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エッセイ | シングルタスク人間はつらい

私は生まれてこの方シングルタスク人間です。
恐らくこの先もずっとシングルタスク人間として生きていき、マルチタスク人間を羨みながら死んでいくでしょう。

シングルタスク人間は大学入学までは順調に生きていけますが、就職活動と卒業研究が重なったタイミングで絶望します。私自身がそうでした。
シングルタスク人間は2つ以上のものごとに全力を注ぐことはできません。どちらか一方しか全力は出せないのです。
当時の私は卒業が第一優先であり、就職活動は二の次として動きました。
ただ、周囲からは就職活動を急かされるのと、友達や研究室のメンバーが就職活動を終えていくなか、自分だけが就職活動を終えていない最後の一人となり、結果的には卒業研究も就職活動も中途半端に進めてしまい良い結果を得られないこととなりました。

そんなシングルタスク人間は就職して厳しい現実に直面します。
『仕事はマルチタスクで進んでいく』
これを知った時は絶望しかありませんでした。
今までシングルタスクで進めてきており、マルチタスクをしないといけない場面でもどちらかに優先順位をつけて進めていましたが、仕事を進める中では同時に進めないといけないことがほとんどでした。

シングルタスク人間の私にとっては別々の物事を同時に進めるのは苦痛でしかありません。
Aを進めている時にもBを考える。Bを進めている時にAも気にしないといけない。これらは吐き気がするほど気持ち悪いことでした。あたまの中が驚くほどごちゃごちゃとしてしまうんです。

マルチタスクで進められないのは仕方ないことだと理解しましたが、せめて似たような環境に近づけたいと思い、私はあたまの中の整理をすることとしました。
あたまの中と言いましても結局は身の回りの整理です。
タスクAとタスクB、タスクが増えればC、D・・・、のようにそれぞれの書類や記録の保管場所を決めました。
手帳などに記載する際も色を変えることでタスク毎に識別できるようにしました。
また、自分のパソコンに保管しているデータもタスク毎に整理をしてデスクトップ上には作業中のデータを置かないことを厳守しました。

シングルタスク人間にはかなり厳しかったですが、タスクAの作業中にタスクBが入り込んでくる余地がないように整理することで、感覚的には同時進行をしている際の気持ち悪さを緩和できました。

でも結局はそれぞれを気にしながら進めないとならないため、次の日目が覚めたらマルチタスク人間になっていることを願いながら布団に入ります。

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