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乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。17日目『音が出ないギター』

_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし

本題の伏線になる時とならない時がある雑談

▼『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報

▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察

▼おわりに
総括とキメ台詞



▼今日のこばなし

「はなげ」

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鼻毛を抜く時どうしてあんなに痛いのか、甚だ疑問である。
「鼻の穴から飛び出していると見栄えが悪い」という大義名分はこちらにあるのに、一本抜くだけで激痛が走るのが不条理でならない。

別に鼻毛の存在を否定しているわけではない。
鼻毛の重要性については、人一倍理解しているつもりだ。

鼻毛の機能は、鼻から空気を呼吸する際に、フィルターのように塵埃や微粒子をからめ取ることで異物が気管支に入り込むことを防ぐほか、鼻呼吸時の吐息に含まれる水蒸気を吸着し、鼻から息を吸い込む際に蒸発させることで、わずかながら呼気の水分を回収する作用がある。

-Wikipediaより引用

 むしろ鼻毛には日頃から感謝している。

だからこそ、筆者は鼻毛に「キミはそんな扱いに甘んじていて良いのか?」と言いたい。

『抜くと痛い』なんてキャラ設定が無くたって、鼻毛のポテンシャルなら十分やっていけるはずなのだ。


「なあに言ってんだあ」

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(おわり)


▼『音が出ないギター』の基本データ

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▼収録 / 発売日
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3rdシングル『走れ!Bicycle』Type-C / 2012年8月22日

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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / Jam9、ArmySlick / シライシ紗トリ

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▼歌唱メンバー
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生田絵梨花、生駒里奈、市來玲奈、伊藤寧々、伊藤万理華、井上小百合、岩瀬佑美子、衛藤美彩、川村真洋、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、中田花奈、西野七瀬、能條愛未、橋本奈々未、深川麻衣、星野みなみ、松村沙友理、若月佑美

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▼センター
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生駒里奈

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▼MV(ミュージックビデオ)
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監督:丸山健志


▼『音が出ないギター』を語る

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・隠れた名曲

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鬱屈した生活の中でロックだけを心の拠り所にする主人公。
ライブ中にアンプを切られ、音が出なくなったギターをそれでもかき鳴らすところに、彼の葛藤や反抗心が表現されている。

知る人ぞ知る隠れた名曲である。


・『制服のマネキン』への布石

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以前、『走れ!bicycle』の記事で下のようなことを書いた。

『走れ!bicycle』で乃木坂46はフレンチポップスというコンセプトの限界に直面した。それは同時に『制服のマネキン』という新たな路線への布石でもあった。

しかし、布石はもうひとつあった。

それこそが、『音が出ないギター』である。


『音が出ないギター』は、乃木坂46にそれまで無かったロックな楽曲である。

秋元康が初期の乃木坂46に掲げていた「リセエンヌ」 ((※1))というキーワードとは明らかに一線を画す、
「葛藤」や「反抗」をテーマにした曲になっている。


そしてこの曲の最大の功績は、

「少女たちが真剣な顔で内面に秘めた感情をぶちまけるように歌うことで、かえって彼女たちの未熟さやピュアさが表現される」

という発見をクリエイターとリスナーの両方にもたらしたことではないだろうか。

この「クール路線もイケる!」という気付きは「大人や多数派への反発」というテーマを引き出し、
後の『制服のマネキン』や姉妹グループの欅坂46全体のコンセプトへと繋がっていくのである。


『音が出ないギター』は、
本当の意味で破天荒なRock 'n' Rollと言える。


・問.「剥き出しの~が寒い」とありますが、これは「俺」のどのような心情を表したものか答えなさい。

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『音が出ないギター』で押さえておくべきは、冒頭の歌詞である。

剥き出しのコンクリート凭れながら
夜と世間の温度が落ちて 背中が寒い

- 出典:『音が出ないギター』/ 作詞:秋元康 作曲:Jam9、ArmySlick

 実際にやってみるとわかるが、壁にもたれる時は必ず肩か腰で体を支えるので、自然と背中が浮いた状態になる。
つまりこの歌詞は、その浮かしたところに冷たい夜風が吹き込んできて背中が寒いことを歌っているのである。


しかし、それだけではマルはもらえない。
この問題の肝となるのは「夜と世間の温度が落ちて」の歌詞を読み解けるかどうかである。

「夜と世間の温度が落ちて」が暗示するものは、さらに聴き進むと見えてくる。

ライブハウス
ステージ中
ベースの奴と殴り合って
「もう解散しよう」と
アンプを切られた

- 出典:『音が出ないギター』/ 作詞:秋元康 作曲:Jam9、ArmySlick

どうやらこの主人公は、仲間とうまくいっていないようだ。

さらに、

やって来たタクシーに乗車拒否され
肩から掛けたギターケースがやけに思い

- 出典:『音が出ないギター』/ 作詞:秋元康 作曲:Jam9、ArmySlick

という歌詞から、世間に相手にされていない様子が伺える。


以上のことから、実は冒頭の歌詞が

「世間やバンド仲間との温度差を感じ、孤独にさいなまれる主人公の心情」

を表現していることに気付ければ、第一志望合格間違いなしである。


▼おわりに

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西野七瀬&若月佑美(わかせまる?)の関係性をメインにしたドラマ仕立てのMVは、どれも名作揃いだ。
『音が出ないギター』のMVは、その第一弾とも言うべきものなのでぜひ見ていただきたい。

では、また明日。 stay tuned!


((脚注))

※1)原義はフランスの女子学生という意味。初期の乃木坂46のコンセプトを表すキーワードとして秋元康が掲げた。詳しい話は第7回 乃木坂46が求めた「コンセプト」 – web青い弓「乃木坂46とリセエンヌ」の項を読んでいただきたい。

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