週刊isologue(第62号)ソフトバンクのファイナンス(中編)

今週の週刊isologueもソフトバンクのファイナンスについて取り上げます。

先週に引き続き、問題意識も下記の通りになります。

 

ネット上でも、結構な識者の方々が、
「また何百億円も社債を発行してる!この会社、どうなっちゃうの?」
とか、
「ソフトバンクは借金まみれになって沈んでいく。登りゆくドコモと対照的。」
とか、
「溺れるものは藁をもつかむで、光の道に飛びついちゃって・・・」
等、ソフトバンクに対して悲観的なことをおっしゃっているので、
「ソフトバンク、大丈夫かしらん?」
と思ってる方も多いのではないかと思います。 
一方、孫社長の決算説明会のプレゼンを素直に見ると、
今回の決算は、三社(NTT、KDDI、SB)の中で1社だけ増収増益
ARPU(ユーザーの平均利用単価)が伸びてるのは3社中(そして世界でも)ソフトバンクだけ。
ボーダフォン買収以降、有利子負債は計画を超えて9000億円近くも減少
今の計画だと、あと数年でソフトバンクは実質無借金経営になる。
営業利益、フリーキャッシュフローで日本の全上場企業中3位、4位に入る優良企業(NTTとかトヨタに次いで。KDDIは既に抜いた。)さらにウィルコムにも出資して基地局数倍増、
(フェムトやホームアンテナなどをセコくカウントしてかと思いきや、なんとそれは含めずに。)
設備投資はつながりにくい電波に応急処置をする後ろ向きなものではない。
次世代の高速通信のためには「小セル化」が必須。ネットワークの設計思想を先取りした先進的な投資。
と「景気がいいにもほどがある」状態にも見えます。
いったい、どちらのイメージがソフトバンクの実態として正しいのか。

 

例えば、信用リスクを取り扱うCDSの参考値を見ても、(一見)ソフトバンクの信用リスクは急上昇しているように見えます。

図表1.ソフトバンクのCDS参考値(出所:東京金融取引所)

(参考:CDS Q&A )

 

CDS市場が効率的でソフトバンクの信用リスクを仮に正しく盛り込んでいると仮定するなら、これはソフトバンクが破綻するリスクが実際に高まっていることを反映しているようにも思えますが、どうなんでしょうか?

 

今週は、ソフトバンクの2010年3月期決算説明会での孫社長のプレゼンをベースにソフトバンクの財務内容について考えてみたいと思います。

 

先週「前後編で」と申し上げたんですが、今回のがまた結構なボリュームになってしまったので、今回を「中編」とさせていただき、来週「後編」ということでよろしくお願い致します。

 

今週の目次とキーワード

決算説明会の概要
携帯3社中、唯一の「増収増益」を考える
昨年と今年のスタンスの差異
「EBITDA、5期連続過去最高」
契約数の動向
(「MNP2年連続純増No1」の意味)
契約当たり単価(ARPU)の動向
「iPhone」の伸びの意味
スティーブ・ジョブスの気持ちになって考える
「ソフトバンクと組んで何のメリットがあるのか?」
固定もヤフーも好調
有利子負債の減少
設備投資の大増額計画
ソフトバンクのCDS参考値の意味
「通話」「非通話」と回線品質
「5年で40倍」の通信量の時代は来るのか?
「小セル化」投資は、後ろ向き?前向き?

 

次週は、もうちょっとディープなところ、

ソフトバンク株式会社の持株構造と、少数株主持分、優先株主への優先配当金等の関係
ウィルコムなどを含む投資
今回発行した社債、グループ全体の負債構造

等について、図解して分析してみたいと思います。

ご興味がありましたら、下記のリンクからご覧いただければ幸いです。 

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