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UIデザイナー ×「データモデリング」というスキルの掛け算はありなのか?

ここで言っているUIデザイナーとは、スマホアプリやWebサービスの導線や画面をデザインする方を想定しています。出版物やグラフィックデザイナー等は想定外となっています。

アプリ、Webサービス、業務システムという形態の違いはありますが、UIデザインが決まったら、バックエンドの開発を進めるために、どんなデータを操作できるようにすればよいのかを決める必要があります。

その作業をある程度UIデザイナーの方ができるようになれば、バックエンドを担当するエンジニアや開発チームとのコミュニケーションがかなり円滑になるのではと期待しています。

また、業務アプリケーションの外部設計を担当する場合も、画面とデータのデザインが出来るとなれば、要件定義を進めていく大きな手助けになると考えています。

ユーザーの行動をデザインできるUIデザイナーが、データ構造に対する理解が深まると、ユーザペインの解消及びUXの向上が期待できる上に、当該システムを利用する全てのステークホルダーに良いものを届けられるような気がしております。

データモデリングとは?

ユーザーがやりたいこと(ここでは業務と言います)は、多岐にわたります。仮に10の業務があったとしたら、その10の業務で生み出されるデータを保存できるようにしなければなりません。

データの保存にはデータベースを利用します。現在は、リレーショナル・データベース(以下RDB)がデファクトなので(今後もでしょうが)、データモデリングというのはユーザーの業務から発生する情報の流れを俯瞰して、RDBに保存できる形式へ落とし込むスキルのことを指します。

リレーショナル・データベースが、データを保存する形式は極めてシンプルです。

これだけです。

ブックに該当するのがデータベースです。シート名に該当するのがテーブルです。1つのブックに複数のシートが作成できるのと同じで、データベースには複数のテーブルを作成することが出来ます。テーブルは列と行で構成された一覧表、です。世の中のシステムの殆どは、こういうフォーマットでデータを保存しています。

データモデリングのエッセンス

そんな感じで、データモデリングでやることは、「テーブルを作って、そのテーブルにどんな列をもたせればよいのか」を決めるだけです。先にテーブル、次にカラムになります。

それらを決めるわかりやすい判断基準は、「テーブルが情報の持ち主、カラムが持ち主の性質を表す属性」です。

商品には、商品名や値段などがあります。商品はそれ自体独立した概念ですが、「値段」や「名称」は持ち主を伴わないと意味をなしません。ユーザーの名前なのか商品の名前なのかで、意味が異なるためです。こういうのは属性(カラム)です。商品のように複数の属性で構成される概念は、テーブルになりえます。

属性を集めていくと、共通項が見えてくるはずです。グルーピングと言っても良いですね。これらの属性を併せ持つものは、XXと言える、という感じで抽象化することで、言葉として認識できるようになります。これが重要です。ソフトウェアの世界では特に。

私などは、以下の3つの観点でテーブルの対象を見つけるようにしています。

ヒト・・・システムで登場する人物像モノ・・・システムで取り扱う資産・サービスコト・・・システムを通じて行われる行動・出来事

ホテルの予約システムをデザインする場合、データモデリングの観点で言いますと以下のようになります。これだけではありませんが、一例ということで。

ヒト・・・顧客(一見さん)、会員、従業員モノ・・・プラン、お部屋、お部屋の種別、お部屋の設備コト・・・予約を受付する、問い合わせ、決済する、キャンセル、空き状況確認

誰が、誰に、どんなサービスを、どうやって提供しているのか。これらを整理する軸としては、「ヒト・モノ・コト」が最もわかりやすいです。

なので、データモデリングのスキルを身につけるのは、上記のような思考ロジックさえインプットすればよく、プログラミングの経験がなくても行けると思います。

データモデリングができるようになると、業務(ドメイン知識?)に対する理解度が一段上がるはずです。仕事の流れと情報の流れが紐づくので、業務を深読み・及び先読みが出来るようになります。これらが出来ると、ゴールから逆算して、そもそも一連の業務の流れはこういう情報を流れるように変えるべきでは、という仮説が作れるようになります。

言い方は悪いですが、ユーザーの言うことを鵜呑みにせず、当該業務で流れている情報は本来こうあるべきだ、という発想もできるはずです。これは、特に業務系で必要な力になります。一般ユーザーは、情報の流れにほとんど着目しませんから。やること変わって流れる情報変わらないなら、意味がない。焼き直しになっているだけです。そういうエセ業務改善はもう嫌だな〜。

C向けでもB向けでも、UIを操作することで作成させる情報の性質を変えることでユーザーに提供する価値が増すはず。そのために必要な武器が、データモデリングではないでしょうか。

という話を長々書きました。

それでは。

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