「漢方ってどのくらいで効果でますか?」

飼い主さまからの質問内容として、先生から一番ご質問を受けるのが、「漢方ってどのくらい(期間)飲めばいいんですか(効果が出ますか)?って聞かれるんですけど目安ってありますか?」というもの。

漢方は、「高い。」「長期服用しないといけない。」というイメージがあるため、飼い主さまへのインフォームド・コンセントでは、費用や期間などの治療プランをお伝えすることがとても大切です。ここを曖昧にしてしまうと、将来的な治療の見えない出費に対する不安や、すぐに効果が見られないことで「なんかあまり効かないから止めちゃおう。」と飼い主さまの独自判断による休薬やフェードアウト来院に繋がります。

飼い主さまにまずご理解していただきたいのは、西洋薬と異なる漢方の性質。

西洋薬は例えるなら、芝刈り機です。

そう、実はいらは。はイングリッシュガーデンに憧れています。
ここだけの秘密にしておいてください。だっていらは。はイギリス人じゃありませんし、純和風のこけし顔です。「え~!絶対に枯山水の方が似合うよー!」と言われるのがオチです。先生といらは。だけのヒミツです。

今回は、庭を体に例えています。雑草を症状に例えています。

西洋薬は芝刈り機なので、比較的即効性もあり効果も感じやすいイメージかと思います。

でも、お手入れ(養生)をしないとまた雑草は生えてくる(症状の再発)可能性があります。

漢方や養生は、肥料や、草むしり、剪定など、美しい庭を作るための手入れだと思ってください。

そして太陽や水は、私たちの睡眠や食事に例えます。
日あたりの悪い偏った環境(睡眠不足)も水不足や水のやりすぎ(食事の不摂生)も草木をうまく育てられずに(気血の生成や循環が行えない)理想の庭にはなりません。

このように考えると、雑草で荒れ果てた庭(重症な疾患)を漢方だけで綺麗な庭にしようとすると、とても時間がかかり、草をむしる速さより雑草が新たに生えてくるスピードが勝ってしまって難治化、、そんなこともあるでしょう。

西洋薬と漢方をうまく併用させることで、美しい庭にたてなおし、養生で綺麗な状態を維持していくのがスマートだと思います。

漢方がどれくらいで効果が出るかは、お庭の状態によって異なります。

草花が増えすぎて詰まってしまっていたら(気滞・瘀血)剪定(理気・活血)します。剪定はそんなに時間がかかる作業ではありません。
ですから、詰まったものを流すというのは比較的はやく効果が出てきます。

水のあげすぎや大雨などで、土の水分が過多になると根腐れ(痰湿)を起こします。そのために、水はけ良くしていく(利湿)必要がありますがこれには少し時間がかかります。

草木がしっかり育たない。これは土台となる土に栄養が足りていない(体力の低下で気血をしっかり作り出せない)状態ですので、用土を入れ替えたり肥料を与えたり、これもまた時間がかかります。
特に腎へのアプローチは土の一粒一粒を質のいい用土に変えていく作業ですから時間がかかります。

このようなことを、飼い主さまにもお伝えして納得していただきましょう。

また、治療の経過が長くなると症状が良くなっているのか気付きづらくなります。その場合は、飼い主さんに細かな質問をして最初の頃より改善していることに気づいていただくことも治療を継続していただくためのポイントとなります。この詳細についてはまた別の記事でご紹介します。

まとめ

<漢方はどれくらいで効果がでますか?>
気機の失調➡2日~1ヶ月くらい(目安)
実証による炎症➡3日~2週間(目安)虚実挟雑の場合は、難治化する場合があります。
虚証による疾患➡2ヶ月~(目安)腎はとくに時間がかかることが多く3ヶ月~が目安。
※適切な弁証、処方量での効果が出るまでの目安です。
 個体の体質や体力、生活環境などでも効果の出方は変わります。

また、治療プラン以外にも、個体によって服用で引き起こされる可能性のある症状がある場合(例:清熱薬の服用で下痢など)、前もってお伝えすることで飼い主さまの不安解消と信頼関係の構築に繋がります。





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