フリースタイルラップについて
0. はじめに
まず僕がなぜこの記事を書こうと思ったのかを説明します。でも僕がなんでこの記事を書こうかなんて誰も興味ないので、ここは読み飛ばしてokです。それでは理由を簡単に説明していきます。まず1つ目の理由は、好きなものを言語化しておきたかったからです。そして僕の好きなものというのが題名にある「フリースタイルラップ」です。言語化をすることで、今までの人生を整理するというか、分析し直すというか、そういうテンションで書いています。そして2つ目の理由は、単純にみなさんにフリースタイルラップの良さを知って欲しいと思ったからです。自分の好きなものを紹介するという行為は、自己の傲慢さが混じっていてあまり好ましいものではないのですが、文章にして紹介することが大事だと思ったので、紹介していきます。以上が僕がこの記事を書く理由です。これが初めての記事なので、どれくらいのテンションでものを書いて行けばいいかわかりませんが、とりあえず書いて見たいと思います。
1. ラップとの出会い
フリースタイルラップについて書く前に、なぜ僕が「ラップ」を好きになったかについて触れようと思います。そもそもいわゆるラップというものに対して、みなさんの頭の中にどのようなイメージがありますか?ゴリゴリのアメリカンな人たちがやっている、あれ、を想像する人も多いかもしれません。しかし、僕が最初に出会ったのは、あれ、ではありませんでした。
僕が最初に出会ったのは、親の車で流れていたm-floでした。m-floはバーバルのラップとメロディアスな女性ボーカルが印象的なアーティストです。ゴリゴリの男勝りなラップとは遠いアーティストだと言えます。僕の親は当時、m-flo以外には山下達郎やBONNIE PINKなどを聞いていたので、僕の耳にはm-floはこれらのアーティストと同様「おしゃれ」な音楽として聞こえていました。僕はこれらのアーティストの中でも「早口で歌う部分がある」m-floを特に「おしゃれ」と思っていた気がします。それからというもの僕の「早口で歌う部分がある」歌への熱は冷めることはなく、地元にあったレンタルCDショップのラップコーナーに通うようにまでなりました。
m-floの後は、m-floと割と近しいアーティストであるRIP SLYMEに出会いました。これは僕にとって割と運命的な出会いでした。なぜなら、このRIP SLYMEは僕が今までで最も好きなアーティストであるからです。このRIP SLYMEについて語ると長くなりそうなので、簡単に説明します。RIP SLYMEは4MC+1DJ (4人ラップして1人DJ) のグループで、ラップ界では珍しいメロディアスなサビ(ラップ界ではよくHookと呼ばれる)で人気となっていました。僕がRIP SLYMEにハマり出したのは2010年くらい(当時中1くらい)だったので人気の真っ只中ではありませんでしたが、曲を出せばチャートにランクインするくらいの勢いはありました。僕はRIPの4人のコンビネーションが見せるラップと、唯一無二なメロディに完全にツボを押されました。その後というもの、僕はRIPのCD に関してはCDショップを駆け巡り全部集め出しました。「RIPに知らない曲が存在する」という事実が許せなかったのです。なので僕は、2年ほどかけてCDを全て集め、全ての曲を聞くことに成功しました(中3くらい)。
中3の終わり頃、家でMTVを見ているとたまたま聞きなれないメロディアスなラップを耳にします。それが僕とSALUとの出会いです。SALUはRIP SLYMEなどに比べれば少しアングラな存在だったと思われるが、なぜかラップはすごく聞きやすく、どんどんハマっていきました。SALUにハマったのをきっかけに僕はどんどんアングラな方のラップにもハマっていきました。それくらいから、僕はどんどんYouTubeでSALUやNORIKIYOなど当時は少しアングラな方のラップを聞くようになります。すると、YouTubeのおすすめ欄に「戦極MC BATTLE 黄猿 vs 鎮座DOPENESS」が現れました。それが僕とフリースタイルラップバトルの出会いです。
2. フリースタイルラップについて
フリースタイルラップとは何か知っていますか。フリースタイルラップとは、文字どうりフリースタイルで、即興で、ラップをすることです。今テレビで人気となっている「フリースタイルダンジョン」では、挑戦者とモンスターに分かれてフリースタイルラップを行うことで勝敗を決めるということをやっています。このように勝敗がつくフリースタイルラップのことをフリースタイルラップ「バトル」と言います。また、何人かで集まりただフリースタイルラップを行うことを「サイファー」と呼びます。なのでフリースタイルラップとは大きく分けて「バトル」と「サイファー」の2つが存在するといっていいと思います。
先ほども書きましたが、僕が最初に出会ったフリースタイルラップバトルが「戦極MC BATTLE 黄猿 vs 鎮座DOPENESS」です。以下にYouTubeのリンクを貼ります。
僕は最初にこのバトルを見たとき衝撃を受けました。なぜなら、2人のラッパーが即興で、しかもメロディーに乗せてラップをしていたからです。特に鎮座DOPENESSは即興で「歌」を作っているほど、メロディアスにラップをしていました。僕はそれまでRIP SLYMEなどの歌メロ系のラップが好きだったので、このようなメロディアスなラップバトルに出会ってしまえば、そりゃあハマるに決まっています。このとき、DJが流すビートへのラップの乗せ方、歌い方を「フロウ」と呼びます。それから僕はこの「フロウ」が独特だったり、メロディーがついていたりするフリースタイルラッパーたちをどんどんYouTubeで探っていきました。独特のフロウを持つラッパーはたくさんいましたが、特に好きになったのがふぁんくです。僕がふぁんくを好きになったのは、いわばフリースタイルラッパー日本1を決める大会である、UMB (Ultimate Mc Battle) 2014 のふぁんくの試合を見たからです。そのときのふぁんくはどの試合も強く、また耳に残るようなフロウをしていました。僕はUMB 2014のふぁんくの試合が好きすぎて、YouTubeで試合を何回も見直し歌詞を覚えようとまでしていました。ここでふぁんくにハマったおかげで、僕はフリースタイルラップの奥深さをさらに知ることになります。
ふぁんくにハマったおかげで1つのグループを知ることができました。それがふぁんくの所属する梅田サイファーです。サイファーについてはこの章の最初で書いたように、バトルするのではなく何人かで集まってフリースタイルラップをすることを指します。梅田サイファーは、大阪の梅田に集まりサイファーを行なっているグループをいいます。僕はふぁんくを機に、主に関西でのサイファーの動画を見まくりました。梅田サイファーもそうですが、僕はよく西宮サイファーの動画を見ており、そこでのミステリオやじょうの巧みなフリースタイルラップにどっぷりとハマりしました。
西宮サイファーや梅田サイファーの動画を見て僕は、韻を踏むこと、つまり「ライム」の重要性に気がつきます。そして関西のサイファー動画では、ただ韻を踏んでいるのではなく、面白い韻を踏んだりすることで場が盛り上がり、笑いが起きていました。このとき、フリースタイルラップはお笑いと密接な関係があることに気がつきました。なぜなら、フリースタイルラップバトルではお客さんの盛り上がりが勝敗を決めるので、どれだけラップでお客さんを沸かせられるのかが非常に重要となってきます。そこで、例えば面白い韻を踏むことや、韻を入れつつうまいことを言うというのは、直接的に勝敗に関わってきます。つまりどれだけ「とんちを効かせて相手に言い返せるか」ということが、勝敗に大きく関係しています。このように相手にうまく言い返すことを「アンサー」といいます。どれだけうまい「フロウ」や「ライム」をしていても、「アンサー」がないと勝負に負けてしまうことが多々あります。これがフリースタイルラップの面白いところの1つです。
3. フリースタイルラップの特異性
今まで話してきたように、フリースタイルラップでは「フロウ」や「ライム」、そして「アンサー」が大事となってきます。僕はYouTubeでとにかくラッパーたちの動画を漁りに漁りまくりました。そこで1つのバトルの動画に出会います。それが以下の動画です。
僕はこの動画を見て、おそらくフリースタイルバトルを見て初めて泣きました。これはバトルなので、お互いに舞台上でビートに乗せながら罵倒し合います。しかし、この動画をみればわかるのですが、二人ともがお互いを尊重し合いながら、真っ正面から自分の意見を言い合います。そして、最終的に勝敗がつくのですが、バトルの後はお互いにピースフルに試合を終えています。僕はこの試合を見てフリースタイルラップの特異性に気がつきました。それは、フリースタイルラップをすることで「自分の伝えたい意見をまっすぐに相手に伝えることができる。しかもピースフルに、」ということです。これは他のことでは代替できません。ただの口喧嘩なら、終わった後にお互いより腹をたてるということも多いと思います。しかしフリースタイルラップなら、例えば、とんちを効かせて相手に言い返すことで、自分の思っていることをより皮肉的に、そしてピースフルに相手に伝えることができると思います。それゆえ、フリースタイルラップをするということは非常に貴重な体験だと僕は思います。
僕はこれらのことを踏まえ、大学時代の友達とよくフリースタイルラップバトルをしていました。「フロウ」や「ライム」、「アンサー」力はもちろん全然なかったけど、「自分の伝えたいこと」はビートに乗せながら伝えることができました。ということで、僕はこの貴重な体験をみんなするべきだと思います。カップルでお互いの意見が合わなくて、素っ気なくなってしまったら、とりあえずフリースタイルラップをしてみればいいのです。戦争が起こりそうになったら、とりあえずフリースタイルラップしてみればいいのです。そうすれば、世界はより平和になると思います。