがなの「わたし」で、病院の〈男性〉は一人称が「僕」っていう。まあ「僕」だけちょっと〈平井君〉と〈男性〉が両方とも一人称「僕」なんですけど、そこはまあ混同しないかなちょっと物語的に離れてるからまあ大丈夫かなということで。

あともう一個ちょっとこだわったっていうか入れたかったのがですね、〈サユリさん〉、〈松村沙友理〉、〈沙友理〉、いろんな呼び方が出てくるんですよねこの物語の中で。そこはかなり意識的に使い分けました。〈沙友理〉、〈サユリさん〉、〈松村沙友理〉〈さゆりんご〉と4つ出てくるんですけど、これはそれぞれでちゃんと意味を持って使い分けてます。その辺はちょっと読んで楽しんでいただけたらなと思います。

〈沙友理〉が〈男性〉から「30年前の番組で松村沙友理が何と言ったのか思い出したんです」って聞かされて「46歳で卒業して60歳で可愛いおばちゃんアイドルとして再デビューしたいんですってあの時松村沙友理を言ってたんですよ」って言われた時の今現在の〈沙友理〉の反応というか、その時何を思ったのかっていうのをここで〈沙友理〉が自分の口でしゃべるここのセリフは本当に時間がかかりました。何を思ったんだろうと、本当おこがましいってか生意気にも自分がもしその場にいた松村沙友理だったら何を思うか、こうなんじゃないかなっていうのを最終的に見つけ出してそれを文章にしたんですけど。

最初が僕の妄想みたいなところ、シチュエーション先行の妄想から始まっているので、その時々の登場人物の感情みたいなものは後づけというか、後からちゃんと考えていったというか。絵が先に浮かんでることの方が多いので、そこでこの人は何を思ってたのかなみたいなのは、その都度ぶち当たった時にすごく考えていって、でそう考えていくとそっから当初想定していたシチュエーションだけのストーリーとはまた別のストーリーを辿っていくことになるんですよねちゃんと登場人物の感情を考え出すと。そうやってちょっとずつ元々考えてたストーリーとも変わっていって、うまいことシチュエーションと人の感情がいい塩梅で釣り合ったのが最終的に完成したストーリーみたいな感じになりましたね。

けっこう細かい最初と変わったところがいっぱいあって、それの1個が〈沙友理〉が〈男性〉に「六十歳で再デビューしたいと松村沙友理がかつて言っていた」っていうのを言われて、そのことを〈沙友理〉が覚えていたのか覚えていなかったのかっていうのもあるし、そう言われて思い出したのか思い出さなかったのか、そう言われて「そっかじゃあ六十歳で再デビューしなきゃ」って思うのか、「わたしそんなこと言ったんだ」って思うのか、何を感じるのか1個ずつ深掘りして突き詰めていったっていう感じですね。

〈沙友理の夫〉は一人称が「私」だったり、〈平井君〉と喋ってる時のセリフが割と年いったおじいちゃんっていうか、重鎮みたいなご隠居みたいな雰囲気になってるけど、〈沙友理〉のことになるとちょっと若返るというか感情があらわになる感じが表現できるといいな。〈沙友理の夫〉の〈沙友理〉に対する愛が出すぎて若干空回りしてしまっている感じが一個一個のセリフで表現できてるといいな。

この「最後は私の目を見て言った。綺麗な茶色い瞳に沙友理の真っ直ぐな思いが映っていた」っていうここの綺麗な茶色い瞳ってのはさ、もう本当完成直前の先週の『乃木坂工事中』のプロフィール帳みたいなのを1期生が全員書くみたいなあれでさゆりんごの自分のチャームポイントとして茶色い目っていうのを書いてて、それで最後の最後ここにそれを差し込みました。

「世界の悪意から沙友理を守ることが私の使命だ」っていうのは〈沙友理の夫〉が持ってる、持ってるというか背負わされている十字架みたいな。だからこの「世界の悪意から沙友理を守る」とか「私の使命だ」とかは何回か出てくるんですよね文中で。「世界の悪意からさゆりを守ることが私の使命だ」っていう言葉をまんま何回も使いましたわざと。〈沙友理の夫〉がそれを背負っている、それを抱えて生きているっていうのを表現するために。


で、後半ですね。前半が鉄板焼き屋さんでの〈沙友理〉と〈沙友理の夫〉の会話で後半になるとまたこの三角が入って主観が変わってまた病院の〈男性〉に主観が戻って。

この辺はですね、「欲しかったのは正しい答えじゃなくて、信じられるものだったんだ」、これはもうある曲の歌詞をそのまま持ってきました。ぴったりじゃんと思ったんで。

で、また時間が空いて、けっこう空きましたね。この「年が明け、冬の寒さも和らぎ、春がもうそこまで来ている」の1文でだいぶ時間の流れを表現しましたね。短編小説だからこそ出来るワザですよね。まあもちろんこの間にもいろんなストーリーがあるんですけど、そこはバッとはしょって。

この辺から、この前からだけどちょっとずつ〈男性〉の迷いの中で「何か信じられるもの」、「心の支えになるもの」が欲しいっていうのを無意識に思うようになっていて、その心の隙間をぴったしちょうど埋めてくれるのが「60歳で再デビューする」っていうあの松村沙友理の言葉になっていって、それがだんだん自分の中で大きくなっていって。なんかちょっと宗教っぽさも入れてみたいなと思って、救済というか、神を信じているから私は死ぬのは怖くないみたいな、なんか本質的には同じ事だと思うんですよね。人間の弱さを埋めてくれる心の拠り所みたいな、なんかちょっとこう宗教的な雰囲気もこっから混ぜて行きたいなと、そういう雰囲気も混ぜていって最後の〈男性〉が死ぬシーンに向けてちょっとずつボルテージを上げていけるようにしたいなと思って。最初からけっこうそれは思ってましたね、そういう描き方をしてみたいと。できているのかわかんないけど。やれるだけの事はやりましたね。

チャプター3は短いねチャプター1,2に比べたら。はいじゃあ次は4です。


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やることがいっぱいあって本当はバイトなんかしてる場合じゃないんだが。

(#結果を出して変えていくしか無いね)


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では、また後ほどお会いしましょう。


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