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勤怠にまつわるハナシ

ishizawachihiro

こんにちは。朝日インタラクティブ株式会社経営管理部の石澤です。
あっという間にお正月も終わり、年度末に向けてラストスパートという会社も多い感じでしょうか。

今日は、当社の「勤怠」について書きます。

勤怠という言葉は面白い

「勤怠」という言葉は、「勤めること」と「怠けること」が合わさった言葉で少し面白いです。昔、お盆とお正月以外はずっと働くことが当たり前(休暇とか休日という概念がない)だった時代には、「勤める」の対義語が「怠ける」であり、相反の言葉をくっつけて熟語にしたのかなと勝手な想像しています。現代は休暇を取ることも早退することも、別に怠けているわけではないので「休む」とか「遊ぶ」を使い「勤休管理」とか「勤遊管理」とかの方が少し楽しい気がします。(と書いていて、普通に勤務管理でよいなという気もしてきました。)

「労務」は給与や社会保険、福利厚生や働く環境の整備、制度設計など(労働に付随する業務全般)を指しますが、勤怠管理はこの労務のなかで一番重要なものではないかと常々考えています。
労働基準法でも厚労省のガイドラインでも、「使用者は労働時間を適正に把握する責任がある」と書かれており、法律・法令を遵守するために必要というのはもちろんのことですが、働くメンバーにとって「良い会社」と感じてもらえる取り組みや制度設計をしていくうえで、正確な労働時間や休暇取得数の把握は非常に大切なデータになると考えるからです。もちろん、正確な給与計算をするためにも絶対必要です。

就業規則の超要約

入社が決まった方は、その会社の就業規則や雇用契約書をきっと入念にチェックするでしょう。でも、時間が経つと忘れてしまうこともあるかもしれません。もしかしたら「就業規則なんて関係ない!僕はやりたい仕事に打ち込むのみ!」という熱い想いをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。就業規則や関連する規程を読んで理解をしておくと、より会社の事を理解できますし、なんで上司や管理部門がいちいちめんどくさい事を言ってくるんだろう?という悩みの解決になることもあります。また、せっかく仕事で成果を出しても、規則を知らなかったがゆえに変なところで恥をかくということもあるかもしれませんので、目を通しておくことをお勧めします(きっと質問や問い合わせが減って管理部門からも喜ばれます)。

当社の勤怠に関わる基本的な規則はおおよそ次の通りです。実際はシフト制で働く従業員がいたり、その他細かい規則もございますが、説明が長くなってしまうので、以降、基本的な部分のみ説明をします。

  1. 所定労働時間は7.5時間/日

  2. 始業時刻9時30分、終業時刻18時、休憩時間1時間

  3. フレックスタイム制あり

    1. コアタイムは11時~15時

    2. フレキシブルタイムは始業開始7時、終業時間は21時

  4. リモートワークでの勤務を選択することができる

1日7.5時間を1分でも超えると残業時間としてカウントされます。コアタイムに出勤していれば、遅刻・早退にはなりません。この記事を書いている現在はオミクロン株の感染拡大中の為「原則リモートワーク」というアナウンスが社内に周知されておりますが、コロナが落ち着けば、在宅/出社/ワーケーションと勤務場所も自由に選択することができるようになります。月換算での所定労働時間を下回らないようにうまくフレックスやリモートワークを活用してもらいたいと思います。

コロナで変わった打刻の方法

2020年4月7日に、7都府県に対して出された緊急事態宣言から、当社は基本的にフルリモートワークに移行しました。感染拡大の状況に応じて、「原則リモートワーク」と「リモートワーク推奨」を行ったり来たりしています。

コロナ以前は、会社に出勤すると、執務室入り口に置かれたカードリーダーにICカードをかざすことで打刻をしていました。リモートワークに移行してからは、スマートフォンからインターネット打刻をしてもらっています。労務上従業員の居場所を把握しておく必要から、GPSをONにするのがルールです(そのため、スマートフォンから打刻をしてもらっています。特別な事情が無い限りはGPS座標をチェックすることはありません。)

スマホのAKASHI
  • 出勤:業務を開始するときに押します。

  • 退勤:業務を終了したら押します。

  • 休憩入:休憩開始を指定する場合や勤務外の移動開始時などに押します。

  • 休憩戻:上記から勤務に戻る時に押します。

休憩入、休憩戻ボタンが少し特殊ですが、移動がないのであれば「出勤」「退勤」を押すだけのシンプルな打刻です(休憩時間は労働時間に応じて自動的に計算されます)。しかしながら、会社に出社するのが普通だったころの「カードリーダーで打刻」する行為は習慣化がされやすく、打刻忘れは少なかったのですが、スマートフォンでの打刻となると、ついうっかり忘れてしまうということが増えてしまった様子です。また、午前は自宅・午後は会社へ出社するというような場合、どっちで打刻すればいいんだっけ?と混乱してしまうこともあるようで、結果として勤怠の打刻ミスは増えてしまった印象です。他の企業では、チャットツールと連携し最初と最後の発言から勤務時間を算出したり、VDI(仮想デスクトップ)やシンクライアントにログインすることで自動的に出退勤を記録する仕組みを持ったところもあるようです。とても現代風でうらやましい限りです。AKASHIにはAPIが準備されています。これを使い究極的には、打刻の意識を従業員が持たなくても正確な勤怠管理ができるような仕組みを作れないか研究中です。

コロナ前後で残業時間はどうなった?

ちなみに、コロナ前後の残業時間推移を単純なグラフにすると次のようになります。

平均残業時間推移

データは2018年4月から2021年12月までの物で、各月の総残業時間を稼働人数で除算して平均を出したものです。赤線はちょうど本格的にリモートワークに移行をした時期に引きました。なんとなく、リモートワークに移行してから残業時間は増加しているように見えます。直近3ヶ月の平均では概ね月の平均残業時間数は21時間ほどです。

これに各月の売上高や営業利益を重ねて見ることで、より詳しい原因が見えてきたりしますが、このグラフだけで原因の仮説を立てるとすれば、「リモートワークになり各自の業務環境が悪くなった?」「通勤が無い分、業務時間が長くなっている?」「コミュニケーションに工数が増えているのではないか?」などが浮かんできます。こういったデータから仮説を作り、社内アンケートなどを実施し、生産性の向上や残業時間の削減に向けた施策を考えていきます。以下は昨年、当社の代表が社内アンケートをした結果のレポートです。

問題や課題の発見

前述の通り、AKASHIの打刻はとてもシンプルなので、ほとんどの場合は特に問題は発生しません。しかし、人間ですので稀に打刻漏れをしてしまったり、急なトラブル対応で深夜・早朝業務が発生したり、もしくは自宅会社間を何往復もしなくてはならないような業務が発生することでイレギュラーな打刻が生まれます。
管理部門あるあるかもしれませんが、大抵の場合、こういったイレギュラーな打刻は人の固定化が起きます。よく発生する人と全然発生しない人に二分されるのです。
熟練した管理部門は、これが単純なミスによるものなのか?業務量や役割分担の偏りが根本原因か?をすぐに見分けることができます。前者の場合は「社内業務に少しルーズな人」とマークして指摘や注意を増やすだけですが、後者の場合には、勤怠の乱れにより業務に潜在リスクがあるのではないかと想像しいろいろな計画や仕組みの見直しが必要かもしれないというアラートの役目になります。この面からも勤怠はとても奥深い物なのです。

月次勤怠の大まかな流れ

大まかなスケジュール

上の図では、当社の勤怠処理の大まかな流れを書きました。

  1. 毎月20日頃にその月の勤怠の仮締め作業をしています。これは、後段で説明する特別条項適用通知書を送付するために必要な作業です。

  2. 月が替わった第2営業日までに勤怠の修正や承認完了を各自で行い本締切をします。

  3. 本締切後から第6営業日までに(都合3営業日程度)経営管理部による勤怠データの総点検をします。修正漏れが無いかなどを点検し個別に従業員へ確認の連絡などをしていきます。全てが確定したら、勤務時間の総計や推移、残業時間数、休暇取得状況などをレポートにまとめ、経営会議資料として提出します。また、確定した勤怠データを給与計算担当に引き継ぎます。

  4. 勤怠データを受け取った給与担当は、おおよそ5~7営業日中に給与計算を終え(途中何度も間違いが無いかクロスチェックをする)、毎月20日前後には銀行への送金指示を完了します。これで、毎月25日の給料日に従業員の口座へ給与が無事に到着します。

勤怠管理のキーマンはリーダー!

最終的に月次の勤怠を確定するためには、様々な理由で勤怠を修正し、所属するチームのリーダーから承認を得る必要があります。月初の第2営業日中に従業員が行う作業です。ポピュラーな修正・申請は次のようなものです。
(事後の申請も認めています。)

  • 打刻ミスがあったら修正し承認を得る。

  • フレキシブルタイム外で業務をする際は申請し承認を得る。

  • 休暇を取得する際は申請し承認を得る。

  • 休日に労働をする際は申請し承認を得る。

  • 振替休日を取得する際は申請し承認を得る。

勤怠の修正や申請の流れ

勤務の状況に応じた申請方法は、経営管理部で資料を作り、Slackや社内ポータルサイトに掲載をしています。申請(承認)作業は、ブラウザを使いAKASHI上で行います。一件につき1分弱程度の作業かなと思います。申請があると承認者には通知が届く仕組みになっています。
これも、個々の働き方や性格、業務都合によって「都度申請する人」と「月末にまとめて申請する人」に分かれます。どちらにしても前月勤怠は当月第2営業日までに全て修正・承認を完了していただいています。

第2営業日までに修正・承認された勤怠は、その後、経営管理部の勤怠管理担当者が、勤怠データ全件を再確認します。一ヶ月の労働日数×従業員数となるので、経営管理部で確認する数は毎月おおよそ1,400~1,500件程度になります(修正・承認ミスが残っていたら正しい勤怠時間把握できず、給与計算にも移れないですもんね)。未修正や未承認の勤怠データがあると、一件一件個別に確認をしていきますので、繁忙期になると勤怠確定がなかなか終わらず、経営会議資料の作成や給与計算データの作成がギリギリになってしまうこともあります。

各部にはそれぞれ数名毎のチームがあり、チーム毎に承認者(「リーダー」とします)がいます。以下の「簡単な組織図」で表した末端部分がチームです。チームは平均3~4名ほどで構成されています(組織変更で今のところ1名のチームや7名が所属するチームもあります)。ちなみに、リーダーの勤怠は各部ディレクターが承認者となります(経営管理部は人数が少ないため、ディレクターがリーダーを兼ねます)。

朝日インタラクティブの簡単な組織図

リーダーの努力とメンバーの協力

リーダーはみな、いわゆるプレイングマネージャーである為、多忙でチームメンバーの勤怠確認は負担となる部分です。また、どうしてもいろいろな事が月次をサイクルに動きますので、月末月初は事務処理が集中しがちです。勤怠の正確性を保ちながら勤怠管理の負担軽減ができる方法がないものかと常々考えていますが、まだ名案が無いのも実状です。

リーダーには引き続き負担をお願いするところですが、リーダーはそれぞれ経験や実績、クリエイティビティ―や折衝に長けた人材が配置されています。「日本の管理職のうち約9割がプレイングマネージャーであり、最高の成果を出すのは実はプレイングマネージャーでもある」というレポートもありますので、勤怠を通じて、チームの成果が上がるよう、勇気をもって取り組んでもらいたいと考えています。

  • チームメンバーには申請方法の資料を定期的に見返してもらうよう指示する。

  • AKASHIでは打刻漏れがあると本人とリーダーにその都度通知が届きます。それを放置せず、なるべくすぐに対処してもらうようにメンバーへ依頼をする。

  • チームメンバーが21時以降も仕事をしていたり、朝7時前に業務を開始している場面に出会ったら、「申請忘れないようにね」と声をかける。

  • チームメンバーの勤怠や働き方に関心を持つ。

そしてまた、チームメンバーも、それぞれが勤怠への意識を高めていくことが大切です。一般的にありがちなことを次に書きます。このあたりを毎月少し意識においていくことでリーダーは救われるでしょう。

フレキシブルタイム外に業務をしているのに申請をしていない。
これは、「申請をしない方がリーダーや管理部門の作業負担が減る」という誤解があるようです。いいえ。フレキシブルタイムを超えて(21時以降)労働した場合はきちんと申請がある方が確認などの負担が少ないです。また、そもそも残業時間を少なく見せようとする方がいる場合もありますが、これは様々な面で正しい事ではありません。規則に沿って申請をすることが結果としてよい会社を作っていくことになります。

通勤時間が勤務時間としてカウントされてしまうことがある。
一般的に通勤時間は原則として労働時間になりません。これはリモート―ワークに移行したことで、ややこしくなった部分かもしれません。

自宅で業務を開始したが途中で会社に出社をする場合、自宅<=>会社の移動は通勤時間(労働時間ではない)となる。

例1

自宅<=>取引先、取引先<=>会社、自宅<=>取引先の二往復など場合によってそれぞれの会社で通勤時間なのか労働時間なのか定めがあると思いますので、適宜規則を確認するとよいでしょう。

労使協定に基づく特別条項適用通知書の意味

労使協定とは、ご存じの通り労働基準法で定められた原則を、労働者と使用者の協議合意のもとに例外を認めるいわば契約書です。特に、時間外労働・休日労働に関する部分は労働基準法36条に書かれているため、この原則を変更する協定を36協定と言います。書類を作って終わりではなく、所轄労働基準監督署の署長宛てに毎年提出し更新をする必要があります。

法定労働時間:1日8時間
所定労働時間:1日7.5時間(朝日インタラクティブ)

いくら36協定を締結したからと言って、時間外労働時間(残業)が無限になるわけではありません。上限時間は月に45時間以内(法定残業時間)と定められています。しかし、企業によってはどうしても繁忙期にこの上限時間を超えた労働が必要になる場合もあるかもしれません。どうしても必要な場合には「特別条項付き労使協定」を締結することでこの上限時間をさらに延長することができます。正確には、特別条項を適用する際の手続を定めておくものです。逆をいうと、手続を踏まなければ労働者に上限以上の残業をさせることはできないということになります。
(特別条項付き労使協定を締結しても、その延長は年6回まで、一ヶ月に100時間を超えない、2ヶ月ないし6ヶ月の平均が80時間以内という制限があります)

当社でも、労使間で特別条項付き労使協定を結んでおり、月45時間以上の残業が見込まれる場合には、「上長から本人への通知を経て、これを命ずるものとする」という手続きに従い、運用が行われています。毎月20日頃に仮締めをしているのはそれが理由です。
毎月20日頃(祝日などの関係で前後します)に勤怠を仮締めし、その時点の残業時間を把握し、このペースで行くと超過する可能性がある人(超過が必要な人)には上長から個別にメールで通知をするという運用です。

通知をせずに労働者に上限を超える労働を強いた場合には、法令違反になってしまうので、非常に正確性と確実性が求められる業務となります。

当社では、この通知を確実に届けられるよう、AKASHIから取得した勤怠実績データ(CSV)をもとに残業時間の計算を行い、Excel 関数とGoogle App Scriptを組み合わせた適用通知送付の仕組みを作っています。
(実はAKASHIにこの特別条項適用通知に対応した機能があるようです。4月から利用ができないか調査をしています。)

特別条項適用通知の送付の流れ

余談ですが、1日8時間の労働というのを最初に言い始めたのは18世紀にイギリスで生まれた社会改良主義者のロバート・オウエンと言われています。当時は産業革命真っ只中。資本家は利潤を求めるために、児童も含めて労働力として投入し、労働者は朝から晩まで休みなく働き続ける時代でした。それから時代は進み1919年に国際労働機関(ILO)が国際条約189条を採択しますが、1号条約(1日8時間、週48時間)について、当時の日本はこの概念に驚き未批准みひじゅん(同意しなかった)しました。日本ではその後、労働法が整備され改善が図られていくわけですが、残念ながら90年代には「過労死」という日本語が国際語になってしまったり、2016年には働き方改革の世論を高めるきっかけとなる事件が起きてしまいました。現代もSDGsの第8目標「働きがいも 経済成長も」で遅れを取っている状況がありますね。「勤怠」に「怠けること」が含まれていることは日本人の独特な価値観を言い表しているような気がしてきます。我々も働き方についてアップデートをしていかなくちゃいけませんね。
ということで、特別条項適用通知は面倒で形式的な手順ではなく、出す方も受け取る方もとても大切な通知として扱ってほしいなと感じるのです。

誕生月に年次有給休暇の取得を会社が推奨します。

前回エントリーの「年間で5日以上の有休を取得してもらう取り組み」のなかで、

「来年はより取得しやすい雰囲気づくりや制度化を組織だって考えていこうと思います。」

経営管理部の2021年の取り組み

と書きました。そうしたら早速、経営管理部内から提案があり、『誕生月は年次有給休暇の取得を会社が正式に推奨する』ことになりました。
部会やSlackなどでも話題や投げかけが見られうれしい限りです。
どんどん話題にしてもらい、取得しやすい雰囲気ができていくといいなって思います。従業員が積極的に年休を消化し、心身ともに健康で仕事も充実できる会社を作って維持していきたいと思います。


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