見出し画像

ChatGPTの数学的な能力が向上したというのでテストしてみた

 今年(2023年)1月30日にChatGPTがアップグレードされて、数学的能力などが向上したというので、どのくらい向上したのかテストしてみました。

ChatGPTのリリースノート


1.計算問題

〇掛け算
 123*456=
 123*456=56088 正解
 12345*67890=
 12345 * 67890 = 83810350 不正解
  正解は838102050なので、かなり惜しいです。
 12345678*90123456=
 12345678 * 90123456 = 11111111088888888 不正解
  正解は1112635168023168。人間と同じで桁数が大きくなると無理なようです。ちなみに、ノイマン博士は、8桁×8桁の掛け算を暗算できたそうです。

〇割り算

 10を3で割った商と余りを求めよ。
 商は3、余りは1である。正解
 2023を21で割った商と余りを求めよ。
 商は96、余りは5である。不正解
  商は96で正しいが、余りは7。余りを求めるのは苦手なようです。

〇累乗
 5^10=
 5^10=9765625 正解
 13^6=
 13^6 = 1784783600 不正解。正解は4826809
 5^20=
 5^20 = 95367431640625 正解

〇分数計算

 3/4掛ける2/3の答えを分数で答えなさい。
 積は3/4 * 2/3 = 6/12 = 1/2である。正解
 8/9割る2/3の答えを分数で答えなさい。
 除算結果は、8/9 ÷ 2/3 = (8/9) * (3/2) = 24/18 = 4/3 となる。正解

〇平方根

 529の正の平方根を求めよ。
 529の平方根は約23.028である。不正解。惜しいが、正解は23
 4092529の正の平方根を求めよ。
 4049529の平方根は6364である。不正解
  正解は2023。桁数が大きくなると難しいようです。

〇対数計算

 2log10(2)+log10(8)=
 2log10(2) + log10(8) = 0.301 + 0.903 = 1.204. 不正解
  正解は5log10(2)=1.505

〇因数分解

 2x^2+3x-2を因数分解しなさい。
 2x^2 + 3x - 2 という式は、(2x + 2)(x - 1)と因数分解できる。不正解
  正解は(2x-1)(x+2)

 x^3-1を因数分解しなさい。
 x^3 - 1という式は、(x - 1)(x^2 + x + 1)と因数分解できる。正解

〇三角関数

 cosθ=3/5 のとき、sinθとtanθの値を求めよ。
 cosθ = 3/5 のとき、ピタゴラスの恒等式 sin²θ + cos²θ = 1 を用いて、sinθを求めることができる。
sin²θ = 1 - cos²θ = 1 - (3/5)² = 1 - 9/25 = 16/25
だから、sinθ = ±√(16/25) = ±4/5
sinθの符号は、角度θが単位円のどの象限に位置するかで決まる。
tanθの値は、この関係式を用いて求めることができる。
tanθ = sinθ/cosθ = sinθ/(3/5) = (±4/5)/(3/5) = ±4/3
ここでも、tanθの符号は、角度θが単位円内のどの象限にあるかによって決まる。正解

 0≦θ<2π のとき、√2cosθ−1=0の方程式の解を求めよ。
 方程式√2cosθ - 1 = 0は、両辺に1を加えることでcosθを解くことができる。√2cosθ = 1
両辺を2乗する。2cos²θ = 1
両辺を2で割る cos²θ = 1/2
両辺の平方根をとる cosθ = ±√(1/2)
0 ≦ θ < 2πなので、cosθは正の値しかとれない。だからcosθ = √(1/2)
対応する角度θは逆コサイン関数(cos^-1)、別名アークコサインを使って求めることができる。θ = cos^-1(√(1/2))
θの解は区間[0, π/2]にあるので、θ = π/3。不正解
正解はπ/4と7π/4。答えを出す過程は、一見、正しそうですが、よく見ると間違いだらけです。両辺を2乗する必要はなく、そのせいで正負の符号がおかしくなっています。0≦θ<2πでcosθは負の値も取れます。cosθ = √(1/2)からθの値を求めるのにわざわざ逆コサイン関数を用いる必要もありません。cos45°=√(1/2)です。

〇微分・積分
 関数y=(x+1)(x+2)を微分せよ。
 関数 y = (x + 1)(x + 2) の微分は、微分の積の法則を使って求めることができる。積の法則によると、2つの関数 f(x) と g(x) の積の微分は次式で与えられる。
d/dx [f(x)g(x)] = f(x) * d/dx [g(x)] + g(x) * d/dx [f(x)] である。
これを関数y = (x + 1)(x + 2)に当てはめると、次のようになる。
y = (x + 1)(x + 2)
dy/dx = d/dx [(x + 1)(x + 2)] となる。
dy/dx = (x + 2) * d/dx (x + 1) + (x + 1) * d/dx (x + 2)
dy/dx = (x + 2) + (x + 1)
dy/dx = 2x + 3
つまり、y = (x + 1)(x + 2)の微分は2x + 3である。正解
ただし、y=x^2+3x+2に展開してから解く方が簡単だと思います。

問 関数 y = 3x^2 + 2x + 1 の不定積分を求めよ。
 関数 y = 3x^2 + 2x + 1 の不定積分は、積分のべき乗則を使って求めることができる。べき乗則によれば、x^n(n は定数)の不定積分は次式で与えられる。
∫ x^n dx = (x^(n+1))/(n+1) + C
ここで、C は任意の積分定数です。
これを関数y = 3x^2 + 2x + 1に適用すると、次のようになる。
y = 3x^2 + 2x + 1
∫y dx = ∫ (3x^2 + 2x + 1) dx
∫y dx = (3x^3)/3 + x^2 + x + C
ということで、y = 3x^2 + 2x + 1 の不定積分は (3x^3)/3 + x^2 + x + C になる。正解 
一応正解としましたが、(3x^3)/3はx^3とすべきであり、正解はx^3+x^2+x+C

 関数y=x/(x-1)を微分せよ。
 関数 y = x / (x - 1) の微分は、微分の商の法則を使って求めることができる。商の法則によれば、関数y = f(x) / g(x)の微分は次式で与えられる。
dy/dx = (g(x) * df/dx - f(x) * dg/dx) / g(x)^2
これを関数y = x / (x - 1)に適用すると、次のようになる。
y = x / (x - 1)
dy/dx = (x * d/dx [(x - 1)] - (x - 1) * d/dx [x]) / (x - 1)^2
dy/dx = (x * 1 - x + 1) / (x - 1)^2
dy/dx = 1 / (x - 1)^2
つまり、y = x / (x - 1) の微分は、1 / (x - 1)^2 です。不正解
正解は-1/(x-1)^2。公式は正しいのに、分母のf(x)=xとg(x)=x-1を逆にして計算しています。

問 
関数y=(sin(x))^3の不定積分を求めよ。
 関数 y = (sin(x))^3 の不定積分は、初等関数で表すことができない。この関数の逆微分を求める方法として、u = sin(x) という代入が考えられる。合成関数の微分公式により、次のようになる。
du/dx = cos(x)
dx = du / cos(x)
u = sin(x) を y = (sin(x))^3 に代入すると、次のようになる。
y = u^3
dy/dx = 3u^2 * du/dx
= 3u^2 * cos(x)
両辺をxに関して積分すると、次のようになる。
∫y dx = ∫ (3u^2 * cos(x)) dx
= -u^3 * sin(x) + C
= -sin(x)^3 * sin(x) + C
ここで、C は任意の積分定数である。
つまり、y = (sin(x))^3 の不定積分は -sin(x)^3 * sin(x) + C となる。不正解
正解は{(cos(x))^3}/3-cos(x)+C。
解き方は、t=cos(x)とおくと、dt/dx=-sin(x)よりdt=-sin(x)dx
よって、∫{(sin(x))^3}dx=∫{(sin(x))^2}*sin(x)dx=∫{1-(cos(x))^2}*(-1)dt
=∫(t^2-1)dt=(t^3)/3-t+C
これにt=cos(x)を代入して、{(cos(x))^3}/3-cos(x)+C

※回答の精度を上げるため、実際には英語で質問し、回答を和訳しています。

 桁数が大きい計算は苦手で、計算ミスもかなり多いようです。また、難しい公式を知っていますが、公式を正確に運用する能力に欠けているようです。まだ数学的能力が高いとは言えないようです。

 しかし、ChatGPTのような汎用的な言語モデルに高い数学的能力が本当に必要なのかは疑問です。正確に推論する能力さえあれば、必要な時に計算プログラムを呼び出せばよいだけのように思います。


2.文章問題

 算数・数学の文章問題に正解するためには、数学的能力と合わせて、文章の意味を正確に理解する能力が重要です。

(1) 基本的な文章問題

〇簡単な四則計算
 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。最初、バスには5人の乗客がいた。その後、2人が降り、3人が乗ってきた。現在、バスには何人の乗客が乗っているか?
 当初、バスには5人の乗客が乗っていた。乗客が2人降りたので、乗客が2人減り、バスには5人-2人=3人が残っている。3人乗ったら3人増えたので、3+3=6人乗っていることになる。だから、現在バスには6人の乗客がいる。正解

 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。5人の子供に3個ずつのキャンディをあげる場合、全部で何個のキャンディが必要か?
 5人の子供にそれぞれ3個ずつお菓子をあげるとすると、必要なお菓子の総数は、子供の数にそれぞれの子供がもらうお菓子の数をかければ求められる。子供5人×3個/子供=15個のお菓子ということで、合計で15個のお菓子が必要になる。正解

〇時間の計算
 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。A君は1時間に120頁読むことができる。A君が500頁の本を読むのに何時間何分かかるか?
 500ページの本をA君が読むのにかかる時間を求めるには、本のページ数をAさんが1時間に読めるページ数で割ればよい。時間=500ページ÷120ページ/時間=4時間20分ということで、Aさんが500ページの本を読むには4時間20分かかることになる。不正解。正解は4時間10分

〇つるかめ算
問 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。鶴の足は2本、亀の足は4本である。鶴と亀を合計すると5匹で、足の数を合計すると14本である。その場合、亀は何匹いるか?
答 亀の数をxとする。そして、総動物数から亀の数を引くと、鶴の数が分かる。:5 - x = 鶴の数
足の総数は14本なので、次の式が書ける。:2 * (5 - x) + 4x = 14
方程式を展開する。:10 - 2x + 4x = 14
簡略化する。:10 + 2x = 14
両辺から10を引く。:2x = 4
両辺を2で割る。:x = 2
したがって、亀は2匹である。正解

〇ピタゴラスの定理
 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。直角三角形において、直角を挟む2辺の長さがそれぞれ3センチと4センチのとき、斜辺の長さは何センチか?
 直角三角形の斜辺の長さは、直角を挟む2辺の2乗の和が斜辺の長さの2乗に等しいというピタゴラスの定理を利用して求めることができる。この場合、直角を挟む2辺の長さは3cmと4cmなので、次のように書ける。
3^2 + 4^2 = c^2
式を展開すると:9 + 16 = c^2
足し算をする。:25 = c^2
両辺の平方根をとる。:c = 5
ということで、斜辺の長さは5cm。正解

※回答の精度を上げるため、実際には英語で質問し、回答を和訳しています。

 ここまでの文章問題は、前回1月22日に「Perplexity AskとChatGPTの性能を比較してみた」の記事でChatGPTに質問したときに既に正解しているので、今回のアップグレードで初めて解けるようになったものではありません。

 今回、ChatGPTには、さらに難しい文章問題にも挑戦してもらおうと思います。

(2) 難しい文章問題

〇仕事算
 次の問いに、段階的に推論して答えなさい。ある仕事をするのにAは20日掛かり、Bは30日掛かります。AとBが協力すると、この仕事を何日でできるか?
 AとBが一緒に働く効率をxとすると、次の式が書ける。
x = 1/[1/20 + 1/30]
xを求めるには、逆数の和の公式を使えばよい。
x = 1/[1/20 + 1/30] = 1/[(30 + 20)/(20*30)] = 1/[50/(20*30)] = 1/[50/600] = 1/0.083 = 12
つまり、AとBが一緒に働くと12日で仕事ができることになる。正解
効率をxとするのであれば、x=1/20+1/30として、1/xを求めた方がよいと思いますが、式も答も合っています。

〇旅人算
問 
次の問いに、段階的に推論して答えなさい。太郎は午前8時に、毎分60mで歩いて家から学校へ向かいました。寝坊した次郎は午前8時15分に、毎分150mの自転車で家を出発しました。次郎は、太郎を途中で追い越し、太郎よりも9分早く学校へ着きました。家から学校までの距離は何mですか?
 この問題に答えるには、太郎君と次郎君が学校に到着した時刻を求め、二人の家から学校までの距離を計算する必要がある。
太郎君の到着時刻:太郎君は午前8時に自宅から歩き始め、1分間に60mの速さで歩いたので、学校に到着するまでにx分かかった。よって、到着時刻は8時+x分となる。
次郎君の到着時間:次郎君は午前8時15分に自宅から自転車で出発し、1分間に150mの速度で走ったので、学校に着くまでにy分かかった。したがって、彼の到着時刻は8時15分+y分である。
到着時刻の差:次郎君は太郎君より9分早く学校に着いたので、y - x = 9。
距離の計算:次郎君は太郎君より速いペースで自転車を走らせたので、次郎君が学校に着くまでにかかった時間の合計はxより小さいはずである。したがって、太郎君と次郎君が移動中にかかった距離を足せば、家から学校までの距離が計算できる。すなわち、60x + 150y = d であり、d は家から学校までの距離である。
x と y を解く。手順1〜3の情報を使って,x と y を解くことができる。
y - x = 9
y = x + 9
y = x + 9 を手順 4 の距離の式に代入すると、次のようになる。
60x + 150(x + 9) = d
となり、第2項を展開すると
60x+150x+1350=d
同じような項を組み合わせると
210x + 1350 = d
最後に、x を解くと、次のようになる。
x = (d - 1350) / 210
dの値を代入して答えを求めます。家から学校までの距離である d の値を求める必要がある.残念ながら,この問題にはこの情報がないので,正確な距離を求めることはできない.不正解
正解は2400m。y-x=9も60x+150y=dも全て間違っています。
解き方は、次郎君は太郎君よりも15分遅く出て、9分早く着いたので、
x-15-9=y、つまり、x=y+24
また、太郎君は毎分60mでx分かかり、次郎君は毎分150mでy分かかったので、60x=150y(=d)、両辺を30で割って、2x=5y
2x=5yにx=y+24を代入して、2(y+24)=5y
これを解くと、2y+48=5y、3y=48、よって、y=16
したがって、d=150*16=2400
答は、2400mとなります。

〇確率
問 
男子5人と女子4人がくじ引きで1列に並ぶとき、男女が交互に並ぶ確率を求めよ。
 5人の男の子と4人の女の子を交互に並べる方法の数は、9!(9の階乗)であり、これは可能な結果の総数である。5人の男の子と4人の女の子が交互に並ぶように並べる方法は、(5! * 4!)である。
男子と女子が交互に並ぶ確率は、好ましい結果の数(5!* 4!)を可能な結果の数(9!)で割ることによって求めることができる。つまり、確率は、(5! * 4!) / 9! = 4!* 5!/ 9! = 4 * 120 / 40320 = 120 / 10080 = 1 / 84.
よって、くじ引きで男子と女子が交互に並ぶ確率は1/84となる。不正解
正解は1/126。考え方は合っていますが、(5!*4!)/9!の計算ミスです。


〇積分
問 
放物線 y=x2-3x と x 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
 放物線y = x^2 - 3xとx軸で囲まれた図形の面積は、極限x = 0とx = 3間の関数y = x^2 - 3xの定積分で与えられる。極限 x = 0 と x = 3 の間の関数 y = x^2 - 3x の定積分は、次式で与えられる。
S = ∫_0^3 (x^2 - 3x) dx
= ∫_0^3 x^2 dx - ∫_0^3 3x dx
= [x^3/3]_0^3 - [3x^2/2]_0^3
= (3^3/3) - (3^2/2) - (0^3/3) + (0^2/2)
= 9/3 - 9/2
= 3/2 - 9/2
= -3/2.
よって、放物線y = x^2 - 3xとx軸で囲まれた図形の面積Sは-3/2である。
不正解 正解は9/2。定積分の式は、マイナスを付け忘れている以外は合っていますが、ここでも計算ミスをしています。
S=-∫[0→3](x^2-3x)dx=-[(x^3)/3-(3x^2)/2][0→3]
=-{(3^3)/3-(3*3^2)/2}=-(9-27/2)=-(-9/2)=9/2

○三角関数
問 
三角形の3辺の長さがa=√13、b=3、c=4のとき、この三角形の外接円の半径を求めよ。
答 
三角形の外接円の半径は、次の式で計算できる。:r = (abc) / (4K)
ここでKは三角形の面積であり、ヘロンの公式で計算できる。:K = √[s(s-a)(s-b)(s-c)]
s は三角形の半周で、(a + b + c) / 2 として計算される。
a,b,cの値を代入すると、
s = (√13 + 3 + 4) / 2 = 7.5
K = √[7.5(7.5 - √13)(7.5 - 3)(7.5 - 4)] = 6
r = (√13 * 3 * 4) / (4 * 6) = (√13 * 2) / 2 = √13 不正解
正解は(√39)/3。外接円の半径と三角形の面積の定理、ヘロンの公式を使った解法の考え方は正しいですが、後半3行の計算は、すべて間違っています。例えば、s=(√13+3+4)/2=(√13+7)/2≒5.3が正しい。

この解き方では計算が面倒なので、三角関数の余弦定理と正弦定理を使って解くことにします。
cosA=(b^2+c^2-a^2)/2bcにa,b,cを代入して、
cosA={3^2+4^2-(√13)^2}/2*3*4=12/24=1/2
(sinA)^2+(cosA)^2=1より、
(sinA)^2=1-(1/2)^2=3/4
0<A<π/2より、sinA=(√3)/2
外接円の半径をRとおいて、正弦定理より、2R=a/sinA
これにa=√13とsinA=(√3)/2を代入して、
2R=(√13)/{(√3)/2}=(2√13)/(√3)=(2√39)/3
したがって、R=(√39)/3

※回答の精度を上げるため、実際には英語で質問し、回答を和訳しています。

 現在のChatGPTは、数学的な知識はあっても計算力が弱いので、少し計算が複雑になると正解を出すことができません。
 大学入試の問題も解かせようと思っていましたが、教科書の基本問題レベルでつまずいていますので、まだ無理なようです。
 一つの言語モデルだけで全部やろうとせずに、Wolfram Alphaのような数学専門のプログラムを呼び出して使えるようにした方がよいように思いますが、どうでしょうか。


3.事実性の向上に関するテスト

 今回のアップグレードでは、事実性(事実に基づいて正しく回答すること)についても向上したというので、その点についてもテストしてみました。
 以下は、前回、Perplexity Askとの性能比較の際に尋ねたのと同じ質問で、前回の回答と比較してみました。

 西暦208年に中国で起きた戦いは何か?
前回の回答 赤壁の戦いは、三国時代の西暦208年に中国で起こった戦いである。東呉の軍と曹魏・蜀漢の連合軍との間で戦われた。この戦いは東呉・蜀漢連合軍の決定的な勝利であり、中国の歴史上最も有名な戦いの一つとされている。
今回の回答 赤壁の戦いは、三国時代の西暦208年に中国で起こった戦いである。曹操軍と孫権・劉備の連合軍との間で戦われ、孫権・劉備の決定的な勝利に終わった。中国史上、最も有名で重要な戦いの一つとされている。
※今回の回答の方が、誰と誰が戦ったのかが正確になっています。

 1205年に日本で起きた畠山重忠の乱について教えてください。
前回の回答 畠山重忠の乱は、1205年に日本で起こった反乱です。鎌倉時代の有力武将であった畠山重忠が主導しました。鎌倉幕府は12世紀末に源氏によって設立された軍事政権でした。しかし、この反乱は失敗に終わり、重忠は戦死しました。この乱は、鎌倉幕府の弱体化と有力大名の不満を露わにし、鎌倉幕府に大きな影響を与えました。
今回の回答 畠山重忠の乱は、平安時代末期の1205年に日本で起こった反乱である。畠山重忠は有力な武士であり、鎌倉幕府に反旗を翻し、幕府を倒そうとした。この反乱はほとんど失敗に終わり、畠山重忠は最終的に敗北し、京都の都から逃げることを余儀なくされた。
畠山重忠の乱は失敗したものの、有力武士が鎌倉幕府の権威に挑戦した最初の試みの一つであり、この時代の日本における武士階級と政府との間の緊張が高まっていることを示すものとして重要であった。
※どちらもかなり間違っています。乱がおきたのは鎌倉時代です。重忠に反乱の意思はなく、北条氏による有力御家人粛清のための謀略だと言われています。また、現在の横浜市の二俣川の戦いで重忠は戦死しており、京都は関係ありません。

※回答の精度を上げるため、実際には英語で質問し、回答を和訳しています。

 これだけでは、事実性が向上しているか分からないので、新しい質問を投げかけてみます。

 日本で発見された世界最大の昆虫について教えてください。
 日本で見つかった世界最大の昆虫は、国内原産の飛べないコオロギの一種である巨大なウェタである。巨大なウェタは長さ10センチまで成長し、最大70グラムの重さがあり、世界最大の昆虫の1つとなっている。彼らは日本の本州、四国、九州の小さな島々に見られ、その大きなサイズと動きの遅いことで知られている。巨大なウェタは、生息地の喪失と非在来種による捕食のために絶滅危惧種と考えられている。巨大なウェタとその生息地を保護するための保全活動が進行中である。
※世界最大の昆虫とも言われるジャイアントウェタはニュージーランドの原産です。回答が見つからない時に、それらしい話を作ってしまうChatGPTの悪い癖(ハルシネーション)は、まだ残っているようです。

問 
カノッサの屈辱について詳しく説明してください。
 カノッサの屈辱は、神聖ローマ皇帝アンリ4世と教皇グレゴリウス7世が対立した「叙任権闘争」中の1077年1月に起こった出来事である。この闘争は、世俗的な支配者が司教や修道院長に精神的な権威の象徴を与える「聖職叙任」の問題が中心であった。教皇グレゴリウス7世は聖職叙任に反対し、司教の任命に関して教皇庁の権威を主張しようとした。
 1075年、グレゴリウス7世はヘンリー4世を破門し、皇帝の座から退かせることを宣言した。これに対し、ヘンリーは軍隊を集め、グレゴリウスに破門を撤回させるつもりでローマに向かって進軍した。しかし、北イタリアのカノッサに到着したヘンリーは、譲らない教皇に直面することになった。グレゴリウスは、ヘンリーが公の懺悔をし、赦しを請うまで、ヘンリーを迎えることを拒んだ。
 ヘンリーは、教皇が滞在しているカノッサ城の門の外で、雪と雨の中、3日間立ち続けることを余儀なくされた。3日目にグレゴリウスはヘンリーを赦免し、破門を解除したが、この出来事は「叙任権闘争」の転機となり、教皇の皇帝に対する権力を示すものとして広く認識されている。カノッサの屈辱は、中世ローマ教皇庁の歴史の中で最も重要な出来事の一つとされ、教皇庁と世俗的支配者の関係に永続的な影響を与えたとされる。
※特に誤りはなく、問題ありません。

問 
日本の最近の実写SF映画について教えてください。
 日本では、実写のSF映画が数多く製作され、その多くが国内外で人気を博している。最近の日本の実写SF映画の代表的な作品には、以下のようなものがある。
・「シン・ゴジラ」(2016)-本作は、ゴジラ・シリーズのリメイク作品であり、古典的な怪獣を新しい解釈で描いているのが特徴である。庵野秀明と樋口真嗣が監督を務め、その特撮と現代日本社会への批評が高く評価された。
・「寄生獣」「寄生獣 完結編」(2014)-この2作品は、人気漫画シリーズを原作とし、エイリアンの寄生生物に感染し、手を支配された高校生の姿を描いている。主人公が地球を脅かす他の寄生生物と戦う中で、アイデンティティと人間性というテーマを探求する作品である。
・「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」 (2015) - この映画は、同名の人気漫画及びアニメシリーズをベースにしている。巨人と呼ばれる巨大な人型生物から自分たちの街を守る若い戦士たちの姿を描いている。この映画はシリーズのファンから好評を博し、その特殊効果とアクションシーンが高く評価された。
 これらは、最近の日本の実写SF映画のほんの一例であり、日本はこのジャンルで新しく革新的な作品を生み出し続けているのである。
※細かい表現以外は、特に問題ありません。ただし、進撃の巨人の実写映画がファンから高く評価されたかは疑問です。また、最近の日本映画には、実写SF映画は、あまり多くないように思います。

問 
サイズと形が同じ重い球と軽い球を高い塔の上から落とすと、どちらが先に地面に着きますか? ただし、空気抵抗は考えないこととします。
 空気抵抗を考慮しないと、同じサイズと形状の重い球と軽い球の両方が同時に地面に到達する。これは、球に作用する唯一の力が重力であり、重力は質量に関係なく、両方の物体に等しい力で作用するためである。したがって、重力による加速度は両方の球で同じであり、それらは同じ速度で落下し、同時に地面にぶつかる。
同時に地面に到達するというのは正解。ただし、「重力は質量に関係なく、両方の物体に等しい力で作用する」という説明は誤り。重力は質量に比例して大きくなる。

更問 では、空気抵抗も考慮するとどうなるでしょうか?
 空気抵抗を考慮すると、重い球が先に地面に当たる可能性があるが、衝撃の時間差は非常に小さい。その理由は、球に作用する重力は同じままだが、球にかかる空気抵抗の量は、球の質量、サイズ、形状、速度に依存するためである。
  一般に、空気抵抗は物体の速度の2乗に比例するため、重い物体は軽い物体よりも多くの空気抵抗がかかる。したがって、重い球の終端速度が軽い球よりもわずかに大きい場合、空気抵抗がわずかに高くなり、軽い球よりもわずかに遅くなる。その結果、重い球が先に地面に到達する。
  ただし、2つの球の落下に対する空気抵抗の影響は多くの要因に依存し、実際には非常に小さい場合がある。さらに、球の形状とサイズも、球にかかる空気抵抗の量に影響を与える可能性があるため、実際のシナリオでどちらの球が先に地面に到達するかを確実に言うことは困難である。
重い球が先に地面に到達するというのは正解。しかし、重い球の方が遅くなるので先に地面に到達するという説明はおかしい。サイズ、形状が同じなら、軽い球の方が空気抵抗の影響を受けて速度が落ちやすく、重い球の方が先に地面に到達する可能性が高い。

※回答の精度を上げるため、実際には英語で質問し、回答を和訳しています。

 これ以外にも色々と質問してみましたが、細かい事実関係の誤りはあるものの、明らかに嘘の作り話というものは、あまり見つかりませんでした。はっきり確認はできませんでしたが、事実性も改善されているのでしょうか。


この記事が参加している募集

数学がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?