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みんユルクロニクル#10 『COME ON EVERYBODY』

※前回までのお話はこちら。みんユルクロニクル#8『青と赤の旗の下に』

SELF CONTROL

2020年5月21日 木曜日 12:30

 みんなでユルネバ KIMIKA Special ver.が公開されてから30分後、ちーかまさんが起きてきた。
 ※ちーかまさんがTwitterアイコンを変更されたため、この回からリンクとスクショで違うアイコンになっています。ぼくらがこの時やりとりしていたのは、例のおっさんではなく、鍵盤にドロンパのちーかまさんになります。

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 プロのシンガーが歌った映像だったこともあるのか、タイムラインには、著作権について心配するツイートが散見された。しかし、こと権利関係への配慮に関しては、スタッフ全員、プロジェクト開始時からかなり気を使っている。このあたり、ファンメイドの制作物はゆるくなりがちではあるのだが、あまりにグレーなものをリリースするのは嫌だったので、特に申し合わせていた訳でもなく、著作権遵守の方針は共通意識として常にあった。

 楽曲「You'll Never Walk Alone」は元々、ミュージカル「回転木馬」のために1945年に製作されている。作曲はリチャード・ロジャース、作詞はオスカー・ハマースタイン2世。ハマースタインは1960年没だが、ロジャースの没年は1979年で、死後50年守られる著作権はまだ残っており、P.D(パブリック・ドメイン。知的財産権の消滅した状態。公有)とはなっていない。
 そのため、ちーかまさんは楽曲使用に関してかなり最初の段階でJASRACに連絡をとってくれていた。その結果、YouTubeはJASRACと包括契約を結んでおり、既存の権利を犯さず、新しく作った音源で歌った映像を非営利目的に使用するのであれば問題ない、という確認をもらっていた。いわゆる「歌ってみた」系動画と同じ扱いになる、ということだ。

 また、チームのPR活動と見なされた瞬間に営利目的と判断されるので、クラブとの距離感も常に意識していた。完成後、スタジアムで流してほしい!とのありがたい感想も多数いただいていたのだが、それを行うと支払い義務が発生することになるので不可能なのです。

 クラブ側も表立っての協力はできないものの、応援してくれようとしている気配は所々で感じていた。このへんは本当にデリケートな話。内々に色々お気遣いさせてしまったかと想像します。申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。

 また、プロジェクト内で制作した一連のグラフィックデザインにおいても、oomiさんは出どころの怪しい写真は使用しない、また写真を使用する際は必ず了解を得る、という方針を徹底していた。ただし、ちーかまさんに聞いてもoomiさんに聞いても、同じように答えると思うが、これらは特に威張るような話でもない。ネットに落ちていた写真を使っちゃいました、みたいな危険な真似など業務上絶対にありえない。

 KIMIKA Special ver.の評判は上々だった。感動した、素晴らしかった、という感想とともに、KIMIKAさんの凄まじい歌の圧倒されず、自分も頑張ってみよう!というツイートもたくさんあった。ポジティブな方向に作用してくれたのは本当に嬉しかった。

 公開が始まって休む暇もなく、oomiさんは夜にリリースするカウントダウングラフィックの仕上げに入っていた。数日前から仕込んでくれていたのだが、この日がちょうど締め切り3日前、カウントダウン開始のタイミングだった。

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 ほぼすべてをTwitter上で完結させている(スタッフ間の連絡ですらDMなのだから)このプロジェクトで、このカウントダウングラフィックはとても重要な役割を果たしていたと思う。期待感焦燥感を同時に演出しつつ、毎日同時刻にリリースすることでプロジェクトの存在を常に新しい記憶としてアップデートしてもらえる。その、最初のリリースが、この日の18時にツイートされた。

 この日から、カウントダウンが始まり、期待と不安が渦巻く週末へと突入して行くことになる。

YOUR SONG

2020年5月22日 金曜日 

 この日あたりから、撮影した!送った!というツイートがちらほら増え始め、けもの便による映像ファイルの量も増加していた。ぼくらとしては、最終的に締め切るまで全体的な物量が見えず、毎日やきもきしていた。

 ぼくの一番の心配は次第に本篇の編集に移りつつあった。それも、「なにを作るか」よりも「どう作るか」である。物量が見えないということは、編集に使うマシンのスペックが足りるかどうか判断がつかない、ということでもある。編集は自分のMacBook Pro上のPremiereで行う予定だったが、あまりにも素材が膨大になってしまうと、このマシンでどこまで出来るか未知数だった。

(※無断引用、申し訳ありません。問題あればご連絡ください)

 参加者の方々も、四苦八苦しながらも挑戦を続けてくれていたみたいだった。ぼくとしては、申し訳ないやらありがたいやら不安やら、様々な感情が入り混じった感覚だ。もちろん、基本的にはたくさんの人に参加してほしかったのだけど。

 ここでひとつ懺悔したい。ぼくの勘違い、というか伝達ミスで、参加者のみなさんに余計な苦労をかけてしまったことがあるのだ。

 いきなり敬語になりますが、最初期に、イヤホンでモニターしながら歌う、という方法で撮影をお願いし、そのまま走ったんですが、ちーかまさんが加入した時点で映像ファイルと音声ファイルを別々に録ってもらうやり方に方針変更していたんですよね。これなら、映像に入った音声は生かさないので、イヤホン使わずとも、そして声を出して歌わずに口パクでも大丈夫だったんです。スミマセン…。

 気付いてた方もいらっしゃいました。いや本当に申し訳ないです。ぼくも途中で、あ!って思ったんですが、話が複雑になると思ってそのまま最後までその方針で行かせていただきました。
 ただし、おかげでムービーデータの音声も使用できる状態になったので、助かった面もあるのですが。全部で大きく3つある、ぼくのやらかしの2つ目がこれです。すみませんでした!!

 全体的には、スタジアムとアレンジが違うので難しい、という意見が多かったように思う。この点、ちーかまさんは、自分のアレンジのせいで、と少し悔いているようだったが、ぼくとしては致し方なし!と思っていた。

  みんユルは、確かにFC東京のサポーター有志によるパフォーマンスではあるのだが、スタジアムで歌っている光景を再現しようとしていたわけではない。これは後にテレビ出演した時にも同じことを話させていただいた(つもりだが緊張しすぎて全然うまく言えなかったかも知れない)。
 なぜなら、味スタで、試合前に全員で歌うユルネバこそが、FC東京のユルネバであるべきだと思っていたからだ。すべての東京サポーターが参加しているわけでもないこのプロジェクトが、FC東京サポーターを代表する、とまで言っては夜郎自大が過ぎる。

#みんなでユルネバ は、あくまで #みんなでユルネバ 。味スタで歌うことのできない期間中のウォーミングアップのようなもの。ただしその代わり、味スタで歌われるユルネバでも、リバプールで歌われるユルネバでもない、世界中のどこにもないオリジナルのユルネバが完成すればいい、と思っていた。これは密かに考えていたことで、そんなことを声高に言ったつもりはないのだが、参加者の方々はみんな勝手に楽しみ始めていて、結果的にその通りになったと思う。

 基本的に、映像の中でのパフォーマンス内容は参加者の自由、お任せにしていたのだが、ほんの少しだけ、こちらからお願いさせてもらった方がいる。その一人が、攻劇さんだ。これは時系列でいうと少し前のやりとりになるのだが、少しだけここで紹介させてもらおう。

 攻劇さんは、FC東京サポーターでありながら、レフェリングの解説や分析を中立的に行っている方で、ご自身もレフェリーの資格を取られ活動されている。東京サポーターのみならず、サッカークラスタ全体でも有名なアカウントである。個人的には、攻劇さんの存在が、FC東京サポーターのレフェリングに対するリテラシーを底上げしてくれていると思っている。攻劇さんが活動を始めてから、見当はずれな指摘をする東京サポーターは明らかに減った。正しいジャッジに難癖つけてマヌケに見えることをたった一人で抑止している、という意味で、攻劇さんの功績は揺るぎないと思っている。

 その攻劇さんは、みんユル参加者募集開始早々、参加を表明してくれていた。

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 かなり最初の時点で、あるアイデアが浮かんでいた。緩のパートから急のパートへのトランジションを、攻劇さんの笛きっかけにするのはどうだろう?と。攻劇さんは顔出しNG(のはず)だったので、直接ポンチ画を送り付けさせてもらった。

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 今回のは特にひどい。画もひどいがやらせようとしていることもひどい。変なことはさせない、とか言っといてこれである。

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 必死の(早口の)お願いの結果、快諾していただけた!幸いにしてシャレのわかる方でありがたかった。ご存知の通り、この後完成する本篇では、この時の思いつきそのままの形で登場していただいているのだが、とてもいいアクセントになったと自画自賛している。

 ちなみに、後になって顔出しでも出演している、とご本人から衝撃の告白があったのだが、未だにどの方なのかわからずにいる。おそるべし、攻劇さん


A DAY IN A MAN'S LIFE

2020年5月23日 土曜日 

 募集期間もいよいよあと一日となった。ぼくはここまでずっと迷っていた。

 自分も歌うかどうかを。

 最初は、クールに映像制作するだけで去ろうかと思っていたのだが、これだけ皆さんに色々要求しといて、自分がやらないのは後ろめたい気がしたのだ。しかし、ちーかまさんからの男声が足りない、とのツイートを見ていい加減覚悟を決めた。男声増強のためにやるか。仕方ない。

 この時期、ぼくの妻は自宅でリモートワークしていたので、家で歌うのは論外だった。やるならクルマでどこか遠くへ行くしかない。おれは(あ、一人称…もういいか)クルマに乗り込むと、宛てもなく走り出した。とりあえず走りながら練習する予定だったが、おれのクルマは旧車で意外と注目を集めてしまう。一般道で熱唱していると、なかなか人目が気になる。どこか人のいない道は、と思いながら山手通りに出て、そのまま富ヶ谷から高速に乗った。そう。高速走行中ならば周囲の目など気にならないからだ。おれは首都高から、中央道へと向かった。このまま行けば味スタの前を通るじゃないか。おれは後部座席にあったノンラー(ベトナムの編み笠。ACLのベトナムバスツアーで植田朝日氏から配給があったやつ)を被ると、スマホをダッシュボードに固定し、そのまま勢いで映像撮影を始めた。残念ながら味スタは映らなかったが、何テイクか撮影出来、映像はこれでOKということにした。

 あとは歌だ。走行音が入ってしまうため、走りながらの収録はできない。どこか遠い山の中へ行こう、と思い、そのまま中央道をひた走る。緊急事態宣言下で県をまたいでの移動は出来ない中、目指すは八王子である。八王子なら山あるだろ、山。

 高速を下り、なんとなく走りながら探すが、クルマを停めて熱唱できる場所となると、簡単には見つからない。数時間、かなり長い距離を彷徨い続け、たどり着いたのは奥多摩の山奥だった。八王子からかなり走っている。あまりクルマの通らない道路、かなり広めの転換場所の一番奥をレコーディング現場として定め、ようやく録音を始められたのは夕方近くなってからだった。

 気兼ねなく大声を出せる場所にいる、と思っても、いざとなると誰かに見られているような気がしてしまう。周囲はガチの山だ。人などいるはずない。おれはそう言い聞かせながら、ちーかまさんの指示通り、可能な限り野太い声でユルネバを歌った。ほっそい声を必死で太く。歌ってるうちに喉が開くのか、段々と吹っ切れてくるから不思議だ。数テイク歌い、味スタと同じくらいの声量が出だしたな、と思った時、目の前の薮ががさがさっと動くと、フレンチブルが唐突に姿を現した。や、野生のフレンチブル!?日本に生息していたのか!?呆気にとられていると、続いてリードを持ったオッサンが現れ、思いっきり目があった。なにをこんな山奥でオシャレな犬散歩させることがあんねん!だが、あちらにしてみれば、なんでこんな山奥でユルネバ歌とんねん!である。

 おれはアルカイックに微笑むと、グローブボックスにあるなにかを探すふりをした。単に目をそらしたかったからだ。今にして思えば、グローブボックスから拳銃でも取り出そうとしていると誤解され、先制射撃されても仕方ないな、とも思ったが、オッサンはおれの動きを省みることもなく、悠々と去って行った。バックミラーでオッサンとブルの後ろ姿を見送り、道路の向こうに消えたのを確認して、おれは安堵した。なにも悪いことをしていないはずなのに、この後ろめたさはなんだ。

 おれのテンションは完全に下がった。怖気付いた、といってもいい。収録はここで終了にした。すでに4テイクほど録っていたので、もうこれでいい、と思った。これ以上歌おうと思っても、この場所がブルとオッサンの導線となっている以上、次にシュナウザー連れたオバハンが現れる可能性だってあるじゃないか。こんな落ち着かない場所にはいられない。

 後日、歌を編集していたちーかまさんから、DMをもらった。

ちーかま:
そういえばisomixさんの音声データ、後ろで小鳥のさえずりが聞こえてとても癒されました!望んでいたガチムチ感も出てよかったです!ありがとうございました!

 ならよかった。フレンチブルの遠吠えとか入ってなくて本当によかった。
 ちなみに、これはものすごくどうでもいい情報なのだが、おれはiPhoneのボイスメモで歌を録っていた。ボイスメモはファイル名が録音した場所の地名になるのだが…

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 録った場所、みたけだった。


BEYOND THE TIME

 中央道を自宅に向かって走りながらおれは考えていた。この後、18時に締め切りまであと1日のカウントダウングラフィックがリリースされる。あと24時間とちょっとだ。

 改めて、果たしてどれくらいの人が参加してくれるのだろう?と考える。ここまでかなりの素材が集まって来ていた。映像を仕上げるだけなら十分な人数だ。だけど送られてきた映像を見るにつけ、おれの考えは少し変わり始めていた。この映像は、もう少し別の意味を持つようになる気がしていた。

 これは記録でもあるのだ、と。

 家に帰るなり、ぼくは長文のツイートを打った。この時点でのぼくの思いをすべて書いた。ちょっと照れ臭い文章だったが、まだ参加する時間があるうちにきちんと伝えておきたかったのだ。18時まではあまり時間がなく、それほど凝った文章は書けなかった。それを、カウントダウングラフィックと共に連続ツイートした。

 人生を物語だとするのならば、参加してくれる方々ひとりひとりに、FC東京サポーターとしてではない、別の物語がある。ふたつの物語は、それぞれが独立しているようでいてお互いに影響しあっている。
 誰もがコロナ禍の中で、懸命に日常を戦う物語を紡いでいる。それは楽しいことばかりではもちろんなく、どちらかと言うと、苦しい、つらい物語なのかもしれない。だが、少なくともページは更新されていく。しんどくとも前に進んでいく。
 だが、FC東京サポーターとしての物語は止まったままだ。それは本来、週末にやって来るゲームとともに更新されるべきものだからだ。スタジアムに行き、懸命に応援すること。勝って喜び、負けて悔しがり、プレイに一喜一憂すること。終わった試合を反芻し、次の試合のことを考えること。それこそがサポーターとしての物語なのだから。
 しかし、それらはすべて奪われてしまった。次の試合がやって来ない日々がどれだけつらいことなのかは人それぞれかも知れないが、少なくとも、片翼で飛ぶことが健全であろうはずがない。

 だから、このプロジェクトが、サポーターとしての物語に、ほんの数行でも新しいエピソードを足すことができたら。
 中断している期間、クラブ公式が必死ともいえる様々な施策を毎日のようにリリースし続けてくれたことも、たぶん同じ理由なんじゃないかと思う。サポーターとしての物語を途絶えさせないために。もちろん、それがゲームの代替になるなんて思わないけど。願わくば、それが楽しいストーリーになれば。

 これは、ぼくらの2020年の記録なのだ。映像になってずっと残るのだ。そこに、今を生きるぼくらの姿が、確かに。さっき柄にもなく、自分も出演者として普段は絶対やらない自撮りをしたのも、ぼく自身も純粋に、ここに映り込みたい、と思ったからだ。
 とにかく、ひとりでも多くの人を映像に入れ込みたかった。顔を出しても出さなくてもいい。そこに映っているのが自分だってことは、参加した本人だけが知っていればいい。

 何人か、諦めかけていた方には直接メッセージを送らせてもらった。歌ってなくたっていいから。手を振ってるだけでいいから。マフラー掲げてるだけでもなんでもいいから。1秒だけでもいいから、と。
 なにか困っているなら、ひとりひとりケアするつもりだったし、それでひとりでも映像に映る人が増えるというなら、労力は惜しまないつもりだった。断念して欲しくなかった。とにかく、サポーターファースト。嬉しいことに、この考えは、みたけさん以下、スタッフ陣は全員共通だった。

 みんユル公開のタイミングで、こんなのは思い出作りだと非難された、という話を聞いた。その時は、余りに幼稚な考えに思わず笑ってしまったのだが、今にしてみれば、なるほど一理ある、と思わなくもない。
 ぼくらの中心にある、FC東京というサッカークラブが活動を中止している中、サポーターとしての思い出をひとつ増やすこと にいっちょ噛み出来るなんて、こんなに嬉しいことがあるだろうか?

 あと24時間で、募集は締め切られる。それまでにひとりでも多く参加者を増やせるように、出来ることはすべてやろう、と思っていた。

 そのひとつが、アディショナルタイムだった。締め切り前の駆け込み施策が締め切り延長、というのはなかなか大きなパラドックスである。

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Crazy For You

2020年5月24日 日曜日 7:00

獣:
おはようございます!!
今朝までの分になります!
isomixさん、また圧縮できないがいたので別枠です
ちーかまさん、映像音声組を入れてありますが、キツイようならご無理はなさいませんように!
いよいよ締切日ですね!
2020年5月24日 午前7:13 

 この日も朝のけもの便が届き、応募の最終日がやって来る。個人的には、のんびりできるのは今日までだ、という意識があった。実は本業的にも月曜日から修羅場になることが確定しており、本当にこの日が最後の休日ではあった。

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 ベガルタサポーターも、 #みんなでカントリーロード を始め、マリノスから始まった流れが広がりつつあった。このプロジェクトにはかなりの仙台サポーターが参加し、結果的にスポンサーや選手などを含めて一大ムーブメントへと発展することになる。

 まったくの余談かつ、ちょっと自慢なのだが、ここだけの話、この 「#みんなでカントリーロード」というハッシュタグを一番最初に使ったのは、実はぼくだ。

​ 別にパクられた!とか言いたいわけじゃないですよ。念の為。

 募集の最終日であるこの日、参加者の方々も追い込みに入っていることがタイムラインから伝わってくる。徐々に、送信完了!というツイートも増えていく。

(※無断引用、申し訳ありません。問題あればご連絡ください)

 同時に、データ化や送信に関する質問や相談も増え、みたけさん、獣さん、ちーかまさんの3人は、そのケアに追われていた。

 頼もしすぎる。さらにこの裏では、〇〇さんのデータ開けました!?◇◇さんのデータ壊れてます!××さんのデータどこにあります?△△日のフォルダに入ってます!などのやりとりが戦争のように行われていたが、プライバシーに関わるので、割愛します。とにかくスタッフ全員、参加する意思を示した方は神!とことんまで甘やかす!という覚悟が尋常ではなかった。なにせ、サポーター参加する側がサポーター、作る側もサポーターなのだ。


TIME TO COUNT DOWN

 当初の予定通り、この日はカウントダウングラフィックを刻んで出していった。まず、お昼の12時にはこれ。

   そして、当初の予定通り、締め切り3時間前に、アディショナルタイムの存在が明らかにされる。

 アディショナルタイムの時間は、6時間!この日の深夜12時まで締め切りが延長される!

  そしてぼくは昨日の夜から温めておいたツイートを、満を待して放つ!​

 ふざロス!めっちゃおもしろいツイート!

 だが結果として、このふざロス、本当に実施してよかったと思う。このロスタイム六時間の間にやっぱり参加しよう、と思ってくれた方が相当数いたらしいからだ。

(※無断引用、申し訳ありません。問題あればご連絡ください)

 そして、その裏では、スタッフも続々と撮影を終えていた。

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 とにかく、タイムライン上には送信完了!あとよろしく!のツイートが溢れていた。おそらく、獣さんのPCは火を吹く寸前だったのではないだろうか。あと1時間ほどで募集期間が終わる。

isomix:
みなさま
あと1時間弱で締め切りですね。色々とありがとうございました。ひとまずお疲れ様でした。
でも、これで終わりじゃないので、最後まで宜しくお願いします!
募集が終わったら、こちらでは獣さんの素材整理を待って編集作業に入ります。
が、ちょっと僕の仕事の事情で、実質的に作業に入れるのは水曜日ぐらいになってしまいそうです。壊れた素材の再送依頼などは当然並行しておこないつつですが。
そこでちーかまさんにスケジュールのご相談なのですが、基本的な制作方針は昨日話した感じにさせて貰いつつ、一度音楽を先に形にしてもらうのがいいのかな、と思っています。で、それをベースに映像を組ませてもらうような流れで。
ただし、つないでいるうちに、編集的にあーしたいこうしたいが出でくると思うので、そのへんをもう一度そちらに戻して映像に合わせてアジャストしていく、みたいな流れにできるとありがたいです。ちーかまさんのお仕事のスケジュールを無視して勝手言わせて頂くと、月火水で音楽を一旦形にしてもらい、木金で映像編集、金の夜目とかでいちどそちらに投げ、土曜日は平行作業で日曜日に仕上げ、そのまま公開のような。
どうでしょう?
獣さんにお願いしたいのは、参加者の一覧を作ってもらうことです。
最終的に、スタッフロールとして参加者全員のアカウント名を入れたいと思っているのでそのためです。スタッフロールのデザイン自体はoomiさんにお願いしたいのですがらいかがでしょう?他にもコピーやメインタイトルなど、お願いしたいデザイン要素は出て来ると思っています。あと、まだ完成が見えず、公開日が未定なのですが、ある程度見えたところで今日みたいにカウントダウンは出す方が良いかもしれません。
みたけさんにお願いしたいのは、公式フォロワーの煽りです。ここまではいくつか小出しに出来るコンテンツがあったのですが、ここからは何も無くなってしまいます。
参加者は待っていてくれるとは思うのですが、完成する前に飽きられて過去のものとならないよう、盛り上げ続ける必要があると思います。あ、でもコンテンツとして音楽だけ先にちょい出しするとか、なにか出せるものはあるかも知れないですが。
ご意見あればお願いします!
2020年5月24日 午後11:09

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 そして、ついに。ついに夜の12時がやって来る。

 募集期間が終わった。結局、アディショナルタイムを含めると、全体の半分近くの応募がこの日にあった。夏休みの終わりに慌てるタイプの方々の集まりだったのではないだろうか。非常にシンパシーを感じるところである。結果として、相当な数の方々に応募していただき、ぼくはなんというか、とにかく感激していた。

 ぼくはずっと考えていたことをツイートした。応募期間が終わったところで絶対に言っておきたかったことだった。

 このことは、今となっても本当に感謝している。「FC東京サポーター」という言葉になにか定義があるとしたら、それは「FC東京を応援している人」「FC東京を愛している人」でしかない。それ以外の考え方や思想、趣味嗜好はバラバラであって当然なのだ。それゆえに、東京サポーターが全員、この企画を受け入れてくれるとは思っていなかった。しかしそれでも、この企画に面と向かって批判や否定をしてきた方は一人もいなかった。少なくとも、ぼくに見える範囲では。
 これは、別にこの企画を肯定してくれた訳ではなく、気持ちを殺し、参加した人たちやぼくらに水を差さないように我慢してくれたのだと思っている。これをぼくは勝手ながら優しさなのだと解釈させてもらいました。ぼくはますますFC東京と、それにまつわる人たちが大好きになった。

 とりあえず、獣さんがデータを取りまとめるまでは動きようがないのだが、その作業はかなり難航しそうだった。すぐに作業を始められる状態ではなかったものの、大切なデータをお預かりした責任とたくさんの方からの期待感により、武者震っていた。

 さあ、ここから先はいよいよ編集の実作業。みんユル公開までは、あと10日。激闘の日々が、今、幕を開けようとしていた!


【#10 おわり】


 ついに応募期間が終わり、大量のデータがスタッフ陣に託されました。ここから一週間、我々の知られざる戦いが始まります。次回、みんユルクロニクル#11 『思索と構築 Ⅰ:みんなそこにいた』ご期待ください。

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