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#04目覚め

人物、バンド名等説明
アブドーラ・ザ・ブッチャー:1970年代、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスの看板悪役レスラー。
PINK FLOYD:イギリスのロックバンド。プログレッシブ・ロックの先駆者。
ブルーザー・ブロディ:チェーンを振り前わしながら雄叫びをあげて入場し、外国人レスラー最強とも言われた、日本のプロレスになくてはならない存在。
LED ZEPPELIN:1968年にイギリスのロンドンで結成されたバンド。ハードロックやヘヴィメタルの先駆者。
ザ・ファンクス: 1970年代、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスの、看板外国人兄弟タッグチーム。
・クリエイション:1960年代末に結成された、日本ロック史で早くからハードロックスタイルを取り込んだグループのひとつ。
JEFF BECK:イングランドのギタリスト。日本ではERIC CLAPTON、JIMMY PAGEと並ぶ3大ロック・ギタリストのひとりとされている。
友川カズキ:日本のフォークシンガー。競輪評論家や画家などの顔も持つ。ちあきなおみへの「夜を急ぐ人」の楽曲提供で、NHK紅白歌合戦にちあきが出演した際、司会者に「気持ちの悪い歌ですねぇ」と言われ反響を呼ぶ。「生きてるって言ってみろ」「トドを殺すな」「ワルツ」など代表曲多数。

#04 目覚め

 世の中には酷い話というのは掃いて捨てるほどあり、身に詰まされるでは済まない話だらけである。
 親がいても育児放棄されて飯を食うこともできず、挙げ句の果てには暴力で生命を落としてしまう幼子や、戦火に巻き込まれ一家親族皆離散。両親とも死に別れ、幼い子どもが孤独ながらも懸命に生きるために、あらゆる悪事に手を染めながらもたくましく生きる姿など、今の世界には酷い話があふれている。
 そんな凄まじい話と比べれば、大したことのない輩が、ほんの少し斜に構えながら生きた話をしなければならないのは心苦しいが、そこらにいる半端者でもなんとか生きる術として見つけ出せるものはあるものだと、どうかお許しをいただきたい。

 物心のつく前の4歳で母親と死別した俺は、父親の手で育てられることとなる。唯一残っている実の母親の記憶は、病院のベッドにいる母親が、必死の形相で俺に手を伸ばしてくるもので、子どもだった俺は、その形相が恐ろしくて父親の影に隠れると、母親がガクッとなり、病室を出された。
 確かその後すぐに母親が死んだと思うので、あれが我が子に触れたいと願う最後の気力だったのだろう。
 母親が死んでからしばらくすると、見も知らぬ女性が家にやって来た。これが生涯で初めて認識した「母親」という存在だった。小学校に上がる前の、確か5歳か6歳あたりのことである。
 この継母と父親の間に子どもができたために、継母と父の実家のある埼玉県では有数の大きな街へ引っ越した。ここは歴史ある古い城下町と住宅地が混在した、徳川家康ゆかりの寺院や、関東三大祭りのひとつとして数えられる祭りも開催される場所だ。
 東京からは30分から1時間、中途半端な田舎感は否めず、若者のほとんどはヤンキーになるしかない、暴走族とヤクザが幅を効かせるような、典型的な地方都市だ。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!