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【活動報告③】磯焼け対策のビジネス化ーウニの移植について

消えかけている海の森を維持・回復させ、豊かな海を次世代に残すために立ち上がったISOP(=Ishinomaki Save the Ocean Project)。2020年4月から始まったこのプロジェクトは、海藻が減っていく「磯焼け」を食い止めるべく、ウニ駆除や海中造林といった活動を続け、海藻を増やす取り組みをしてきました。

この活動を長期的に実施していくためには、活動資金を集めることも必要です。そこで私たちは今年度、磯焼け対策のビジネス化にも取り組んできました。この記事では2021年4月から12月に行ったウニの移植の動きをご紹介します。

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ウニの移植は、ウニが大量に発生している海域からウニを駆除し、海藻が豊富な場所に移動させることでウニの密度を管理する取り組みです。これまでに行った移植の回数は計5回(6月に1回、7月に2回、8月に1回、9月に1回)。移植したウニの数は、なんと20,750個(約1.6トン)にもなります。

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駆除したウニを移植する際の様子。1㎡あたりウニ2個になるよう調整し、密度管理を行う。

この取り組みが、なぜ磯焼け対策のビジネス化につながるのでしょうか。一言で言うと「移植したウニが売り物になる」からです。

かつては、多くの漁師がウニを獲り利益をあげていました。しかし、一度ウニの身入りが悪くなると漁師はウニを獲らなくなります。そこに「ウニの身入りが悪い→ウニを獲らない→ウニが増え、海藻を食べ尽くす→ウニの実入りが悪い」と言う悪循環が発生しました。

ISOPでは、ウニが大量発生している海域から、海藻の多いエリアにウニを移植する「密度管理」をすることで、ウニと海藻のバランスをとろうとしています。その結果、ウニの身入りが回復する可能性があるのです。

ウニの身入りが良くなれば、ウニ漁も少しずつ増え、漁師の収益アップにつながります。すると、「ISOPを続けよう」と漁師のやる気も上がり、継続的に活動を続けることが可能となります。

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実は、このウニの密度管理、結果が出始めています。昨年、移植(密度管理)を実施した海域のウニが今年の夏に出荷できるほどまでに成長しました。そして、地元の漁師がウニ漁を行い、約1.5トンのウニを販売することができたのです。地域内で、ISOPの効果が「売り上げ」という形で明らかになったことで、継続的に資源を管理していく流れができています。

ISOPでは、今後も磯焼け対策の取り組みを続け、情報を発信していきます。
海の多様性を守るために、わたしたちに何ができるのか?これからも伝えていきます。

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