し/い/た/け/占/い日記

初めに

この日記は、1993年生まれ水瓶座AB型の女・石川による、し/い/た/け/占/いに書かれている事を指針に行動した、1週間の生活の記録です。し/い/た/け/先生とはなんの関係もありません。もちろんV/O/G/U/E G/I/R/Lとも何の関係もありません。

5/23(月)〜29(日)水瓶座の運勢 要約

水瓶座は周りの事を背負い込みがち。時には全部忘れて、目の前の幸せ、楽しさを味わいましょう。やる事はきちんとやっているので、思い通りに出来ずとも自分を責めず、評価しましょう。
今の水瓶座は不調でも好調でもそこそこのレベルで問題や課題に対応できる。今のままでやっていこう。「暗友」、気を遣わないでいい気楽な友人に助けられます。
今週のカラー:オレンジ・エメラルド


月曜日 日記をつけることを思い立ち、小虫と友人への接し方に迷う。

1.昨日は、友人からなにやらモヤつくラインを受け取り、うまく寝付けなかった。
景気づけに仕事のお昼休み、近所のブラウニー屋さんでラズベリーブラウニーとコーヒーを買う。コーヒーを淹れてもらう間、わたしは急に思い立ち、今日からし/い/た/け/占/いについての日記を始めることに決めた。ブラウニー屋さんの軒先のベンチに座りながら、日記アプリをダウンロードする。

2.スーツの襟元に、キラッと光る粒のようなものを見つけた。小さな虫だった。小さいてんとう虫のようで、黒い体の背中に、金色の線が光っていた。その虫を観察していると、ブラウニー屋さんのお姉さんが淹れたてのコーヒーを持ってきてくれたので、職場に戻る。

休憩を終えてお店のカウンターに入り、ふと視線を下げるとまだ虫がわたしのスーツを這っているのが見えた。捕まえて、同僚に「虫を外に放してきます」と言って私は店を離れる。

しかし、私の職場は5階にあるので地上の土におろしてやるには面倒くさすぎる。
昔「トリビアの泉」で得た知識を思い出した。「蟻はどんな高さから落としても死なない(体が軽すぎるため)」というトリビアだ。わたしは建物の非常口から外に通じる非常階段に出て、5階の高みから虫を振り落とした。虫は、風に攫われて、あっという間に見えなくなった。その途端、わたしは自分が何をしたかったのか見失い、呆然とした。
虫に良くしてやろう、という気持ちで外に連れ出したが、5階の高みから振り落としたのでは安否は不明だ。わたしは中途半端な善意で、虫の運命をめちゃくちゃにしてしまったかもしれない。かと言って、ビルの中にいても食べるものもなく、いずれ通路の隅で埃に塗れてひっくり返って死ぬだろう。わたしにできることは、つまり、特にない。この話はもうおしまい。

3.夜、友人から再度、長文でよくわからないLINEがきたので、これについても、わたしにできることは何もないな、と思い、トークルームを消し、YouTubeでレクイエムを流し、友人のいるだろう方角に合掌し、10年の友情を弔い、眠った。

火曜日 占いのいう「暗友」について考えていたら七日分の一日が過ぎてしまった。

1.暗い友人と言われれば、わたし自身も根暗なため、類友で該当する友人も幾人かいそうだが、根暗・気を遣わなくてもいい・友人 と三拍子揃うとさっぱりだ。おうい、暗友やぁい、とラインアプリに向かって呟いてみたが、返事はない。そもそも気を遣わなくていい根暗な人間ってこの世にいるのか?根暗は大体繊細だと思うので、気を使ったほうがいいと思う。
結局わたしは友人が少ないのでそう言ったカテゴリーで友人をピックアップしろと言われたところでいないのだ。おそらく友人が多い人はその中に気を遣わなくてもいい【暗友】もいて、暗友が寄り添ってくれる素敵な一週間になるだろう。それに引き換えわたしは昨日も、友人への友情を一丁、棺にしまってやさしくkissして送り出したところだった。友人がどんどん減っていく。しいたけ、おい、俺はどうすればいい?教えてくれ。
というわけで、今週は暗友の助けを待つのは諦めました。

2.今朝、カバンの底を漁ってたら緑色のピアスが出てきたので、これってもしかしてエメラルドグリーンかな?と思い、ポッケに滑り込ませて出勤した。オレンジのアイテムは全然見つからないが、普段使ってるアイシャドウパレットがオレンジ系なのでこれで多分オッケーです。

水曜日 酒を飲み後悔する。新潟に帰る。ぽっぽ焼きを探して彷徨う。

1.昨夜、新幹線の中で冨樫義博のツイートを肴に缶酒を飲み、したたかに酔う。酔って友人にもLINEで絡む。酔った勢いでつぶやいたツイートは、今読むと何を言っているのかさっぱり分かんない。意味不明なのに、パラビールさんがいいねをつけてくださっているので、懐の深い人だと思う。わたしは「新幹線の中ではアルコールを飲むもの」という条件反射的でアルコールを飲み、後悔している。

2.新潟に来たらぽっぽ焼きを食べなくてはいけない。
午前中、ぽっぽ焼きの屋台があるという噂の古町市場を彷徨い、ぽっぽ焼きを探し歩いたが一向に見つからない。道ゆく人に「すみません、ぽっぽ焼きの屋台があると聞いたのですが」と声をかけようかと思ったが、自分がそんな声かけをされたら怖いのでやめた。市場を三往復し、もしかしたら、と市場を離れて周辺もくまなくウロついたが見つからない。店で何か買って、ぽっぽ焼きの店について聞こう、と思い、市場の外れにあるわらび餅屋のメニューの中に冷やし抹茶があるのをみつけて、あら、いいじゃない、こういうのでいいのよ、とお姉さんに注文すると、お姉さんは底にわらび餅の入ったカップを取り出し、抹茶を注いだ後生クリームをもりもり絞り出し、サーブしてくれた。メニューをよく見たら、「冷やし抹茶」のほかに「抹茶わらび餅ドリンク」というものがあった。二日酔いの胃に生クリームもりもりわらび餅ドリンクはキツい。しかし、メニューをよく確認しなかったわたしが悪い。

クリームもりもりドリンクを受け取りながら、お姉さんにぽっぽ焼き屋台の場所を聞くと、私が何度も往復した通りの右手側に屋台を出していると言う。お姉さんにお礼を言い、ぽっぽを求め、石川はゆく。
しかしわらび餅を啜りつつもう一往復しても、一向にぽっぽ焼きはない。しょうがないので、今度は露店であられを買い、あのう、ぽっぽ焼き屋
台は…と聞くと、「ぽっぽ焼きは熱いので、夏は売らない」と言う。

そう…ですか………

わたしは膝から崩れ落ちそうになりました。何もうまくいかない。家を出るときにエメラルドグリーンもどきのピアスをつけてきたのに?しいたけ、おい、きいてるか?もしかしてこのピアス、エメラルドグリーンじゃないのか。

3.家では祖父が寝たり起きたりお茶を飲んだりしている。朝、祖父が髭を剃るのを眺めていた。祖父のなめし革のような頬の、深い皺を、ムリムリ割り進む電気シェーバーと、髭が剃られていくときのチョリチョリいう音が、本当に良い。祖父の髭剃りは永遠に見ていられるほどおもしろい。
祖父は小さくて、体にほぼ肉がなく、骨と皮だけしかない。「なぜ生きているのが不思議」とお医者さんにも言われている。わたしも祖父に興味津々だ。

昼過ぎ、たい焼きのしっぽを食べている祖父に「郵便局に行ってくるね」と言うと、祖父は目をかっぴらき、「ええっ 郵便局に!?」と言う。まるで大冒険に出発するようなリアクションに、孫はなんとなく『愛おし〜』、と思った。そして、わたしは大冒険に出るような気持ちで、郵便局に向った。

木曜日 遠野物語を読む。東京に帰り、髪の毛が緑になってしまう。

1.昨日はぽっぽへの熱がおさまらず、小麦粉と重曹と黒砂糖を買ってきて祖父宅で自作した。売り物より多少硬かったが、ぽっぽ焼機の味にはなっていた。アイスコーヒーを入れて、もりもり食べる。

2.久しぶりに祖父の本棚を物色していると、柳田國男の「遠野物語」があった。パラパラ読んでいたらじわじわ怖い。遠野には、背の高くて、不思議な目の色をした人間のような存在がいて、人里から女をさらって妻にして子供が産まれると食べちゃうらしい。ひぇ〜。
淡々と恐い話や、不思議な話が続くので、つい読み耽った。もしかして、この背の高い人たちは、八尺様と何か関係があるんでしょうか。

遠野物語を持って、リビングに行くと祖父が起きて茶を飲んでいたので、借りるよ、と遠野物語を見せると、表紙の『國男』の字を撫で、「國男さんの本か。遠野物語はおばあちゃんが好きでなぁ、二人で遠野に行ったことがあるよ」と懐かしそうに言う。亡くなった祖母が聖地巡礼するほどの遠野物語ファンだったとは知らなかった。
あと、祖父は柳田國男のこと、國男さんって呼ぶんだ…と孫は思った。

3.来週の頭に転職の二次面接が2件重なっているので、多少身なりを整えておかなくては、と思い、昼の新幹線に乗って新潟から東京の美容院に直行する。7年来のつきあいの美容師さんに、前回と同じカラー(オリーブがかった茶色)で、とオーダーする。美容師さんは、うる星やつらのラムちゃんのTシャツを着ていた。思えばそれが悲劇の予兆だった。

転職面接、オリーブで大丈夫ですか?大丈夫です、あれくらい落ち着いてたら手持ちのスーツにも合ってましたし…と話しながら、カラー剤を塗ってもらう。前回よりかなり明るめのグリーンに、あれ?なんかカッパみたいな色ですね、ガチャピンカラーだね、と言い合い、でもこれ、時間経つと落ち着いていくから、と言われ、わたしは全幅の信頼を置いてスマホで「青野くんに触りたいから死にたい」の最新話を読んだ。放置時間、美容師さんはちょいちょい毛先の様子を見て、「素晴らしい…最高のカラーだ…」とつぶやく。マッドサイエンティストのような美容師さんだなと思う。

後に起こる悲劇を知りもしない石川

しかし、一向にカラー剤に茶色味が出てこず、鮮やかな緑のままなのが気になった。シャンプー、トリートメントをしてもらい、水に濡れた状態だと「あ、意外と黒いんですね」「いえ、これからですよ」
美容師さんは意味深に、呟く。
そうしてドライヤーで丁寧に乾かしてもらい、現れたわたしの髪の毛は、落ち着いたオリーブカラーではなく、かなり尖ったファンキーな緑だった。

こら!面接行く言うたやろがい。

「ラムちゃん…あ、今日Tシャツ、俺ラムちゃんなんだけど、俺、最近ラムちゃんに洗脳されてて、アクセントに緑強めに効かせときました」

え!?
ラムちゃんが何!?
マッドサイエンティストみたいなことを言う美容師だなぁと思ってたけど、ただのマッド美容師だった。

緑の髪を見て、呆然としていたが、光の当たり具合で黒っぽく見えたり、真緑になったりして、それを見てたら笑えてきてついドゥフッ!グフフッ!ゲホッ!!と笑ってしまう。
色々言いたいことはあったが、わたしの経験値不足で何も言えず、美容師さんも自分のカラーの出来栄えに満足しており、そしてもう染まってしまったものはしょうがないので、帰ることにしました。

「うる星やつらリメイクするらしいですね」とお会計の時言うと、食い気味に「知ってます!」と返された。この緑のヘアカラーはまじでラムちゃんの洗脳のせいなのかもしれない。ラムちゃんTシャツも、古着系おしゃれで着ているのではなく、ガチ推しで着ているのかもしれない。なんでもいいけど客の髪ラムちゃんにすんなよな。

そして私は、自分の髪の毛の色が、光を透かすと今週のラッキーカラーであるエメラルドグリーンっぽいことに気が付き、複雑な気持ちで帰途についた。

金曜日
『虚栄の果て』(赤毛のアン27章 村岡花子訳)

1.朝起きて、100回くらい頭を洗いましたが、緑色は頑として落ちませんでした。

クソッ! ラムめぇ。

赤毛のアンでは、アンがコンプレックスの赤毛を虚栄心で黒に染めようとしたことが責められていたが、よくわからないヘアカラーを売ってた行商人が悪いに決まってるだろ。アンは悪くない。

ずっと「ヘアカラー 緑すぎる 修正」で検索していたが、どうやらわたしにできることはないらしい(ヘアカラーをした直後にセルフカラーすると大抵爆死するから)。
どうあがいてもわたしの髪の毛、緑色。面接までに緑がどこまで色落ちするかわかんない。普通に生きてるだけなのに、なぜわたしはこんなに容易く王手をかけられちゃうんだろ。

おいしいたけ、見てるか?この俺の、エメラルドグリーンの髪を。

2.昼休みに、職場の近くのヘアサロン専売品の専門店を訪れ、ヘアカラー失敗してしまって、どうにかしたいのですが、いい方法はないでしょうか。と美容師のお姉さんに聞くと、やはりカラー直後のカラーは【髪へのダメージが強すぎる】且つ【どんな色を乗せれば理想の髪色にできるかの判断は素人ではつかない】らしく、つまり【素人が手を出していいことではない】とのことだった。面接までの三日間、わたしは夜まで仕事で、美容院へは行けない。王手。

クソッ ラムめぇ。

結局、黒染めスプレーで凌ぎつつ、色落ちした頃合いを見て美容院で色を乗せるのが最適解だそうなので、黒染めスプレーを購入する。「なんか…担当してくれた美容師さんが…緑にハマってて…アクセントで緑入れますねって言って、緑…入れすぎちゃっ…てぇ…」とぼそ…ぼそ…と聞かれてもいないこれまでのあらすじを吐露すると、お姉さんはングフッ…と笑っていました。
べつに話さなくてもいいことなんですが、わたしは誰かに聞いてもらいたかったのです。

土曜日
女神現る。暗友も現る。


1.朝早起きをして、メイクをして、着替えて、髪に黒染めスプレーをかける。なんでわたしがこんな面倒なことを…それもこれも全部ラムのせい。

スプレーをかけてもかけても緑がなかなか消えず、光の加減でちらちらと緑が顔を出す。玉虫みたい。
職場につくなり、店長にわたしの髪、緑ですか?と聞くと、緑だねぇ、キューティクルもないねぇ(黒染めスプレーのパウダーのせい)、と言われ、絶望する。
Twitterで昨日、「どうあがいても緑間真太郎君なので自分で染め直します」と呟いたら、緑間真太郎君最推しの友人から「見たかった….」とリプがつく。写真を送ると、「予想以上に緑間くんで良き☺️」と返ってきたので、「良き訳ねえだろ」と返してしまう。心に余裕がない。心の中の遠坂時臣が、「常に余裕を持って優雅たれ」とささやく。でも時臣、お前だって、転職の最終面接前に髪の毛緑になっちゃったら、慌てるだろ。

友人に送った写真

2.ずっと絶望していたが、仕事中、お客様の対応をしていると、お客様の奥様にあなた、髪の毛の色がすごく綺麗ねぇ。と言われて、びっくりして思わず、「あの、これ、あの、失敗して、その、あの、」とバグる。
「全然失敗じゃないわよ。あのね、照明に当たるときらきら他の色が見えて、すごく綺麗よ」
奥様、今、あなたは一人の女の魂を救ったのですが、お気づきでしょうか?

3.昼ごろ、お店の通路を友人が二人、歩いてくるのを見つけてきゃぁ!と叫んで近寄る。たまたま近くで遊んでいたそうだが、わたしの髪の毛が緑間真太郎くんになったことを受けて、差し入れを持って見物しにきてくれたそうだ。自分は緑間真太郎くんじゃなく、ただのヘアカラーを失敗したアラサーなのに、差し入れをもらってしまい申し訳ない。

退勤後、友人達とビールを飲みながら、「し/い/た/け/占/い日記をつけている」という話をする。
「今週のしいたけはなんて?」
「①水瓶座は周りのことを背追い込みやすい。時には問題から離れて目の前の幸せや楽しさを味わいましょう。
②いろいろ課題や問題はおこるけど、ある程度のレベルで対処できるからその調子でいきましょう。
③【暗友】が助けてくれるでしょう。」
「【暗友】って何?」
私は少し考えました。
「もしかして、【暗友】とは、今わたしの目の前に座っているあなたたちのことではないでしょうか?(I think that, maybe KURA-TOMO are you girls sitting in front of me, aren't you?)(来世使えるクソ英語)」(文法があってるかどうかは知りません)

友人は暗友って嫌だな、陰陽でいうと陰でしょ!?と言いながら、ライングループ名を【暗友】に変更してくれました。

日曜日 総括

1.朝起きて、メイクして、着替えて、さあ黒髪スプレーするか、と思って鏡を見たらあれ?案外緑じゃなくなってない?色落ちしてきた?
面倒なので思い切ってスプレー無しで出勤してみた。

わたしの髪の毛、緑ですか? 出勤即、店長に聞く。

「どれ、そこのスポットライトの下に立ってごらん。ふむ、おお、昨日より緑だねぇ。」

全然緑だったみたいです。

2.日曜日なので、一週間の総括。
自分の思っていた「し/い/た/け/占/い生活」とは違う、妙な一週間だった。私としては、しいたけが「友人に会いに行きましょう」とか、「気になることを勉強してみましょう」、「楽しい場所に行きましょう」と書いていたらとりあえずそれを全部実行してみる、というつもりで始めたのだが、一週間を振り返ると『普通に生きていたらわたしの生活がし/い/た/け/占/いに収束されていった』ような気持ちがしている。これも認知バイアスの一種なのだろうか。
とりあえず、髪の毛は依然として緑のまま、明日は面接です。
なにもオチはついておりませんが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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