見出し画像

vol.039 読解の理想(「しみこませる英語力 vol.039

 石塚ともが発行している英語(外国語)学習のメルマガ「しみこませる英語力」、今回は、無料で発行します。
 どうして無料での発行かというと、今実験中のことで、これが外国語学習のすぐれた効果を上げるか、まだ結論が出ていないからです。
 ただ、わたしはこの学習方法をかねてからずっとやりたいと思っており、「その方法はあまり効率的じゃない」と思い(あるいは誰かから言われ)、ずっと封印していたけれど、結局この方法がやりたくて戻ってきてしまった、という感じです。
 だから、効率的かどうかはわからないのですが、やっていて楽しい、というか、気持ちがすっきりすることは確かです。
 その方法を本日は紹介します。

 その学習方法とは、
「自分の好きな本を原書で選び、一字一句、日本語に訳していく」
「そして、それを、バイリンガルの方のあとについて音読し、訳もあってるかどうか見てもらう」
 というもの。

 うーむ、書いてみただけで、「手間かかりそう」というのがわかりますね。
 それから、「日本語に訳して理解する、というのは、英語脳が育たない」とか、よく言われたりします。したがって、外国語学習のために効率的かどうかはわかりません。

 でも、どうしてこの方法をやりたかったかというと、高校時代の外国語学習(わたしはフランス語が第一外国語だったのですが)の時間に、いちばん楽しかったのがこれで、今でもその内容を覚えていたりするのですね。
 つまり、そうやって身体にしみこませたテキストが、今でもわたしの血肉になっているということです。
 その「血肉にする」という作業が気持ちがいいのです。
 あれ? 血肉になってる、ということだから、やっぱり、語学力が磨かれているのかな?
 とにかく、もっとこの作業をしたい、と、ずっと思っていました。

 それと、「外国語学習をして、自分はどういう状態が目標なのか?」という状態を考えたときに、「外国で書店に入って、ごく軽い気持ちで『これ、面白そう』みたいに思った本を、あっさり読みこなしたい」というのが憧れの状態でした。
 しかし、この憧れの状態は、相当ハードルが高いものでした。
 拍子やタイトルを手にとって見て、「おもしろそう! 読みたい」立ち読みでページをめくってみて「読めるんじゃないか」と思って購入…ところが、家に帰って腰を据えて読もうとすると、全然意味がとれない、それどころか、すぐに眠くなってしまう、の繰り返し。

 というわけで、家にたまっていた本(フランス語)は10冊ほどですが、その10冊が、まったく積ん読状態から動いてくれない。
 それで、意を決して、オンラインフランス語教室に入会し、日本語能力の高い先生を探しました。

 ちなみに、英語のほうは、海外ドラマのスクリプトを一字一句解説する、という教材を学習しています。
 英語のほうが、ほかの外国語より、断然、教材も豊富で、一対一のレッスンを受けなくてもこのような教材で独習できる(わからないときに質問はできます)のはさすが英語です。
 そして、この「一字一句解説する教材」というものがすでに開発されている、ということは、わたしの「こうやったらいいのではないか」という推測があながち間違ってはいないことが証明されているような気がして、ほっとしています。

 どうしてこの「好きな本を一字一句学習」という方法をやってみたかったかというと、前にも書いた気がするのですが、人は「語学学習のために」というよりは「そこに書いてある内容を知りたい」という知的興味で読書をしたいからだと思います。
「健康になりたいから」といって食べ物を食べるのではなく、栄養のある食べ物を楽しんで食べていたら自然に栄養がついて健康になる、のと同じで、興味のある内容を読んでいたら気がついたら語彙や文例が増えている、というのが自然で忘れないんじゃないかと思います。
 子どものときに読書で言葉を覚えたのは、そういう順番だったはず。
 わたしは読書好きの子どもだったから、ひとりでどんどん読んで、周囲の大人に助けてもらったという記憶があまりないのですが、一般的には、周囲の、声をかけられる場所に大人がスタンバイしていて、わからなかったらすぐに教えてもらえるという環境は、言葉を学ぶのに理想的、といえるはず。

 フランス語の先生との大人向けのペーパーバックの購読は、1回の授業で1ページも進まないです。かなり難しいです。こりゃー、ひとりで読めなかったわけです。
 この方法で学習を続けていたら、今持っている10冊内外の本が一生かけて読み終わるかあやしいし、当然、そんなに語学能力は上がらないかもしれません。
 でも、楽しいし、家の掃除と片付けをしたときのような「やっと手がついた」という達成感、すっきり感があります。
 もし時間がとれれば会話(というか聞き取り)のレッスンを増やしたいですが、たぶんこれ以上時間はとれないので、優先順位としては、この講読のレッスンを続けたいと思っています。

 そして、心のどこかで「こういう作業が、蓄積していくにつれて、あとでじわじわきいてくるんじゃないか、効率的でないように見えて、地力をつけるための理想なのではないか、唯一無二の王道なのではないか」という予感があります。
 自分が日本語の達者な使い手になっているのは、こうしたプロセスを経ているからだ、と確信しているからです。

 この結果がどう出るかは、あと数年たってみないとわかりません。
 なので、今の時点で「オススメです」とも断言できません。
 しかし、繰り返しになりますが、「楽しい」「スッキリする」のは確かです。あと1ページ、1ページ、先に進みたい、何が書いてあるか知りたいという欲望は、とても健全なものだと思います。
 
 参考になりましたら幸いです(あ、サポートも歓迎です)。
 この講読読解については、次回も続けます(ということは、次回も無料です)。

 お読みくださいまして、ありがとうございました。

 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?