見出し画像

憧れのアメリカン・グラフィティ

グラフィティはアートか、それとも落書きか。
その答えはストリートカルチャーの捉え方によって変わってくるだろう。
私はアメリカに訪れた際は必ずその土地のグラフィティをチェックするようにしている。
きっかけはテキサス州オースティンのGraffiti Park at Castle Hillsを訪れた事だった。

オースティンを一望できるその小高い丘はグラフィティに覆われ、日々そのキャンパスは塗り替えられていた。
観光ついでに訪れたこの場所だったが、その圧倒的な規模と迫力あるグラフィティの数々に深く感動したのを覚えている。その感情は紛れもなく素晴らしいアートを目の前にした時のものだった。
残念ながら今はもう閉鎖してしまっている様だが、あの高揚感をもう一度味わいたいという思いからアメリカに行く度についついグラフィティスポットを探してしまう。
という事で今回はコロナ禍で暫く行けないであろうアメリカに思いを馳せながら、個人的に行ってみたいアメリカのグラフィティスポットについて書いていこう。

Krog Street Tunnel  @Atlanta, Georgia

ジョージア州の州都アトランタにあるトンネル。
一面がグラフィティで埋め尽くされたそこはこんな見た目をしているが決して廃道という訳では無く、地区と地区を繋ぎ地元住民も往来する歴とした生活道路だ。
何も書いていない部分を探す方が難しいこのトンネルは、この街の観光資源の一つとして法的にグラフィティが許されているどころか積極的にボムすることが推奨されている。その為どんな大作を描こうとも数週間後に戻って来ると跡形もなく上書きされているのだとか。
自身もこの場所に行く際はスプレー缶を持参して行こうと思う。

Two Guns @Arizona

かつて隆盛を極めたルート66沿いの交易所、そして今や人影の無いゴーストタウン、それがTwo Gunsである。
かつてこの場所で虐殺されたアパッチ族の呪いやら何やら色々と曰く付きのスポットのようだが、ゴーストタウンという場所の特性上グラフィティライターにとっては天国のような土地になっている。
街中至る所にグラフィティが書かれているようだが、中でも最大の目玉が一面グラフィティで覆われたGraffiti poolである。何ともスケボー映えがしそうな場所だ。
そして驚く事にこのTwo Gunsの土地の所有者は自分が一番敬愛する俳優であるラッセル・クロウだというのだ。何でもここを舞台に映画''ウエストワールド''のリメイクを企画しているのだとか。これは行かない手はない。
行って『ラッセルクロウの家に遊びに行ってきた』と声高らかに周りに自慢しよう。

Graffiti Alley @Baltimore, Maryland

メリーランド州最大の都市ボルチモア、耳馴染みが無いかもしれないがこの都市はアメリカでは非常に犯罪率が高い事で知られている。
L字路一面がアートに覆われているこのGraffiti Alleyはメリーランド州でも数少ないグラフィティが合法となっている場所だが、それにはとある理由がある。
元々ここはドラッグの売買によく使われていた場所だったが、グラフィティが自由にできるホットスポットとして開放された事で人通りが多くなり、ドラッグ売買の巣窟からやがてアートの発信地へと変化したのだ。
治安の悪さの象徴と捉えられがちなグラフィティが、街の環境改善に一役買っただけで無く未来のアーティストを育てる場所を生んだのだ。素晴らしい話だ。

The Wynwood Walls @Miami, Florida

マイアミが誇るアートの中心地、それがここThe Wynwood Walls。
倉庫地区を改装して作られた複合施設で、アメリカ国内外のアーティストのウォールアートが一堂に会している。
金にものを言わして作られた施設だけあって、グラフィティのクオリティが恐ろしく高い。キャンパスは巨大な倉庫の壁だけあって迫力も凄いという。
グラフィティ以外にもオブジェや絵、大小様々なアートが飾られているという事で、アート好きとしては是非訪れたいスポットの一つだ。

Graffiti Highway @Centralia, Pennsylvania

ペンシルベニア州セントラリアはかつて炭鉱町として栄えた場所。
1962年に発生した坑内火災により殆どの住民は退去し、未だここに住んでいるのはほんの数人という小さな集落だ。因みにその坑内火災は50年以上経った今でも鎮火していないという。
そんなほぼ廃墟と化したこの土地にある、坑内火災による地盤沈下&地割れによって封鎖された州道61号線こそがグラフィティ・ハイウェイと呼ばれる場所だ。恐らくアメリカでもここでしか見れないであろう、ハイウェイ一面がグラフィティに覆われたその姿は正に圧巻である。
ただ、悲しいかなこのコロナ騒動で観光客がいない隙にこの土地のオーナーがグラフィティを全て埋め立ててしまったのだとか。残念だ。

https://goo.gl/maps/Ve6oXsyYCn85Us8v8

Drainage Tunnels Under San Francisco @California

Drainage Tunnelsとは排水トンネルの事。大雨の際に街に水が溢れないようサンフランシスコの地下に張り巡らされた隠れたトンネルがある。
サンフランシスコのライターたちは地下に忍び込んでその水路中にボムしているのだとか。普段決して人目につかないアンダーグラウンドの世界、それはグラフィティライターにとっては聖域なのだ。
ライトを持って壁一面に描かれたグラフィティを眺めながら暗闇の迷路散策、きっとそのスリルと興奮は堪らないものだろう。
当然ながら排水トンネルへの忍び込み方は調べても出てこなかった。このアートを楽しむ為には現地に行って地下への入り口を探すところから。冒険はそこから始まる。

本当のところを言うとまだまだ行きたいところはあるが、その中でも特に面白そうな場所をピックアップしてみた。
どうだろう、興味は湧いただろうか?
アメリカのグラフィティスポットの前にいる自分を想像してみて欲しい。少しでも心が動いたなら是非訪れてみるべきだ。
実際目の前にするときっと言葉にならない感動を覚えるはずだから。
あぁ、次にアメリカに行けるのはいつだろうか。

最後まで読んで頂きありがとうございます。