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私が選ぶ"民の布"~ピュア爺がつくるピュアなギャバジン~前編

※)2021年2月、本アカウントを個人用から事業用に変更しました。
この記事は個人アカウント時代に民ノ布の中の人が書いたものです。


前々回の投稿で、”私が広め、残したいものの総称は本当に「用の美的工芸布」でいいのか。”と書きました。
そのことを自分で検証していくために、どんな生地を選び残していきたいのかを書いていくことにします。




「皆さんが普段着られている服に使われている布地はどんなものですか?」と聞かれたらどう答えますか?

「綿100%です」

「色はピンク」

「パリッとしていて薄手」

こんな風な回答が多いかと思います。

ピンクにしたり、パリッとした風合いは一般的に、染色整理工場というところで加工が施されます。
私達、衣料メーカーが服の素材である布を生地屋から買う時も、実はほとんどの生地は既に加工が済まされています。
ですが、この"八重蔵さんの綾織"は、織りっぱなしの未加工状態で仕入れ、私が自分で仕上げ方法を選び、加工してもらっています。


ここでいう織りっぱなしの原反は、魚に例えると漁師さんが釣り上げただけの状態を指します。
魚は特殊な技術を使ってその場で血抜きをし、時には三枚におろされ、鮮度が損なわれないよう素早く冷蔵した上で市場(売場)に運ばれます。
そして料理人の手に渡った途端、刺身、カルパッチョ、ムニエル…いろんな料理に変わります。

服で言うと、血抜きなどの魚の状態を安定させる工程を"生地整理加工"、料理人が行う調理のような工程が"縫製・裁断"になりますね。

多くのアパレルメーカーは、"お料理に適した状態になった魚"もとい、整理加工済みの反物を買い、自分のところで更に少し加工するか、そのままの状態で服に仕上げるのが一般的です。
私が営んでいるブランドでは、八重蔵さんのところで織り上がったばかりのピュアな原反を仕入れられることに価値を置き、そのピュアさを殺さない最低限の仕上げを行い、オリジナルの生地をつくっています。


仕事よりおしゃべりが大好きで、世話焼き。そして信仰心の厚い八重蔵さんが、今も昔も同じ生地をひとりで何十年も織り続けている原動力は、「みんなに喜んでもらいたい」という思いひとつ。

八重蔵さんの思いが投影されたこの生地は、古い機械で織っている為、節もあれば傷もある、なかなか個性的なヤツです。

でも、生活を共にし始めたらすぐに身体に寄り添い、心地よさを感じることが出来る。

人見知りをしない八重蔵さんのような、人懐っこい不思議な生地なのです。

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※この生地を使ったねまき3種を、クラウドファンディングのリターンにしています。
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後編はこちら↓


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